3月11日(金)午後2:46、
今日は一段と上の人がうるさいな、と思っていたところ、
ガラス戸がガタガタと音を出し、トースターやオーブンが置かれて
いるステンレス・ラックがグラグラと揺れ出した。
これは、騒音じゃなくて地震だ!
私は必死にそれらを抑えつけた。
私の住んでいる所は鉄筋で支えられている為、1階とは言え、
思った以上に揺れは酷かった。
まるでアトラクションにでも乗っているような感じで、気分が悪くなった。
なかなか収まらない揺れに、不安が募る。
暫くして揺れは止まったものの、体がブルブルと震えている事に気付く。
今まで経験した事のない地震に、私の体は正直に反応していた。
幸い、物が壊れたり怪我をする事は無かったが、家族の安否が気になった。
すぐさま母にメールを送信した。
「こちらは大丈夫。そっちは?」
”こっちは大変”の文字と共に送られてきた写真には、冷蔵庫の上から
落ちてきた物が写っていた。
不安そうな様子に、 「今からそっちに行く」と私。
私はマスクを付け、足早に実家へ向かった。
洋間はCDの海だった。高さのあるプラスティック製の引き出しに
入れており、更に引き出し口の方向に揺れたのが原因だった。
ガラスも割れていた。
私は怪我をしないように慎重に片付けた。
”豚汁が壁紙に付いて大変だったのよ”と母は、萎れた様子で言った。
つい2週間前、壁紙を新しくしたばかりだったのだ。
大きな食器棚などは、以前から耐震対策をしていた為、難を免れた。
母の話を聞きながら、私はテレビに映し出された地震速報に目をやった。
震源地や津波情報を知らせるアナウンサー。高鳴る鼓動。
そうだ、地震が来たら、次は津波だ。これから被害が
拡大していくのは間違いない。
暗澹たる気持ちを抱えながら、私はテレビを見た。
私の住んでいる地域は、震度5弱だったようだ。
”震度5弱”
そんなに大きかったのか。揺れてもおかしくない規模だ。
私は不意に弟に連絡していなかった事を思い出した。
ケイタイを鞄から取り出し、安否確認のメールを送信した。
「こちらは大丈夫。そっちはどう?」
”少し物が落ちてきたけど、大丈夫”
元気そうな返事を見て、私は胸を撫で下ろした。
続く…