クラウドワークス、ランサー、ココナラなど、個人の在宅ワークの発注者と受注者をマッチングするサービスがあります。
かくいう私も、クラウドワークスを利用してみたことがあります。
当時も感じたことだけど、最近、久しぶりにクラウドワークスにログイン。
YouTube動画編集の仕事を探してみました。
そして思いました。
「まともな仕事が少ないのは知っていたけど、やっぱりひどいな」と。
ガルちゃん動画とかスカッと系動画の編集者募集といったら、動画1本あたりの報酬が3000円とか4000円。
そこからシステム手数料も引かれるし、報酬を受け取る際には銀行の手数料も引かれます。
まず割りに合いません。
だって、3000円そこそこの作業量ではありませんから。
動画の尺は20分程度。
でも、人間がカメラの前で喋る、実写の20分と、いらすとやなどのフリー素材とはいえ、アニメの20分とでは作業量が雲泥の差です。
だって、キャラクターがセリフを喋るたびにキャラクターのイラストを入れて、他のキャラクターが喋るときにはキャラクターを入れ替えて、その出したり消したりするだけでも、タイムライン上で話の流れに合わせて一つ一つ出したり消したりするのに、その上同じキャラクターでも表情の違う別バージョンのイラストに入れ替えたり、Y軸(上下)方向に少し拡大縮小を繰り返すなどのアニメーションのためにキーフレームを打ったり。
それに、レイヤーの数だって最低でも背景、テロップを入れるテキストボックス、登場人物の数によってあと3レイヤーくらいは最低でも必要で、それなりの数になる。
読み上げソフトで音声データを作って入れなきゃいけない。
仮に、普段からやっていて、背景やキャラクターなどの素材が全部揃っていて、発注者から渡された台本で話の流れが全て決まっているとしても、20分の動画を作るのに、僕だったら3〜4時間くらいはかかるでしょう。
人件費だけじゃない、パソコンなどの設備も全部自前で、その上使用するソフトウェアもAdobeのプレミアプロ指定で、実作業時間3時間以上かかって、たった4000円って、経費を引いた後残ったお金を時間で割った時給って、いくらになるの?
作業の外注委託で、作業内容に対して金額が決まっているから問題になっていないけど、従業員を雇って仕事をさせたら、時給数百円とか最低賃金の3分の1や4分の1の給料でこき使うの、労働基準法違反ですよ。
しかも、「成果物の著作権は当方に」などといって、作った動画を使うことを一切禁止する契約項目が入っているものもありました。
つまり、「私はこういう動画を作れます」といって他の動画制作案件に応募する際の実績サンプルとして使うの禁止ってことです。
労働力搾取のうえ、他へ行けないようにして飼い殺し。
さらに酷いのもありましたよ。
飲食店を紹介するチャンネルで、発注者の用意した手引書通りに動画を作るという依頼でした。
指定の秒数でスライドショーを作る、テロップや効果は最低限の落ち着いた雰囲気の動画。
作業内容としてはまぁ、それだけなら悪くない。
報酬が2000円程度でも、提供された画像データでスライドショーを作るだけなら、割りに合わないとまではいえない仕事です。
でも、仕事がそれだけじゃない。
使用する写真は食べログやお店の公式ウェブサイトなどから、動画作成者が自分で集めるというのです。
食べログの写真は、実際にお店を利用した人がスマホなどを使って気軽に撮ったスナップ写真ですから、出来の悪いものもたくさんあります。
写真をいちいちチェックして、使えそうな写真を選別するだけでもどれだけの時間がかかることでしょう。
さらには当然ながら、それらの写真には著作権があります。
本来なら、投稿者に連絡を取って許諾を受けるところですが、たった2000円の依頼料で、そこまでできますか?
仮にスライドショーの写真表示時間が1枚あたり10秒だとしても、それは1分の動画で10枚、10分の動画なら60枚も写真を使うということです。
60人の連絡先を探すところから始めて、いちいち許諾を受けるなんて、まず無理でしょう。
動画の作成に依頼料を払うということは、(とても割りに合わない安価な依頼料だとしても)その依頼料の原資となる収益が存在するということ。
つまり、収益化できる程度に、程々のチャンネル登録者がいて、人目に触れるチャンネルということです。
そこで、許諾を受けない他人の写真を使ってお金を稼いでいたら、いつ問題になるかわからない。
でも、動画作成の発注者は、「私は動画を作ってもらうよう頼んだだけで、動画作成者が実際にどの写真を選んでくるのかなんてわからなかった。著作権侵害については私の責任ではなく、勝手に利用した動画作成者が悪い」という言い逃れができる。
お金の面で割りに合わないだけでなく、違法な権利侵害行為の片棒を担がされた上に、その責任を押し付けられる可能性まである。
はっきりいって、今の時代なら、AIにガルちゃん動画やスカッと系動画のチャンネルの動画を数十本読み込ませて、似たような展開で完全オリジナルの新作台本を書いてもらい、AIの台本を元に自分で動画を作って投稿する方がよほど収益が期待できます。
YouTubeの運営元はGoogleと同じだから、GoogleのAIのGeminiならURLのリンクを教えれば動画のデータを直接読み込んで分析してくれます。
で、会社が休みの土日とかに1日1本か2本、週に2本から4本程度の動画を作って、自分のチャンネルで投稿する。
今はYouTubeのアルゴリズムが、登録者数の少ないチャンネルもおすすめするようになってきていますから、ガルちゃんとかスカッととかのテンプレートにはめた動画なら、ガルちゃんとかスカッととかを観ている視聴者のトップページのおすすめに表示される可能性が十分にあります。
それも、Y軸アニメーションとかはあらかじめアニメーションしている動画素材を作っておくとか、効果的に効率化をして、休日を使って週4本出す。
それを続けていれば、時給数百円で労働力を搾取されるよりはよほどマシな収益が期待できるでしょう。
雇用関係のないフリーランスへの外注委託では、最低賃金ではなくて成果物など仕事の結果に対してお金が発生するので、結局のところ情報弱者は一方的に搾取されます。
昔からいうものです。
鶏口となるも牛後となるなかれと。
動画編集の仕事、受ける前に慎重になりましょう。