[インタビュー]〈ザ・テイル〉チュ・ミンジン、黎明を迎えた俳優 | 韓国ミュージカルを 訳しまくるブログ

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  〈ザ·テイル〉は考え続けている作品(抜粋)

 

最近、ソウル大学路の某所で会ったチュ·ミンジンは〈ザ·テイル·エイプリルフールズ〉の公演が終盤に向かって走っていることについて「私もようやくキャラクターたちの理解が深まってきている。映画を一度見て数年後に再び見れば変わるのと同じように、公演をする2ヶ月間にも彼らが違って見えるのだ。おそらく公演を一度以上見る観客がいれば、私がその度に違って見えると思う。しかし、このキャラクターが私にも毎日違って見えるのだから、違うように演技しなければならない。バイロンとジョンがようやく理解できたので、この作品がオープンランだったらどうだったのかも気になる」と笑いながら話した。

 

バイロンとルースベンで登場するチュ·ミンジンは窓から舞台に入ってくる瞬間から、全身まさに「粋」を装着して現れる。これに対し彼は「演出家が望むことだった。練習序盤にバイロンキャラクターたちに海外の絵を50~60枚見せながら『舞台の上であなたたちの写真を撮るとすればこういうイメージで見せてほしい』と言っていた。ソファーに横になっていたり、のんびり座っていたりする姿を望んでいた」とビハインドストーリーを伝えた。

 

どの作品でも初演に参加する俳優とスタッフは、作品を練習して舞台に上げるのにより多くの努力が必要だ。〈ザ·テイル〉もまた俳優たちが練習後にテレビ会議を通じて話を交わしながら創作陣と共に台本を修正していった。チュ·ミンジンは「初めて受け取った台本と今の台本はかなり違う。皆作品に対して大いに悩み、翌日来て話し合いながら吐き出した。ユドンが俳優長だったが、今回画像で初めて会議をしてみた。実は電話でもいいのに、それだけ激しく会議をした。(笑)特に、作品の後半部について熱く話したが、下手をするとスタートはかっこいいが、仕上げがおかしくなりかねず、たくさん悩んだ。もっと深く入るか、潔く終わらせるか悩んで後者を選んだが、前者を選んだら2時間の公演で非常に難しくなるところだった」として、作品を一緒に作っていった過程に言及した。

 

 

「バイロンを初めて見た時、とても怖かった。実は実在の人物を演技するのが一番怖い。バイロンを勉強するほど、この人は私が近づけない人生を生きていた。もちろん女性を遍歴し悪いことをしでかしたものの、自分の芸術世界にすっかりはまって生きて、素敵な爵位を持って豊かに生きることができ、ギリシャが好きだという理由一つでその国で死を選ぶ人の態度を私が持てるか怖かった。ユドンとジョンウォンにバイロンが多く混ざっているとすれば、私にはルースベンがより多く混ざっている。その理由もルースベンが小説の中の人物だからだ。ルースベンを演技する時の方が柔軟になれる。」

 

ジョン·ポリドリがチェ·ソクジン、ヒョン·ソクチュン、ホン·スンアンという3人の俳優に決まる以前に、文字で感じられたイメージはどうだったかと尋ねると、チュ·ミンジンは「最近の人々にはジョンのような心がある。いつの時代にもいそうな人だ。現代も欲望に自由でいいと言うが、まだ自由ではない。ジョンはこうしたことに閉じ込められた代表的な人で1891年に暮らした人だが、とても共感した」と答えた。

 

続いて3人の俳優がまとうジョンの姿はどのように違って感じられるのかと質問すると、

「ソクチュンは私を嫌おうと努力する。ものすごくチクチクして私がするドラマラインを塞いで持ちこたえようとするが、それだけ私を好きなのだと確認され、愛から抜け出せないから涙をたくさん流す。弱い人ほどもっと強く反応するもので、最も弱いジョンに感じられる。

 

ソクジンは自分が振り回されていることを認知しており、自分の中で戦っているのが目に見える。自ら行ったり来たりするのが見えるから、私は一歩離れて私が望むように誘惑するようになった。むしろ自分も知らないうちに私を誘惑するジョンのようだ。

 

スンアンは私を本当に熱心に見てくれる。毎瞬間、私に夢中になって時々刻々と姿が変わるので、体感が早く感じられる。最も変化に富んでいるのが、彼が演じるジョンの面白さだ。3人の俳優が雰囲気が違うため、劇場に来るたびに緊張して期待させる。私は劇場に行く時、キャスティングを見ずに出勤する方だが〈ザ·テイル〉は翌日のキャスティングをあらかじめ見てどのように準備するか悩ませる。そして私が何かを準備してくれば相手俳優も持ってくるものが違うので毎回面白い」と微笑んで答えた。

