ダークザウラーとの邂逅から数日後のことである。ウルブレードたち地底帝国の戦士たちは、神殿に集められていた。ダークザウラーを封印していた像は見るも無残に砕け散っている。それは、あの戦士の存在が夢幻ではないという事実をいやがうえでも突き付けていた。
戦士たちは軒並みダークザウラーによる攻撃を被っていたが、なんとか戦える状態にまで回復していた。とはいえ、傷は完治したわけではなく、全力で戦えるとしたら、ウルブレードをはじめとした総大将3体だけだろう。
「私たちをこんなところに集めてどうしようというのかしら」
ソニクジャクが足を踏み鳴らしながら愚痴を吐く。彼女としてはダークザウラーに降伏したのが気に入らないようだが、カオスプテラに敗北した手前、あまり強く言えないのが現状だ。
「大方、他国侵略についてだろうさ。それ自体は構わないが、奴の下につくというのはどうにも解せないな」
「気持ちは分かる。だが、これは奴を倒すチャンスでもあるのだぞ」
ノロイムカデの意外な発言に、ウルブレードは瞠目した。
「チャンスってどういうことだよ」
「簡単なことじゃ。奴が他国の戦士を相手するのに夢中になっている隙に、どさくさにまぎれて奴にとどめを刺す。あやつさえ消してしまえば、部下の2体など恐るるに足りん」
「まさか、あの時ダークザウラーに従うそぶりを見せたのは、最初からこれを狙っていたからか」
「そうじゃ。わしが無条件で降伏するわけなかろう」
腹の底に抱えているものがあるのではないかと逡巡していたが、やはり、こんなたいそれたことを目論んでいたか。改めて、このじじいは敵に回すべきではないと悟ったウルブレードであった。
「隙をつくのはいいとしても、具体的にはどうするのよ。こっちも他国の戦士と戦わなければ、あいつに不自然と思われるだろうし」
ソニクジャクがもっともな疑問をぶつけるが、
「そこまでは考えとらん。相手が分からないんじゃ、具体的な作戦など立てようがないしの」
意外にもあっさりとした回答が返ってきた。やはり耄碌じじいは耄碌じじいかと、ウルブレードは心の中で軽蔑した。
「集まっているようだな」
重苦しい声とともに、あの三体が姿を現した。ウルブレード達に緊張が走る。
「そなたら、目的はもう分かっておるな。これより、我が野望のための第一歩として、隣国の侵略を開始する。その記念すべき一つ目の国を決定した」
「それはどこでございましょうか」
ノロイムカデがゴマをする。この豹変ぶりは舌を巻くばかりだ。
ダークザウラーは大剣を掲げ、高らかに宣言した。
「その国とは、海底帝国ザブーンだ」