妄想とレッテルばかりのとんでもないことを書くものです。

まず、川勝元知事に失言と暴走で辞職に追い込まれたという冠詞をつけているけれど、川勝さんはリニアの延期をひとまず勝ち取ったうえで、区切りを付けて辞職されました。

直前の失言である、新規採用の県職員に、あなた達は頭脳だから高い知性を持っているなどと言い、物を作ったりしている他の職業の人たちの知性が低いかのような物言いをしたということについて、知事はそれが悪いことであったと思っていないという意思を当初表明していました。

失言と暴走で辞職に追い込まれたという表現は、記者の小倉氏の妄想に過ぎないと思います。

失言が増えてきたことは事実であっても、辞職に際して知事はそれが理由だとは言っていなかったはずです。

そのうえ、川勝氏のせいでリニア工事は止まってしまった。本当に迷惑な知事だったというのは、記者の個人の感情に過ぎず、実際には用地買収が済んでいなかったり、掘削用のシールドマシンが止まってしまったりして、進捗が芳しくない工区が他にいくつもあることはネット上などに多く情報が出ています。

川勝さんの反対はリニア開通のためにいくつもある解決しなければならない問題の一つに過ぎないのであって、川勝さんがリニア工事を止めたという言い方は明らかに間違いです。

川勝さんは大井川流域の農業や生活を支える水と自然環境を心配しただけです。

そもそも大井川上流の水源地域といえば国の特別天然記念物であるカモシカの生息地域であり、ジオなんとかいうユネスコの自然遺産にも登録されているのですから、奥大井の自然はリニアなんかよりずっと大切です。

川勝さんは静岡の知事として、当然配慮するべきものに配慮して、言うべきことを言っただけです。

奥大井の自然環境の問題はJR東海がリニア開通のために必ず解決しなければならない絶対の条件であって、リニア推進の人達が「川勝の屁理屈」などというような不安を残したまま推し進めていい問題ではありません。

屁理屈を言えないくらい徹底したやり方で、確実に奥大井の自然と県民の水を守ると約束し、その方法を示してくれればリニア工事は進むのです。

川勝さんがリニア工事を止めたなどと、責任を一方的に押し付けるのは、ただの言いがかりです。

さもなければ、問題を完全に解決する方策はないけれど、ただわがままでリニアを通したいといっているようなものです。

わがままが許されるのは幼児くらいなものでしょう。

わがままが通らないことを批判、いや記者の感想であって理にかなっていない主張は批判でさえないので、「駄々をこねる」という表現にしましょうか。

幼児でもあるまいに、いい大人が、わがままが通らないからといって駄々をこねているのがこの記事でしょう。

知事としてやるべきことをやった人に対して「迷惑な知事」などと世間の印象を操作して非難する、とんでもない記事です。

小倉記者がどんなに立派な方か存じ上げないけれど、少なくとも、4期15年もの長期にわたって知事を務めた川勝さんに対して、正当な理由もなく「迷惑な知事」のレッテルを貼るのが人間的に優れているとは、私には思えません。

ウクライナへの侵攻で世界中から非難されているロシアのように、逆らう奴は殺してでも大統領が権力を保っている国とは違います。

川勝さんは”公正な選挙”で選ばれました。

4回も、です。

選挙で自分たちの代表を選び、国会や県議会など議会で政治を議論する、議会制民主主義は日本の国の基本的な仕組みです。

である以上は、「現に4回も、選挙で知事に選ばれた」という事実は「川勝さんは静岡県民の総意である」ということを意味します。

それを、正当な理由なく非難するのは、県民の総意に対する非難です。

川勝さんは4回も県知事選挙に出たのだし、川勝さんが辞職した後のこの間の選挙だってあったのです。

文句があるなら川勝さんを批判する公約を掲げて、川勝さんの次の県知事選挙に出れば良かったのです。

総理大臣だって、国会から内閣不信任決議が出れば、衆議院の解散、総選挙で国民の信を問うことができる制度になっています。

川勝さんが辞職したのだから、川勝路線にNOを突きつける選挙公約が県民に受け入れられるのか、選挙に出て川勝路線と小倉記者の考えと、どちらが県民の支持を得るのか示せば良かったでしょうに。

頑張っている人間を応援するのにはなんの権利も資格も必要ありません。

「川勝さんは頑張った」というのはいいです。

でも、批判するとしたら、「じゃあ、あなたは偉そうなことが言えるほど立派な考えをお持ちなのですか?」というのは当然の疑問でしょう?

