女装とは男が女の恰好をするということ。

ブラ&ショーツを着けて、スカートを穿いたり、ワンピースを着たり、メイクして、ウィッグを被って、イヤリング付けて、パンプス履いて、バッグを下げては、本来女の子がすること。それを男がして、女の子になったつもりを楽しもうと言うんだから、とんでもないびっくりするようなことが起こります。それが初めてのことならなおさらです。

 

わたしの衝撃の「初」選です。

 

1.緊張、感激、落胆の初女性服ゲット

女の子の服を着たいと思っても手元になくては着ることができません。今のようにネットで何でも手軽に買えればいいんですが、それができなかった時代は直接買いに行くしかありませんでした。これがけっこうハードルが高くて、特に初回は・・・。では、なぜ高いのか。よく考えてみると買いに行く側がそれほど高くもないハードルを勝手に高くしているのかもしれませんが、

しかし、そのお店の対応してくれたスタッフさんと、後日、どこかで顔を合わせるということもあります。付き合っている彼女の友達だったとなれば最悪です。

しかし、不思議です。こういうことに関して共通の情報がなかった時代においても、皆さん悩んだ挙句に共通したセリフ「プレゼントなんですけど・・・」を発して買っていたんですね。わたしもそうでした。

緊張の末に感激のゲットでしたが、着てみて落胆でした。ただ男が着ただけでしたから。

 

2.落胆の初完全女装

 

エリザベスにまつわる思い出(2) | 絶対美人になってやる! (ameblo.jp)

 

 

3.感動、感激 「これがわたし?」そして初お出かけ

 

エリザベスにまつわる思い出(4) | 絶対美人になってやる! (ameblo.jp)

 

 

4.おぞましの初フ

大阪のマンション型女装ルームでの出来事

「おえ"~っ!」。

おぞましかったです。

 

5.おぞましの初舌入れられ

またもや「おえ"~っ!」舌まで入れてきやがった。

これもまたおぞましかったです。

 

6.衝撃の初映画館

恋人や家族で行く映画館だけが映画館ではなかったのです。

 

中でも一番の衝撃はこれ

7.戦慄、殺されるかと思った恐怖の初ホテル

 今となっては笑い話です。でも、その時は恐怖でした。「殺される」かと思いました。当時公開しなくてもブログに逐次おつきあいの経過を残しておけば、面白いノンフィクションの読み物ができたと思います。

 

以下、一部事実に基づく粉飾もあります。

 女装スナックの会員となっての女装ライフにもそろそろマンネリ感が漂い始めたころ、ある男性がわたしのことをお気に入りにしてくれました。ドライブや買い物やお食事とデートを重ねていきます。わたしは当然これはお互いに「おんなごっこ」だと思って楽しんでいました。つまり、わたしは自分が男なんだけども本物の女になったつもりで、彼はわたしのことを男とわかっているんだけども本物の女と接しているように振舞うことで、お互いに疑似恋愛ごっこを楽しんでいるものだと思っていました。これはけっこう楽しかったです。

 デートの開始時には「もう会えないかと思っちゃったわ。寂しかったわ」。デート中に彼が他の女の人に目をやると「ダメ!」とか。デートの終わりには「今度いつ会える?約束よっ」とか。運転席から助手席のわたしの内腿に手が伸びてきたら「いや~ん、エッチ」とか。

とこんなふうに、けっこう「ごっこ」を二人でというよりもわたし一人で楽しんでいました。

夜のデートでは人通りが多いところでも男の人と腕を組んでそのままもたれかかって体重を預けて歩けばそれなりに女に見えるみたいで、こうなるともう何も怖いものなしです。こんなとき、本物の女の子だったらどんな言動を取るか考えながらのデートは最高に楽しかったです。

 しかし、これはまずいかな、そろそろどこかで歯止めをかけないと思うようにもなりました。彼の口から「ホテル」の3字がチラホラと出てくるようになったのです。いつまでも「ま・た・こ・ん・ど」と可愛らしく返事していればいいというわけでもありません。

