私は時々、株に関するブログ記事を書きます。

だからといって、特別に株に詳しいわけでも、必勝法を知っているわけでもありません。

それでも、長期投資で手堅くやっているので、損益のお話でいえば、1年間のトータルでいって損失を出したことは、株を始めた平成20年当初から1回もありません。

これは決して、損をする取引をしたことが一回もないという意味ではありません。

個別の取引についていえば、数年に1度くらいは、損をしてでも保有している株を売ることがあります。

ただ1月1日から12月31日まで1年間のトータルが、毎年プラスだという意味です。

 

さて、私が株を買うときに、どうやって銘柄を選んでいるか?

いくつかの基準があります。

 

ひとつ目、ボロ株は買いません。

株をはじめて間もない頃には、「1000円の株が2000円になるのは難しいけれど、10円の株は20円になる」といって、単価の安い株は値上がり率が高くなりやすいので良いと思ったこともありました。

たしかに、ある程度儲かりましたが、企業の信用ができずにやめました。

東日本大震災の後、太陽光発電が一時期話題になりました。

その会社では「売電価格の高い早期のうちに申請書類を出してしまうので、まずソーラーパネル設置用の土地を用意する」という名目で、太陽光発電事業のための土地を買おうとしていました。

購入資金調達のためだといって、新株を発行したのです。

ところが、そのうちに売電価格が下がってきて、事情が変わってきたとみるや、土地購入をやめました。

新株発行に際して、調達した資金の使い道を説明していたにもかかわらず、実際には変更後の使い道について納得のいく説明をしてもらえないまま、ただ「使い道を変えました」といって、あとは勝手に会社の事業資金か何かにしてしまいました。

「ボロい銘柄は経営もボロい」と思って、以後は東証一部に上場しているか、二部でもテレビコマーシャルや、自分自身の日常生活である程度見かけることのある、規模の大きな会社の株だけを取引するようになりました。

東証の区分が変わった今では、基本的に東証プライムの銘柄だけを取引します。

 

ふたつ目、今の株価が安いこと。

プライムに上場しているような企業は、ある程度安定して利益を出している企業です。

毎年、慢性的に赤字を出す体質の会社は、プライムに上場することはできませんから。

業績の安定したプライム銘柄の中で、今の株価が安いことが条件のひとつです。

例えば、写真はピジョンのチャートです。

10年の長期のチャートで見て、今の株価は10年間の中でも安い水準にあります。

この会社が今後も安定した業績で営業活動を続けると仮定します。

会社四季報に「育児用品で国内トップ」と書かれるような、特定の分野で国内のトップを走る大手が、救いもないガタガタの業績で、ただ落ちていくとは、普通は思わないはずです。

そうなったときに、現在の、過去10年間で一番安い水準の株価が、今後数年の未来の中で、一番高い株価だと思いますか?

言い方を変えると、「この会社は今後10年の間に、今の株価を超えることが1度もないと、思いますか?」ということです。

ピジョンのような長期チャートで過去の相場と比較したときに、「今の株価は高いのか?」というのでもいいですし、もっと短期で、年初来安値の数値を基準に、「今の株価は過去1年間で一番安い水準」というのでもいいです。

とにかく、「今の株価は安いか?」というのが、私が購入銘柄を決めるときのふたつめの基準です。

 

三つ目は、配当金です。

基本的には「安いときに買って、上がるまで何年でも寝かせておく」というスタイルなので、株価の値上がりを待つ間にもらう配当金は重要な要素です。

「配当金利回り率が高いこと」と、「その高い利回りを今後も維持できそうか?」ということです。

例えば、先ほどのピジョンは、会社四季報の財務状況によれば、最新の2023年12月期の実績で、1株あたりの利益が62.1円です。

会社の利益を株数で割った1株あたりの数字です。

それに対して、配当金は1株あたり76円。

利益よりも配当金の方が多いです。

本来、配当金というのは「利益剰余金分配金」であって、「会社が利益を上げて余ったお金を株主に配ります」というものです。

だのに、会社の利益よりも多い金額を株主に分けるといいます。

不足分は、会社が過去に利益を上げて蓄えてきた資産を切り崩すことになります。

株価が1511円で年間76円の配当金なら、配当金利回り率はおよそ5.03%。

配当金利回りは高いです。

が、会社の利益以上の配当金を配り続けることはできません。

特に、ピジョンは会社の持つ総資産を株数で割った、1株あたりの資産が、株価の半分くらいです。

つまり、企業の資産価値が株価の半分しかないのです。

会社が資産をたくさん持っていれば、資産を切り崩して当面のあいだ配当金を維持することもできるでしょう。

が、この会社の資産は少ないです。

会社の資産を株数で割った「1株あたりの資産」に対して「株価は何倍の値段か」という指標をPBR(株価純資産倍率)といいますが、ピジョンの場合はその指標が2倍を超えています。

1株あたりの資産というのは、「もしも廃業して会社を解散した場合、会社の持っている資産を株主に対して、出資割合に応じて配ったらいくらになるか?」ということです。

もしも1500円でピジョンの株を買って、その次の日に会社が解散した場合、せいぜい700円くらいしかもらえません。

1500円で買ったのに700円にしかならないのですから、大損です。

配当金を安定して配り続けるためには、「配当金を配る以上に稼いでいる」か、もしくは「今は業績が悪いけれど、十分な資産を持っているので一時的になら資産を使って配当を維持できて、今後業績が回復する見込みがある」というような事情が必要です。

 

以上のような三つの基準で銘柄を選んでいます。

そして、買ったら最後、上がるまで売りません。

 

下がりっぱなしのボロ株ではなく、上がったり下がったりを繰り返すまともな銘柄を安いときに買って、上がったら売る。

上がるまでの間は配当金をもらいながらじっと我慢する。

これだけです。

 

私は平成20年の夏の人事異動で一緒になった上司の影響で株を始めたので、投資の経験はかれこれ15年ほどになります。

過去15年、このようなやり方で、余裕資金を使ってじっくり我慢の長期投資をしてきたので、先に書いたとおり、年間のトータルがマイナスだった年はありません。

配当金プラス売買利益が、税金2割引かれた後の実質の利回りで、儲けの少ないここ最近でも4%ぐらいはあります。(売らずに保有している株の含み益は除く)

 

株で損をするのは欲をかいて高値掴みをするか、下がったときに我慢できずに売って売買損失を出すかのどちらかしかありません。

余裕資金でじっくり長期投資をするつもりになれば、株で損をするなんて、少なくとも15年間やってきて経験したことがありません。

じっくり待つことのできる時間のないお年寄りならいざ知らず、若い人なら、株をやっておけばお金は勝手に増えると思います。