出入国管理・難民認定法の改正案が成立しました。
外国人労働者の受け入れ拡大が決まったということですね。
実のある議論をせず、なぜこんなに急いで法律がつくられたのか、とても疑問です。
そもそも、まずは外国人技能実習制度の功罪を議論し、総括しなければいけないのではないかと僕は考えます。
この制度は、途上国の発展を助けるために、日本で一定期間働きながら技術を習得してもらう、という目的で設けられました。
ところが実際は、多くが単純労働に従事させられています。
この制度で本当に途上国の経済発展に貢献できたのか、しっかり現実と向き合うべきでしょう。
また、劣悪な労働環境から逃げ出す実習生が後を絶たないことも、改めて注目されています。
調査によると、最低賃金を守っていない事業者が7割を超えているとのこと。
これは異常でしょう。
しかも、そんな事業者が労働基準法違反で逮捕され、裁判を経て刑罰に処せられた・・・なんていう報道もありません。
つまり、多くの事業者が違法行為を行ないながら、罪を免れているということです。
これはもう、法治国家のやることではないですね。
外国人技能実習制度の総括もせず、人手不足だからと強引に法案を通した政府。
これから起こることは、容易に想像がつきます。
まず、実際とはかけ離れた労働条件を示し、外国人労働者をかき集める行為が横行するでしょう。
騙された労働者は簡単に帰国することもできず、奴隷のように働かされることになります。
彼らの多くは、そんな状況に耐えながら帰国の日を夢見て頑張ることでしょう。
でも、あまりにも過酷な日々に耐えられず、逃げ出す人も出てくるのは間違いありません。
しかも日本は、労働基準法を守らせることすら放棄する、法をないがしろにする政府と見なされていますから、逃げ出した人は法なんて守ろうとはしません。みずから犯罪に手を染める者、弱い立場を利用され犯罪に加担させられる者が続出するでしょう。
その結果訪れる未来は、混沌しかありません。
「人手不足を解消したい」という一時の欲望が、取り返しのつかない事態を引き起こす。
それはまるで、企業の利潤追求のために労働者使い捨てを容認した結果非正規社員を大量に生み、少子化を加速させ、さまざまな社会問題を引き起こしてしまった現状の再現を見るかのようです。
日本人として、これほど情けないことはありません。
法案が通ってしまった以上、警鐘を鳴らし続け、対症療法を行ない続けることしか私達にはできないのでしょうか…。