男の人との体験についてはちょっと好奇心もありますが

①女装しても心は男なので絶対に男の人とはする気になれないという気持ち、

②男の人としてみれば一気に女らしさがアップするとも聞くからしてみるのもいいかも、という気持ち、

③ハマってしまうのがこわいからしたくないという気持ち、

などが交錯していました。、わたしは断固①の姿勢であったはずなのですが、次第に①は失せて②か③かになってしまって、女装とはこのようなセクシャリティ―感覚をも時間をかけて変遷させるものなのかと、そういう女装の一面を怖いとも思いました。

そして

「ホテル行こうか」

ある夜の居酒屋での食事のあとです。

何の準備もできていなかったわたしは,この時、つい「うん」と言ってしまいました。ホテルとはもちろんラブホのことです。まずいです。どうにかしないといけません。彼の車が信号で止まる度に助手席から外へ逃げ出そうかとも思いました。でも、それでは、もう女装ができなくなる。ここで逃げても彼は追ってくる。わたしが会員になっている女装スナックへ通えばいずれわたしを捕まえることができるのですから、逃げ切れません。会員をやめればいいかもしれませんが、そうなると女装活動が大幅に制限されることになります。それは嫌です。

 わたしは、もう開き直って流れに任せることにしました。

 

けっこう豪華なホテルでした。ラブホではなく分類からするとシティホテルというホテルだったみたいです。

でも「開き直って流れに任せることに」とは言ってもやっぱり嫌です。痛そうです。 酔っぱらってベッドの上で眠ったふりを決め込みました。思いつくこととしては、まずはこれしかありません。あくまで眠ったふりをするつもりでしたが、そのままうとうとと眠ってしまいました。

すると、彼はわたしの体をくすぐってきます。

眠りに入ってしまったわたしは彼の手を強く払いのけてしまいました。

「おい、こら!」

彼の大きな声で目を覚ましたわたしでしたが、彼をちょっと怒らせてしまったぐらいにしか思わなくて、「あら、ごめんなさいね」と言って眠り続けました。

「おい、こら!いいかげんにせんか!」

パチンっ、と頬に平手打ちを食らいました。

彼が尋常ではないことに一気に覚醒しました。覚醒と同時に「あ、すいません。すいません。すいません。すいません・・・」と即座に正座して謝っていました。

もはや、かわいらしく、吞気に「あ~ら、ごめんなさ~い」などとやってるそんな場合ではないと、瞬時に判断しました。

「こら、どうなってもいいのかっ!」

「あ、は、はい、すいません」

バスローブのベルトがわたしの首に1回半巻かれて絞まります。

「うぐぐ・・・」

「ホテルに女装した男性の遺体」という見出しがわたしの脳裏に浮かびました。女装を楽しんできた果てがこれだったのかと、女装と出会ったことを後悔しました。

すると、首に巻かれたバスローブのベルトが一瞬緩みました。これで死ななくて済むと安心したのもつかの間、彼に突き放されました。とりあえず、そのまま勢いに任せてベッドから床へ転げ落ちようと試みましたが、

「うぐぐっ」

わたしの首にはまだバスローブのベルトがまかれたままでした。このまま転げ落ちると危険です。慌ててベッドからの転落を阻止すると再び彼のもとへと這い寄りました。大の男が女装してしかも命乞いをするなど見苦しいかもしれませんが、そんなことは言ってられません。

「うふ、うふふ、ごめんなさい。つい眠くなっちゃって、うふふ」

でも、もう手遅れです。彼の怒りは間違いなく本物です。

「うっ、うぐっ」

また、バスローブのベルトが締まります。今度は間一髪でベルトと首の間に右手の指を滑り込ませることができました。

「このっ」

わたしの着ていたスーツのジャケットに彼の手が掴みかかりました。そんな乱暴に脱がされると破けたりしては困ります。半ば自らジャケット次いでスカートを脱いでいました。とりあえずは抵抗するのはよくありません。この状況でどう対応したらいいのか、「あんっ、いやんっ、やめてっ」と可愛らしく振舞うのも何か違うような気もしますし、バスローブのベルトはすぐそこ。抵抗するとまたわたしの首に巻かれるかもしれません。ここはとりあえず、ショーツとパンストも自ら脱いで様子を観ることにして、スリップはどうしようか迷いましたが、スリップも脱いでウィッグとブラジャーだけの姿になってしまいました。

(きゃー恥ずかしい)