それも、選挙に4回も勝って15年も知事を務めた偉大な県知事を失言と暴走だの辞職に追い込まれただの本当に迷惑だのといってこき下ろすのです。

当然、「じゃああなたはどうなんだ?」と思われますよ。


少なくとも、正当な理由なく、思い込みで人を侮辱するような人間は、1回だって静岡県の知事選挙には勝てないだろうと、私は思いますよ。


それに、川勝さんの支援者がスズキの相談役の鈴木修氏で、鈴木修氏とJRの仲が悪いと。

このことについて「まことしやかに噂される」という書き方をしているのであって、小倉記者はこれがあくまで噂であり、断定できるだけの証拠がないことを承知しているはずです。

であるにも関わらず、「鈴木修氏がJR東海を嫌っているからリニアに反対なんじゃないか」という噂の域を出ない問題について「そんな私憤をリニアに持ち込まないでもらいたい」などと、あたかも鈴木修氏のJR東海に対する私憤を持ち込んでリニアに反対しているかのような書き方をしています。

鈴木修氏がJR東海を憎んでいるのか、いないのかも、「漏れ伝わってくる話」として書かれているもので断定的な情報ではありません。

しかも、鈴木修氏が実際にJR東海を憎んでいたとしても、それが川勝さんがリニアに反対することの理由であるのか、否かはわかりません。

漏れ伝わってくる話とまことしやかな噂だけで、「4期15年も知事を務めた立派な静岡県知事」を、「私憤で政治判断を誤る愚鈍」であるかのように侮辱する、それが立派な人間のすることだと、誰がいうでしょうか?

長期にわたって県政を引っ張ってくれた、愛すべき私達の代表を侮辱されたのですから、静岡県民には、腹を立てる権利があるはずです。

私は、静岡県民の1人として、非常に腹が立っています。


だから、私も批判させてもらいましょう。

小倉記者の書いたこの記事は、リニア工事を遅らせている他のいくつもの問題があるにも関わらず、「川勝氏はリニア工事を止めた迷惑な知事」などと間違ったことを書き、川勝氏に対して「私憤をリニアに持ち込まないでもらいたい」などと事実を断定しうる証拠もないのに、噂に過ぎない”鈴木修氏とJR東海の不仲”を理由に長期政権を敷く静岡県の代表を”私憤で支持判断を誤るような愚か者”のように言い、きわめつけは川勝知事自身が公式に認めていないはずなのに、辞任に追い込まれた理由は失言と暴走であるという誤ったことを書いています。

記者が書いた文章にしてはなんらの信ぴょう性もない、いい加減な記事です。

これが、購読者向け限定の、スマートニュース”プラス”の記事なのですか?

個人ブログの間違いではありませんか?

ニュースというのは客観的な事実を報道するものです。

記者の感想が加えられてもいいけれど、客観的な事実がなくて、記者の妄想だけを書き並べたものはニュースではありません。


リニア計画が始まった半世紀以上も前には、高度経済成長だの数度のベビーブームだので未来が明るく、今後さらに増える人と物の輸送手段を考えるのも納得のできる状況だったことと思います。

が、今は少子高齢化で、労働世代が減ることで国の経済は今後さらに弱り、人口も減っているので今以上に人や物を運ぶ需要が増すことは考えられない状況です。

半世紀以上も前と比べて、地方空港が増えて空の便は充実しました。

新幹線も、この数十年の間に技術が進歩しなかったわけがないでしょう?

であるにも関わらず、ニホンカモシカの棲息地域に影響を与え、ユネスコの自然遺産を破壊するリスクを負ってまで、敢えて、どうしてもリニアを通さなければいけない理由は?

東京名古屋間の移動時間が多少短くなる程度の弱い理由ではお話になりません。

記者なら「なぜ、リニアを通さなければいけないのか」を、誰でも理解して納得するような記事にして欲しいものです。