まさかビザを取得した私がこんな目に合うとは露知らず
10時間もの長時間拘束
生きた心地がしないとはまさにあの時間
事が起きたのは2022年5月21日
ロサンゼルスに到着
審査官「いつまで滞在予定だ」
私「高齢女性の介護をするから半年滞在できればいいかな」
審査官「お前ビザあるのか。航空券は持ってるのか?」
私「航空券ってビザあるならいらないって聞いたけど」
審査官「…。駄目だ。お前はあそこの部屋に行け」
と言われて別室に連れていかれてしまった
【別室1】
何十人もの入国者が待機していたりテレビがついていたりと活気のある大きな部屋
審査官とは銀行窓口のような透明の衝立越しに話をする
ここからスマホの使用は不可になるので注意
別室では違う審査官に尋問をされるのだが今回はどことなくアジア系の審査官ということもあり、しっかりと理解してくれそうだなと思えた。だがそんな展開には程遠い結果が待ち受けているのであった。まさに万事休す。
審査官2「お前は介護をするために今回やってきたんだよな」
私「そうそう。おばあさんは料理することや歩行が一人ではまだ困難だからまた助けに来たんだ」
審査官2「お前はおばあさんから何かもらってるのか?」
私「何も貰ってないよ。ただ、宿泊費と食費はなしにしてもらってるけどね」
審査官2「嘘をつくな! それだけで介護しに来る訳ないだろ! お前はおばあさんからお金をもらっているんだ!」
私「嘘なんてついてない」
審査官2「さっきおばあさんに電話したらお前にお金を渡していると言ってたぞ! さあいくら貰っているか言うんだ!」
私「いくらも何も貰ったことないから。もしおばあさんがそう言ってるなら彼女は若干物忘れがあるので間違えて言ってるのではないかな」
審査官2「彼女は額面までしっかり言ってたぞ。お前は嘘をついた。これが最後の質問だ。お前は一体いくら貰っているんだ?もしお前が嘘をついたら今から牢屋に行ってもらう。そしてアメリカへは10年以上来ることができなくなるからな!」
私「いやだから貰ってないから!」
審査官2「分かった。お前は今から日本へ帰ってもらう」(いや牢屋に行くんじゃないのかよ!笑)
あー。終わってしまった。なぜこんな冤罪で強制帰国させられなければならないのだ。こっちは日本のアメリカ大使館で面接までしてしっかりとビザを取得しているというのに。
足を肩幅以上に開き、両手を壁に付ける。これはまさか! よく洋画で見ていたあのシーンではないか! 興奮して勃起しそうになったが現状を冷静に考えて興奮を抑えつけた。
そういえばなんで日本に帰るだけなのにこんな部屋に押し込まれているのだ?
審査官2「よし。それじゃあそこの部屋で待っていろ」
なんだよ、どんだけ別室があるんだ馬鹿野郎。
【別室3】
第三の別室は別格。いかにも犯罪者と言えるような見た目の入国者がゴロゴロ滞在しているではないか。
8年前に中米のパナマで密入国疑惑をかけられて一晩拘留した時と同じような人々で感覚的にはデジャブに近い。
それでもカップヌードルやスナック菓子がフリーで食べられるだけでなく、テレビが見られるしシャワーまで浴びられるというていの悪い空港ラウンジのような設備に文句は言えない。
ここではひたすらに待たされた。周囲の仮犯罪人達がどんどんいなくなっていくのに私だけ取り残されていく。幼少期にかくれんぼで遊んでいていつまでも見つからなくて辺りが真っ暗になって、皆が先に帰っていたことを思い出してしまった。
このままいつまでも鬼に見つけられることなく日が暮れていくのだろうと思った矢先、ようやく声がかかった。
まさにコスタリカ人のような風体の身長低めのシュッとした30代くらいの色男。
まずは今回の入国の目的や滞在期間などこれまで話してきたことを徒然話す。
審査官3「それで今回はいくら持ってきたんだ。銀行残高を見せなさい」
そう言われ、私が持っている銀行の詳細を各銀行ごとのアプリを使って見せる。そして審査官は入出金明細を詳細に調べる。
審査官3「ここで100万円の振込があるけど、この振込んだのは誰だ?」
私「自分のアカウントから資金を移しただけ」
審査官3「そしたらその口座も見せなさい」
まさかの展開だった。ここまで詳細に調べられてしまうのかい。かつて海外で裏バイトをしたことが露呈してしまうのではないかとヒヤヒヤしたが、どうにか難局を乗り切ることができた。
この色男はこれまでの審査官と違い、詳細に事実を調べようとしてくれる冷静沈着な対応。この人なら入国できるかもしれない! そんな気にさせてくれた
そして一通り説明を終えるとまたラウンジに戻り吉報を待つことに。
もうどれだけ待っただろうか。8時に到着したというのに時計は既に18時を回っていた。スマホがないため友人との約束もすっぽかさなければならないという事態。せっかく日本から頼まれていた荷物を持ってきたというのに。そんな絶望感が襲ってきた時だった。
審査官3「おーい。来てくれ」
ようやくお呼びだ。
審査官3「荷物を全部回収して。それじゃついてきて」
私「え? ついていくってどこに行くのよ」
審査官3「これで君はフリーだ」
えー! さっき日本に帰国する便を手配してるとか言われてたけど入国できんのかい!
審査官3「今回は君が帰国便を購入してなかったからこれだけ時間がかかったんだ。次からは気を付けて。それじゃアメリカを楽しんで」
と笑顔で見送ってくれたのだった。
自由の国アメリカ。
入国するのも拘束するのも自由。
入国したら自由に暴れてしまおうと、フェンスの向こう側にいた巨鳥を自由に撮影していたらそれが米軍基地だったことで3時間も拘束。
This is アメリカ