自転車の一時停止違反や信号無視などを青切符処理の対象にする閣議決定がされたそうです。

そのうえ、取り締まりの対象が16歳以上になるというのは更に納得できません。

 

まず、交通違反の青切符処理の制度は交通反則通告制度というもので、比較的軽い交通違反を行政処分する制度です。

軽微な交通違反を「道路交通法違反の違法行為だ」といっていちいち事件化していたら、警察も検察も裁判所も、業務がパンクしてしまいます。

それに、「道路交通法違反の刑事裁判で有罪判決を受けて前科が付いた犯罪者」が世の中にあふれかえってしまいます。

だから、「刑事手続きの前に行政手続きで済ませてしまおう」という交通反則通告制度があるわけで、つまり道路交通法違反の違法行為を行政的に処罰する制度です。

 

それを16歳以上を対象にするというのです。

おかしな話ではありませんか?

子供による違法行為があった場合、14歳以下は『触法少年』といって、法に触れる行為をした少年になります。

でも、14歳以下は刑事責任能力のない刑事未成年者なので、犯罪にはなりません。

15歳以上になると、犯罪行為をした少年の『犯罪少年』になります。

犯罪少年の犯歴は成人の犯罪の前科とは別モノなので、子供の時の罪は前科が残りません。

 

そのような年齢の定めがあるのだから、交通違反の青切符処理の制度が違法行為の処分に関するものである以上は成人と同じ年齢の定めで取り締まるべきではありませんか?

つまり、「14歳以下は責任能力がなくて、15歳以上は責任能力があるから、15歳以上を取締りの対象にする」というのなら、私は少なくとも年齢規定に関しては納得します。

現に、成人年齢が引き下げられる前の20歳だろうが、引き下げ後の18歳だろうが、法律上は16歳になったら運転免許の取得の資格があって、違反をすれば切符を切られるのですから、未成年でも取り締まり対象になるのはなにもおかしくありません。

が、16歳は免許取得の資格を得る年齢であって、取り締まりの対象になる年齢ではないはずです。

だって、刑事未成年者は14歳以下で、15歳以上は犯罪少年になるのですから。

だから、16歳の年齢規定は納得がいかないところです。

むしろ、成人年齢の18歳までは自転車の軽微な違反くらい見逃したって良いと思います。

今、法律を決めている国会議員を含めて、私達大人は交通取締りのゆるい時代に生まれ育ってきたのですから、自分達が許されていたことを子供にだけ制限するとしたら、そこには合理的な理由があるべきでしょう?

自分はやらないで人にだけ制限を課すのは卑怯者のすることだと思います。

これが、統計のデータかなにか、目に見える数字でしっかりと理由があって「自転車の高校生の交通事故死が急増しているから、若い命を守るためにやるんだ」というのなら正当性がありますが、そもそも高校生が通学に自転車を使うことが多くて、若さと体力があるので結構スピード出して乗るなんてことは昔から変わりません。

車の自動ブレーキが発達するなど、設備面で安全性が増しているし、自転車の高校生が変わらなくても社会が変わった分だけ安全になっていると考えられます。

特に、車の携帯電話使用の違反の反則金は十数年前は7000円程度でしたが、今では1万円を超えて厳罰化されています。

ドライバーへの制限が厳しくなっているのだから、当然ながら道路の安全性は増していなければおかしいです。

 

ここから先は状況から私が勝手に妄想していることで、制度の話も客観的な証拠もありませんが、正直な話、「交通違反の反則金は国庫へ入るから、政治家がお金集めたいだけなんじゃないの?」と思っています。

一応、交通違反の反則金は国庫から各都道府県の公安委員会や交通安全協会などに分配されて、標識や信号機を修繕するなどの交通安全のために使われることになっています。

が、政治家が勝手に使途を変えてしまうなんてなにも珍しくないでしょう?

今も昔も高校生の自転車がスピードを出して走り、時に斜め横断や一時停止違反、信号無視などをすることが多いのは変わりません。

これを違反だといって全国で取り締まれば、そりゃあまとまったお金が国庫に入ることでしょう。

そのお金を負担するのは、子育て世代の若い人達です。

円安が進み、物価が上がって、夫婦は共働きでなんとか生計を立てている時代ですよ?

政治家のお年寄りたちが若かったころの、1980年代や90年代とは違うのです。

男がバリバリ働いても、妻子を養うだけのお金を稼ぐのが難しいのです。

そんな時代に、しかも少子高齢化の社会で子供が貴重な、国の宝だというのに、その大切な子供を育てている親たちに子供の自転車の交通違反の反則金を課してお金を集めようなんて、外道のすることではありませんか?

現代日本では国の借金が増えて、歳出のおよそ4分の1弱程度が国債費です。

100億円あったら23億は借金返済で持っていかれるのが日本の財政です。

国を借金まみれにして、お金がないから子供からお金を取るというのは、いい大人が見下げ果てたものです。

その一方で、政治家がきちんと申告をしていなくて税金を支払っていないのが昨今テレビなどで話題になっているんですよね?

自分の払うべき税金をちょろまかしておいて、お金がないから子供を取り締まって、子育て世代の若い人達からお金を搾り取るようなクズを選挙で勝たせて国会へ送り込んでいるのは、正直私達大人なのですけれど、私自身も含めて、大人は全員、自分自身の政治への無関心を深く反省するべきだと思います。

 

敢えて新しく自転車を交通取締りの対象にする、その理由は何でしょう?

ただ結果として「取り締まります」だけが報道されても、その決定に妥当性があるように見えません。

私はこのニュース記事を見て「政治家はクズだなぁ」と思いました。

閣議決定ということは、岸田総理以下内閣の閣僚たちが決めたことなのでしょう。

ということはつまり、内閣のトップである岸田総理は最低だってことになると思います。

自転車の取締りが悪いとは言いませんが、対象年齢の部分を検討し直してほしいものです。