坂本雅彦のブログ

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国会議員政策担当秘書、学者

核を隠さん。

 12月18日、記者団に核軍縮・不拡散問題担当の尾上定正総理大臣補佐官が「日本は核保有すべきだ」と語ったことが波紋を呼んでいる。尾上補佐官は元航空自衛官で、2023年から防衛大臣政策参与を務めた人物。首相と同郷の奈良県出身で防衛問題のブレーンを担っている。尾上補佐官の発言を受けて野党、マスコミ、一部の与党議員からも更迭を求めると共に首相の任命責任を問う声も上がっている。

 核を持つべきと考えている人物を核軍縮担当にしていることが問題だとされているがそれは一義的に過ぎる。核軍縮に反対しているのはロシア、中国、北朝鮮、イラン、ニカラグアの5カ国。日本はロシア、中国、北朝鮮の3カ国が海を隔てて隣接した最前線の立地している。いわば、核兵器からの密接な脅威に晒されているのが日本なのだ。アメリカは世界で最も強固で信頼でき、現代的な抑止力としての核保有を否定しない。日本を含めたアメリカの同盟国を守る為にも核は必要不可欠だという認識にある。核兵器禁止条約には世界で唯一の被爆国である日本も加害国であるアメリカも参加していないのは非核国の安全が脅かされるからである。

 今回の尾上補佐官の発言を受けて高市早苗事務所は「政府としては、非核三原則を政策上の方針として堅持しています」とコメントしている。高市首相は令和4年に発行した櫻井よしこ氏との対談を収めた共著(「ハト派の嘘」産経セレクト)の中で非核三原則に関して、『「持たず」「作らず」を守ることは良いとしても、「持ち込ませず」の例外を認めることを選択肢に含めるべきだ』としている。『いざ有事の際に「持ち込ませず」を徹底してしまうと核兵器を搭載した米国の戦艦が日本の領海を通行できなくなったり、核兵器を搭載した米国の戦闘機が日本の領空に入れなくなる。「持ち込ませず」に拘り続けると米国の核抑止力は機能しない』と表明している。

 高市首相の志向は非核三原則を堅持するという姿勢とは一見矛盾しているように思われるがそうではない。かつて民主党政権時代の岡田克也外相が「有事が発生し核兵器を搭載した戦艦の寄港が必要となった場合、それはその時の政権が運命を賭けて決断し、国民に説明する」と答弁している。この答弁はその後の安倍政権時代にも引き継がれている。高市首相も同様のスタンスにあると考えられる。つまり、内閣が「非核三原則を守るのか、国民の命を守るのか」という厳しい状況になった場合、それは時の政権が判断することであって、将来にわたって縛ることはできない、という立場にあるということ。

 考えてみれば当たり前のことである。非核三原則を守ることによって国民の命が失われるようなことがあっては本末転倒である。そのようなスタンスをとることはロシアや中国、北朝鮮に屈服や服従を示すことイコールなのではないか。