「ちゃんとしろっ」

「は、はい、わかりました」

とは言ったものの、何をちゃんとしたらいいのか。

まさかこんな情けない格好を他人に見られるなんて、でも恥ずかしいとか言っていられません。女装を完成させる段階で誰もがメイクを終わって、頭にウイッグを被るまでに、頭にはウィッグネットを被った状態があります。この状態を最も情けなく感じると言いますが、それと同等かそれ以上の情けなさです。これでもしウイッグを剥ぎ取られたらと思うと、頭のウイッグネットとブラジャーだけのもうこれ以上の情けない姿はないでしょう。もう言いなりになるしかありません。女装のまんまで、しかも身に着けているのはウィッグとブラジャーだけです。こんな格好のまま殺されたくはありません。

 

従順な可愛らしい女を演じるしかありません。でも「おおっ!!!!」恐怖です。こんなのが入ってきたらわたしの体は真っ二つに割けてしまうのではと思いました。

どうしたらいいのか、この状況で抵抗するのは賢明ではありません。抵抗して「ホテルに女装した男性の遺体!」となってしまっては洒落にもなりません。マスコミが好んで食らいつきそうなネタです。本気で抵抗してホテルのスタッフや警察を巻き込むという方策も頭の中に浮かびましたがそれはやはり賢明ではありません。それならば、ブラジャーとウィッグだけの姿でここから逃げ出すか、彼の殺気もずいぶんと治まっているようです。すぐそこに脱ぎ捨てられたショーツぐらいは穿いて逃げ出せるかもしれません。夜の街でブラ&ショーツで保護される方が殺されるよりもましかもしれません。こんなときに備えて下着は勝負下着もしくは恥ずかしくないそこそこ高価なものを着けて女装するべきだったとも思いましたが、それならば、さっきのホテルスタッフや警察を巻き込む方がいくらかはましです。ブラ&ショーツで夜の街に逃げ出すようなそんな度胸はわたしにはありません。であれば体が割けないことを祈って従順な可愛らしい女を演じるしかありません。

ベッドの上に仰向けに突き倒されて、お尻を天井に向けさせられました。彼は必死に挿入を試みます。これでわたしも体験済みになってしまうものと覚悟しましたが、すぐに、わたしに余裕が出てきました。

「あ、これは絶対に入らないな」と。相当に固いようです。

あとは彼が諦めるのを待つだけです。多分諦めるのは時間の問題でしょう。こうなると、可愛い女を目いっぱいに演じるだけです。

「あんっ」「ああんっ」

でも問題はまだあります。彼の殺気が完全に消滅するとは考えられません。挿入できなかった鬱憤を、暴力的にわたしに向けて来ないか、です。

 彼が諦めました。へとへとのようです。

「ごめんなさいね。わたしが悪いの、許して」

と精一杯可愛らしく振舞おうとします。入らなかった鬱憤をなんとしてでも霧散して上げなければいけません。でも、何か変。あ、そうか。ブラは着けていても、そう、下半身がすっぽんぽんだから。さっき脱ぎ捨てたスリップに手を伸ばして被って裾を整えて改めて

「ごめんなさいね。わたしが悪いの、許してね。ね。お願い」

ベッドから降りて、両内腿を合わせて立って股間を隠しながらスリップの裾を整えるしぐさが最高に色っぽく女らしくできたと自分でも感心しました。

スリップはわたしにとっては特別の思い入れがある女装アイテムの一つです。身に纏うだけで一気に女らしさがアップします。常日頃から一人ファッションショーを楽しむときにそのことは何となく感じていました。ワンピースやブラウス&スカートよりもスリップの方が、もちろんアウターとインナーですから同じ土俵の上でそのアイテムが持つ女性らしさを比べることはできませんが、特別の魅力がスリップにあることは否めません。それにしても命がけでやれば何でもできるのですね。

彼も優しくわたしのことを慰めてくれて、いったんは「もはやこれまでか」とまで観念した事態も事なきを得ました。めでたし、めでたし。

でも、この件に関しては、わたしにも大いに反省すべきことはあったと思います。この後しばらくは女装を自粛しました。

 

 

でも、女装してのホテルは大変だと思いました。部屋へ入ってメイクを落とすか落とさないか、落とさないならば帰るタイミングを気にしなければいけないし、落とすならば次のメイクをいつどのタイミングで始めるか、いろいろと悩みます。

 

 

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