忠武アートセンターが海になる〈モンテクリスト2023〉 | 韓国ミュージカルを 訳しまくるブログ

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近頃はメモ付き写真アルバムとしても使用中。



11月22日。新航海を始めた〈モンテクリスト〉のプレビューを観てきた。


(客席係が写真を撮っている人々を黙って見守っていたので私も撮影)

 

面白い!

 

新演出が大成功だ。


舞台の大きな特徴は、傾斜のある舞台の真ん中に〈エリザベート〉のような大きな回り舞台。

 

4重の同心円になっていて、それぞれ別々に回転する。中心の円はリフトで高くせり上がる。

 

傾斜舞台なので回転すると高さが変わる。それぞれの回転で変化に富んだ高低差のある床が作れる。迷路のようなモンテクリスト島の洞窟になったり、抽象的な心理を表現したりもする。

 

例えば「地獄ソング」


眩いほど純白な衣装に身を包んだエドモンド。3人組が不正の末成功者になっている事、父親が失意のうちに餓死したこと。報告を受けるたびにエドモンドのうちに怒りが積み重なっていく。


そしてメルセデスが結婚しその相手がモンテゴであるのを知ったとき…怒りが大爆発❗️


絶叫の中、純白な姿が真っ赤に染まる。


ダイナミックに動きながら高低差の生まれる床面が亀裂の入った心のようで、赤い照明に照らされてメラメラと燃え盛る。怪しいダンサーも隙間から湧き出して尋常でない雰囲気を醸し出す。


生まれ変わった地獄ソングも期待を裏切らない!


逆に「過去の姿」許しのナンバーの時は、食い違っていた床が回転し、しまいには隙間から漏れていた白光が見えなくなるほどピタッと平らになる。心の平安を思わせて、2つのナンバーが対になってるに違いない。



今や常識となった精巧な映像を使っているのは勿論だ。監獄から脱出した後は海賊船ではなく、海賊たちのいる島の波打ち際に打ち上げられる。本物に見間違うほどの映像効果だ。


逆に船などの大きなセットはどちらかというと簡略化されてシンボル的な扱いになった気がする。


 

エドモンドの地下牢は以前と同様だったが、穴で繋がっている神父様の部屋も登場して、2人は2部屋を行き来していた。死体の袋に入れ替わるプロセスが具体的に示されたりもした。

 

 

ストーリーも大きく変わった。


詳しくは別にまとめるとして、印象に残った点を。


最初に取り調べを受けた時、エドモンドは無罪と聞き安心するが「形式的に一晩だけ」と言われて独房に入れられる。そのまま説明もなく監禁が続いて絶望感割り増し。これは辛い。


メルセデスも同様の状況。教会の祈祷シーンが無くなり、名曲「いつでもあなたのそばに」のニュアンスが多少変わった気がする。


極貧に喘ぐメルセデスの両親が強制的に結婚させたと明示されるので納得がいく。


そして一番大きな違いは「あなたの子」設定が無くなったこと。偉い!良くやった!


カットされていたナンバー「美しい嘘」が復活して、前はお飾りのように感じていたアルバートとバレンタインがストーリーに絡んでくる比重が増えた。


モンテゴの罪が家族に明らかになり、以降のアルベルトの行動が納得できる展開。


アルバートはアフリカ軍に志願して、自分が母を養う決心をする。メルセデスも一緒に去るつもりだが、メルセデスとエドモンドの関係回復が「いつでもあなたのそばに Rep.」でじっくり描かれ、そこに息子の姿は無し。すっきり。


原作に近づいた脚本がとても良くなったので、歌唱力で無理やりなぎ倒さなくても、笑えるし泣けるし、感動できるエンタメになっていた!


今後ますますチケット難になるかもしれない。



旧バージョンの感想はこちら。