ソニクジャクは立ち上がろうとするが、体の節々を動かそうとするたびに激痛が走る。風切頭領軍は、機動力を自慢にしている戦士たちがそろっている。先制攻撃を基本とし、相手に攻撃を許さない。たとえ攻撃されたとしても、回避すれば問題ない。
そんなヒットアンドアウェーを信条にしている彼女たちにとって、最大の弱点は打たれ弱さだった。現に、ウルブレードの一撃で、体力を根こそぎ奪われている。手下の二体があっという間にやられたのも、この防御の手薄さが起因していた。
ウルブレードは、ソニクジャクの喉に切っ先を当てる。抵抗したらそのまま貫く。無言ではあるが、そんな決心が伝わってきた。
「まさか、あんたの野心がそれほどのものだったとはね。あんたを掌握して、ついでに地底帝国をも制圧しようとしていた私とは違うわけだ」
自虐的につぶやいたが、返答はなかった。むしろ、返す余裕がなかったといえよう。しかし、その眼だけはまっすぐにある一点を見据えていた。その先にあるのはソニクジャクではあるが、実際はソニクジャクを超えた先を捉えていたのだ。
「エレキバット、コルコンドル。これ以上長居する必要はないわ。とっとと帰るわよ」
ソニクジャクは、そう言いながら両手を上げた。それに対し、ウルブレードは静かに刃を収めた。不文律ではあるが、この戦いの勝者が決定した瞬間であった。
エレキバットとソニクジャクに支えられながら、ソニクジャクは立ち上がった。と、ウルブレードも仰向けに倒れそうになるが、すぐさまブルドリラーが衝立となる。部下のお世話になるという情けない姿ながらも、両者は熱い視線を交わしあった。
ソニクジャクは、ウルブレードに人差し指を向け、
「今回は負けを認めといてあげる。だけれども、地底帝国の皇帝としてはまだ認めたわけじゃないから。それは、あのじいさんも同じでしょうね」
そう言い放つと、振り向きもせずに、闇夜の中に消えていくのだった。
こうして、ウルブレードは改めて地底帝国の皇帝の冠を授かることになった。しかし、ウルブレードはどこか気持ちが晴れないでいた。強さを求める己の道に間違いはないはず。では、真の皇帝とはいかなるものなのか。
その答えを知るのは、もう少し先の話である。
第一部 戦闘編完
最後の最後でエエッと思ったかもしれませんが、実は今回で第一部が終了したんですね。ええ、まだ完全に完結してませんよ。なにせ、まだまだ未登場のキャラクターがいるじゃないですか。
構想上、この物語は4部構成になります。つまり、次回44話からは新章である第2部がスタート。と、その前にちょっとやりたいことがあるから、次回更新まで少し間が空くかな。