泉佐野市長の発言です。
総務省の指導に従わなかったとして、泉佐野市は6月からふるさと納税制度の対象外になる可能性が高くなりました。
それに対して、「法改正前の行ないに対して、懲罰的な扱いをするのはおかしい。法治国家のやることではない」と発言したわけですね。
このニュース、泉佐野市が悪いとか、総務省の陰謀だとか言われていますが、この発言自体をもっと重視するべきではないかと僕は思います。
今までの経緯を簡単にまとめてみました。
①ふるさと納税で、泉佐野市がAmazonギフト券など大盤振る舞いをして寄付を集めまくる。
②「過度な返礼品は禁止」と総務省が指導。
③あくまで指導であり、法的拘束力はないということで、泉佐野市は大盤振る舞いを続ける。
④業を煮やした総務省は、一定基準以上の返礼品を出す自治体はふるさと納税の対象外とする法改正を提案し、国会で成立。6月から施行される。
⑤「法改正が施行されたらもちろん従う」と泉佐野市。
⑥「いやいや、今まで大盤振る舞いしていた自治体は6月からすぐ対象外にするかもしれませんよ」と総務省が脅しをかける。
⑦「遡及的な適用は、法治国家のやることではない」と泉佐野市が激怒。
泉佐野市の言うこと、もっともじゃないですか?
例えば、今問題になっている歩きスマホ。
非常に危ないので、犯罪として取り締まるべきだと僕は考えているのですが、道路交通法が改正され2020年4月から違法行為となり、罰金1万円が課されることになったと仮定しましょう。
この場合、2020年4月以降、歩きスマホをしていたら逮捕され、罰金を課されるのは当然です。
でも、2020年4月に入ってからいきなり「お前、去年よく歩きスマホしていたな。ついては罰金だ!」と言われ逮捕されたら、どうでしょうか。納得できますか。
法律は、過去に遡って適用できない、という大原則があります。
考えてみたら当たり前ですね。
今までの行ないが突然違法とされ取り締まられるような社会は、北朝鮮や中国もびっくりするような独裁体制を招いてしまうでしょう。
総務省は泉佐野市に対し、これと全く同じことをやっているのです。
「法改正後の6月以降も過度な返礼を続ければ、法律の定めによりふるさと納税の対象外とする」、これが本来あるべき法治国家の姿でしょう。
泉佐野市の怒りも当然です。
泉佐野市の態度やふるさと納税の是非云々とは別に、ここはもっと危機感を持って考えなければいけないのではないでしょうか。