1926年8月4日、午前4時。関釜連絡船徳重丸
一人の男と一人の女が海に身を投げる
漆黒の闇、寂寞たる海
関釜連絡船が午前4時頃、対馬島の横を通る頃、キム·ウジンとユン·シムドクが玄海灘に身を投げた。2人の死は目撃者もおらず、遺体も発見されなかった。
二人をめぐる憶測とうわさは次々と広がり、様々なものに飛び火した。船にはユン·シムドク、キム·ウジンの他に身元不明の一人の男が搭乗していた。時代に対抗して芸術魂を燃やそうとした芸術家たちの前に現れたミステリーな男、サネ。彼は果たして彼らの投身とどのような関係があるのだろうか。
最も悲劇的かもしれない、最も美しいかもしれない結末に向かって突き進む3人の男女!時代と思想を超越した人生と死の対立!
(インターパークより)
8月16日
日本で出会った芸術家の恋人たちが、時代と境遇に追い詰められ投身自殺した事件をモチーフにした作品。
この程度の事前知識のみで向かった劇場。
ふむ。そういう話だったか…。
関釜連絡船が出港するところから話は始まる。船室で再会するウジンとシムドク。彼女は自分を捨てて逃げ出したウジンを恨んでいる様子。
別れは「サネ」が原因だったと訴えるウジン。時は5年前の、ウジン、サネ、シムドクの出会いに戻っていく。
「サネ」というのは名前ではなく「男」という意味。謎の男だから。
物語は現在と過去を行き来しながら進むのだけれど、2人の過去の別れについて作品の中では特に説明がないので、現在のシムドクの心情とその理由が良く分からず戸惑うことになった。やはりドラマなどの知識があると良かったのかも。
5年前、サネの提案で戯曲を書き始めたウジンだったが、サネに関わって命を絶った人たちの存在を知る。書いている戯曲が現実になっていくのに怯えるウジン。悲劇的な結末を変更しようとするが、自分の言う通りに書けと強圧的なサネ。
結末を変えないことと、決して途中でやめないことが共同作業を始めた時の約束だったからだ。
どうにかしてサネの影響から脱しようとするウジン。このへんが別れの原因だったのか?
「サネ」って「トート」?
途中そう思い始めたら、最後まで違和感なく進んだ。
ウジンが書き加えた結末を読んだ彼が浮かべるのは、してやられた自分に対する自嘲の笑みだったのか?最後にしたたかさを見せたウジンを認める笑みだったのか?
ブログ「星たちの夢の時間」で訳してくださった記事をお借りしてきました。そこの描写によれば「運命」…。
[文化レビュー]キム・ウジンはどうしてユン・シムドクと海に身投げをしたのだろうか…ミュージカル<死の賛美>
一回の観劇で消化するのは難しく、できるならもう一度観たい。さらに困難さを加えるのが10周年特別キャストの血ケティング。
〈死の賛美〉通によると、私が観たのはなかなか良いキャスティングらしい。
面白かったのは俳優のイメージと配役が反対だったこと。
サネに怯えてあがく「ウジン」にチュ・ミンジン。どちらかと言えば弱々しいキャラクターに強圧的に迫る側のイメージ。
ミンジンさんて、キスシーンとか無さそうな俳優さんだなーと何となく考えていたら、いきなりシムドクに唇を奪われて動揺してるのが可愛かった。そのあとキスシーン多発。
絶対的な力を思わせる「サネ」には、人の良さそうな笑顔のキム・ジョング。善良でちょっと弱気な人のイメージ。
ダンディなオールバックでふてぶてしく、素敵だった。
シムドクのアン・ユジンさんは初めて…と思ったけど念のためチェックしたら〈サムシングロッテン〉の奥さん役で見ていた。どこかで見ているあるある。
時代にも何事にも縛られない女性でカッコよかった。でもウジンは大好きなのね。
会場のTOM1館は1階のみながら、客席がかなりの急傾斜なので、後方席は2階席もしくはそれ以上の高さ。逆に言うと、どこに座っても人の頭は絶対に邪魔にならない。見やすいっちや見やすい!
9月17日
ナンバーが特徴的。