ニュースによれば一時4万1000円を超えた日経平均株価が3万8000円台へ大幅下落して、新NISAで株を始めた初心者が損切りしているそうです。

私がこの話題について思うことは「大切な自分のお金を使うのに、慎重になれない人が多い」ということです。


なぜ、そんなに簡単に損切りできてしまうんです?

リーマンショックの直後くらい、平成20年の終わりか21年くらいに株を始めたので、株式投資はかれこれ15年にはなりますが、損切りは苦手で、15年の間に数回しか経験していません。

株というのは「相場の変動を利用して、安いときに買って高いときに売ることで儲けを得る投資」ですから、買うときには必ず、「この株は安い」と思って買うはずです。

私自身、買う銘柄を選ぶ基準は、10年くらいの長期のチャートで確認して、「今は安い水準にあるか?」ということを真っ先にチェックします。

で、「業績は安定して黒字経営をしているのに株価が安い水準にある」と思ったら買います。

それで、損切りの話ですが、安いと思って買った株が、さらに安くなったとします。

そこで投資のテクニックを紹介するような本には、株価の下がった銘柄を塩漬けにしておくことで資金を縛られてしまうと売買取引ができず、儲けを出せないので、損切りをして資金を回転させることを勧めている場合もあるでしょう。

でも、本で読みかじった程度で、なんら専門知識を持たない自分が、プロフェッショナルである機関投資家の人達と同じ証券取引所で株の取引をしていて、相場の予想で勝てるわけがないでしょう?

上がると思ったA社の株が下がってしまった。

その時点で、A社からB社の株に買い換えるとして、「A社はもう上がらないのか?」、「B社は本当に上がるのか?」。

そんなこと、わかりますか?

Aを損切りしてBで取り返せればいいけれど、Aが上がってBが下がったら、Aで損切りしたうえにBでまた損をするダブルパンチをくらいます。

私は安易に、自分に相場を読むセンスがあるなんて勘違いの自信を持ったりしません。

大切な自分のお金をかけているんだから、慎重にならなきゃウソです。

「自分は凄腕の相場師ではないので、A社B社のダブルパンチの大損をしないなんてことはない、安易に買い換えたらきっと大損をする」と考えます。

損切りは相場を読める人の高騰テクニックなので、15年株をやってきても、私にはできません。

過去にやった損切りは、株価が下がったまま何年も動かない銘柄に痺れを切らして、上がっている株と抱き合わせで、トータルがマイナスにならないように売ったのが数回。

それから、投資している会社を信用できなくなって、損を承知で売ったのが1回。

そのときは、たしか東日本大地震の以前から投資していた企業が、震災の後、「太陽光発電事業を始めて売電収入を得る」と言い出したのです。

それで、「早期に申請を出すことで売電単価が引き下げられる前の良い条件の発電所を作りたいから、発電用地を買う資金を集めるために新株を発行する」といったのですが、それが「事情が変わってきたのでやめた」というように方向が変わって、「目的を決めてお金集めしたのに、それを勝手に”やっぱやめた”で集めたお金を別のことに使うなんて、誠実さに欠ける」と思ったから、損切りをしました。

資金を回転させて利益を増やすための損切りは、1回もしたことがありません。

だって、自分にそのテクニックがないのはわかっているから。


安いと思って買った株が、買った値段からさらに安くなったら。

そんなの、すごく安くなってるんだから、追加で買えばいいじゃありませんか。

長期のチャートで見て、今が安い水準にあることはわかります。

でも、今が底値かどうかは、素人の私にわかるわけがありません。

1番の底値で上手に買うなんて、ヘタクソの私には無理です。

だから、安いと思ったら買う、下がったらまた買う、さらに下がったらもっと買う。

株価が上がってきたときに振り返ってみると、最後に買い増しをした時の値段が大体底値に近いです。


もちろん、株価が下がったまま、潰れて無くなってしまうようなボロい銘柄はダメですよ?

一流銘柄を売買する場合のお話です。

例えば私が持っている銘柄だと、日本たばこ産業(JT)の株があります。

過去10年のチャートで見ると、2016年頃の4800円台が高値ですが、さらに前には6000円台だったこともある銘柄です。

それが3000円以下まで下がってきた2018年頃に買いました。

そこからさらに下がって、安値は1700円台ですから、一時期は買った値段から40%くらいは株価が下がっていました。

でも、JTは製造や流通が規制されている”たばこ”という商品を扱うために、国が定めた会社です。

日本たばこ産業株式会社法という、専用の法律まであって、会社の株の3分の1くらいは国が保有しているような、半分国営の、倒産の心配のない会社です。

業績だって黒字経営を続けていて、配当金利回り率も高い。

こんな会社の株、下がったら買うしかないじゃありませんか。

買い増しで平均単価を下げつつ買っていって、現在は株価が4200円くらいです。

2016年頃から8年かかったけど、もうちょっとで株価が僕の買った平均単価の2倍になります。

8年で2倍なら、1年で12.5%儲かっていることになるし、配当金もたくさんくれるので、ゆうに年15%は儲けさせてくれている銘柄です。

2倍になったら、売買利益で配当金10年分以上の儲けなので売ります。

そのお金で、他に配当金をたくさんくれる銘柄を買ったら、JTから今後10年分の配当金相当額をもらった上に別の会社からも配当金をもらって二重で儲かるし、JTの値上がり分だけさらに配当が増えます。

例えば、100万円の資金で配当金利回り率5%の株を持っていたら年間の配当金は5万円だけど、株価が上がって100万円の資金が200万円になったら、買い換えた後の銘柄の配当金利回り率が4%でも、200万円の4%で8万円です。

最初に用意した自己資金100万円が倍に増えた上に、自己資金100万円で年間8万円の配当金をもらえるなら、実質的には配当金利回り率は8%です。

売買利益で100万円儲けた上に自己資金に対する配当金利回り率8%なので、大儲けという理屈です。


損切りの初心者さん達に言いたいです。

株は、安いときに買って高いときに売ることで儲かる投資なので、下がったとき、安くなったときに売るのはただの損です。

世の中には高いときに買って、さらに高いときに売る人もいますが、それは上級者です。

例えば、「この銘柄のチャートを見ると、いつも株価1000円くらいまで行くと下がってきてしまう。これは1000円くらいのところで売り注文が集中しているということだ。買い手が優勢になってこの1000円の壁を超えてくれば、そこからさらに上がるぞ」みたいな考え方で、「高くなったらもっと高くなるので、高く買って儲けることができる」というケースもあるでしょう。

でもそれは、上級者のお話です。

基本は安いときに買って高く売るので、下がったから売るなんてアベコベなことをしていたら、儲かりません。

損切りなんて高等技術を、初心者が簡単にやろうとするのは、、慎重さに欠けると思います。