 

「私はルースベンを作る時、ジョンが私をどう見たのかを悩みながら強化した。『なぜしきりにジョンをからかって苦しめるのか』と思うかもしれないが、ジョンが去った理由を舞台で見せたかったのだ。ジョンが私を好きになってさえいれば愛して終わったのに、3年経って去ることになった理由があるはずだ。それを観客に見せたい」

 

〈ザ·テイル〉の舞台は小道具一つ一つにとても念を入れた感じがする。普段、席を探して舞台の前を早く通り過ぎるのとは違って、舞台を見物したくなる繊細な小物が、公演途中にもある意味を付与して作用する。チュ·ミンジンは「小道具が非常に多いが、代表的なのが蝶とヒルだ。ヒルは血を吸う動物で、医術の一つだが、ルースベンのように他人の血を吸って生きることをヒルと表現したのではないだろうか。また、バイロンの人格の一つだったはずだ。蝶はジョンで、ジョンが自ら自分は誰で、何をする人なのか悩む時、さなぎから幼虫、幼虫から蝶になっていく過程で表現されたと思う。」と慎重に考えを伝えた。

「ジョンが自分は昼の湖、夜の湖は眠っている時間だと言う。それで私が逆に『君が夜の湖ではないか?私が昼の湖で』と答える。ジョンが夢遊病にかかっている間は、実は私(ルースベン)なのだ。『お前の体は私の墓』というセリフがあるように。ルースベンはジョンが作り出したファンタジーの一つだ。私も本を一度書いてみたらしきりに誰かに会った。それがジョンにはルースベンやバイロンだったのではないだろうか。ジョンが薬を飲んで文を書いたのだが、彼らに会って一夜明けた夢遊病の時間が夜の湖の時間だ。その時間が本物なのだ。真の自分が生きている時間だったから。日常に戻ったとき、自分は同性愛者ではないと言うのは嘘ではないか。だから昼の湖時間の姿は嘘だ。〈ザ·テイル〉が見方によっては難しいと言えるが、とても明白な話を扱っている。」

 

チュ・ミンジンは、自分が演技するバイロンとルースベンのセリフが、バク・ジョンウォン、ソン・ユドンが吐き出す言葉とは異なると明らかにした。彼は「今の台本を見ると異なる部分が非常に多く、毎ページにある。それで俳優一人ずつ引き止めて話をし、了解を求めて承諾を得た。幸い、演出家と作家がすべて許可してくれた。」

 

「ジョンが目を覚ますと『歓迎しよう、'この'現実に帰って来たのを』と言う。ジョンのいるところが現実か、私が言う所が現実か、ジョンにはファンタジーな空間を現実とし、空間自体に新しさを与える。また、『私の主治医'だった'ジョン・ポリドリ先生』、『'私の'クレア』と言いながら瞬間を過去に変えたり、所有格を入れて述べる。そして 『忘れた、捨てたのだ』というセリフを 『私は捨てたんだが?』と言って私が捨てた話をジョンが拾って書いたということを強調する。こんなにセリフをまるごとねじったことはないが、少しずつ修正して二人の人物の過去が瞬間的にくり広げられるようにした」と修正したセリフを説明した。

 

〈ザ·テイル〉のエンディングはジョンが立っているところに光が、ルースベンが立っているところに闇が対照され、黎明の瞬間を込めた。これにチュ・ミンジンは、「ジョンを光、ルースベンを夜に設定したが、演出家と私の考えは違う可能性がある。ルースベンがジョンに 「君が夜の湖だ、君が夢見ているのが夢遊病状態かもしれない」と伝えるが、黎明はこの中間なのかもしれない。私の良い姿と悪い姿が合わさって、チュ・ミンジンという人であるように、ジョンも暗い時もあり、薬に酔っている時や誰かを愛する時、日が昇って沈む時その黎明の姿が、ジョンそのものではないだろうか。すべての真実が明らかになる瞬間が光であり、日が昇る瞬間だが、おそらく自分自身を認めた瞬間ではないかと思われる」と深く伝えた。

 
 


 

このインタビューを読むと、上演期間中も変化していった進化中の創作作品だったのがわかる。しかもインタビュー自体も作品同様難しい!

 

ミンジンさんと私の解釈が同じでなくても、私が感じた事ならそれが私にとっての正解だということにしておこう。

 

再演されたとしても姿を変えていそうな気がして、時々はサービスで初演バージョンもやってくれないだろうかと先回りして考えたりしている。