ある夜 彼女が宇宙で
9月の再演を祝し、映像をかき集めて字幕版を作りました。
中々深く楽しめる作品でした。見るたびに伏線を発見。
収録シーンが長いものを優先して選んだので、音質が残念な動画もありますが、いつかライブで見てください。
SYNOPSIS
宇宙飛行士を夢見るジェイと
彼女を愛するウンギ
ジェイは自分の夢のために
1年間宇宙飛行に出ようとする
ウンギはその長い時間を受け入れられない
傷ついたまま背を向けたウンギは事故に遭い
ジェイは宇宙飛行を諦めて彼のそばに留まる
1年後のある日
本物のジェイが宇宙旅行から戻ってくる
自分の隣にいたのは複製のジェイだった
混乱におちいるウンギ
自分が本当に愛したのは誰なのか…
(1) こんなに普通の
(2) もしも僕たちが
電話を受けた後、あわてて
飛び出していくジェイ。
(3) 悪夢
事故の後、同じ悪夢を見るようになったウンギ。水の中でもがいていると息ができずに目が覚める。地上にとどまったジェイは、苦しむウンギを気遣う。実際に泳げるようになれば夢の中でも水面に出られるからと、泳げないウンギにニース行きを提案する。
(4) ニース
(5) 僕には分からない
幸せな日々が続くある日、不審な人物が訪れジェイを連れ去る。
(6) 都市の上で
2人が初めて出会ったシャガール美術館を追憶するウンギ。
(7) 僕が知っている君(8) 私の宇宙混乱から抜け出せないウンギは複製ジェイを訪ねる。
(9) 僕が知っている君 rep
ニースの思い出だけは、共有する記憶ではなく自分1人のもの、それで十分だと言うコピージェイ。もう会いに来るなとウンギに告げる。
複製ジェイに会ったウンギは、気持ちの整理をつけるどころか、一年を共に過ごした彼女への想いで更に苦しむ。
(10) 君を愛しているのと同じくらい
日常の暮らしを続け、本物は自分で彼女は虚像に過ぎないと説得し続けるジェイだったが、ウンギはどちらが自分の愛する本物なのか、確信が持てなくなっていた。むしろ本物に対する違和感と、複製ジェイに対する愛は打ち消せないものとなり、ウンギはついに別れを切り出す。
今の自分たちは1年前とは違う。変化する時間を与えたのはジェイ、君だ。
打ちのめされるジェイ。コピーはコピーに過ぎない、自分は初期化をリクエストすることもできるのだと口走る。
星々を回ってもウンギを見つけることはできない。ウンギという虚像。自分は誰を追いかけているのかとジェイは自ら問いかける。
ジェイは複製が宇宙に出られるよう取り計らう。結局は自分と同じなのだからウンギを置いて宇宙に出るのを選択するはず。
複製ジェイと幸せな時間を過ごすウンギ。初期化を心配をする彼女に、僕が覚えているから大丈夫と告げる。
(12) どこか別の地球には
ウンギに対する愛について考える複製ジェイ。 複製ジェイは宇宙に出ることを拒否する。そして本物にメッセージを送る。あなたの後悔がわかる気がする。私は間違いを犯す前のあなただ。初期化されても最後までウンギを愛し続けるだろう。
ついに初期化が行われる。抱き合う2人の耳に初期化への無機質なカウントダウンが聞こえている。そしてついに…。
「どなたですか?」
見知らぬ状況に驚いて言葉を発したのは、複製ジェイではなくウンギだった。自分の記憶が消されると思っていた複製ジェイは、ウンギの記憶が消されたことに驚愕する。しかし、優しく語りかける。「大丈夫。あなたが全て忘れてしまっても、私が覚えているから。」
(13) もう一度、最初 (ジェイの声)
どうしても、行かなきゃならない理由ができたんです。自殺なんて考えてません。その逆です。探しに行くその地球を、自分の目で確認したいんです。もしかしたらそこに、ウンギがいるかもしれません。ウンギが死んだのは私のせいです。ウンギを取り戻すためなら何だってします。それが本物でも、偽物でも。行ってきたら、彼がどこかに生きていると確かめたら、私はここのウンギのそばで生きていけそうな気がします。
(宇宙からウンギに宛てたジェイのビデオレター)
探査1日目
ウンギ。とうとう宇宙に来たわ。これを見ている頃は、私たちどこにいるかしら。一緒に見ているかしら?
探査20日目
アンニョン。前に夜空を見ながら色んな話をしたの覚えてる?でも星って宇宙から見るより、地球で見るほうがずっと綺麗。
探査58日目
私が宇宙に来たのは、それが夢だったからだけじゃない。あなたが事故に遭ったあと、私、正気じゃなかった。
探査90日目
ここは地球とそっくりな星よ。運が良ければ、どこかにあなたがいるわよね?もっと運が良ければ、その横に私がいるかもしれない。
探査125日目
もうこれで十分だわ。また来たいとは思わない。これからはずっとあなたのそばにいるし、すべては元通りになる。戻ったら、あなたを愛し続ける。
このメッセージが少しでもあなたの慰めになりますように。ほんの少しでも。
(14) こんなに普通のrep
♪♪♪ (ジェイ)
本物のあなたの息遣いを感じたい
輝く星を見つめながら
本物のあなたを抱きしめたい
取るに足りない普通の1日を
あなたと一緒に過ごしたい
♪♪♪
星々をめぐってもあなたがいなかったら、どこを探せばいい?と問いかけるジェイ。
そんな遠くへ行かなくても、ここにいるよ。すぐここに…。優しく聞こえてくるウンギの声。
ようやくジェイはウンギの死を受け入れる。
私が知っているあなたは、私の中にしかいない…。
(15) 都市の上でrep
シャガールの絵の前で語り合う一組の男女。かつてと同じ会話が繰り返されているようでもあるが、2人の言葉は入れ替わっている。再び初めから新しく積み重ねられていくのだろう。
動くイケメンのおまけ
(20191024 カーテンコール)
再生リスト
美しいナンバー、しかし繰り返しが多いとの感想が多く、同感だったのですが、今回改めて感じたこと。
(1)で歌われる「こんなに普通の」は、2人のラブラブを表現しているのかと思ってました。でもここで既に2人のすれ違いが表現されている。歌っているのはウンギひとりで、2人の意識も実は何と言うか…別次元。
一方(11)ではウンギと複製ジェイが2人で歌い上げている。ラブラブとはこれだ!と見せつけるかのように。
そしてウンギが死んでいた事実と、宇宙に出なければならなかったジェイの気持ちが明らかになった(14)では、彼女の本心が吐露されます。切なさmax。
他ナンバーのリプライズも、歌っている人や状況の違いを意識すると単なる繰り返しと感じずに済むかも。
怖かったのは…、怖かった?とにかく(2)の「もしも僕たちが」で、ジェイは「自分が怒らなかったら?行くのをやめていれば?」と思い悩むのに、ウンギが考えているのは「会っていなかったら、手を取っていなかったら?」ということ。ウンギはジェイと出会ったこと自体を後悔しているみたいで、ちょっとショックでした。
どんでん返しが続くこの作品。実際に観劇した時は何の知識も無かったので、本物ジェイの帰還にめっちゃ驚きましたが、これはシノプシスで初めから知らされていたのですね。
真のどんでん返しは、ジェイが宇宙に出た理由だったのか?ウンギの死を含めて。
書き忘れたけど、ジェイが航空局に受かった追憶シーンで、ウンギは大喜びして彼女の夢を100%応援している風だった。それを思うと、ウンギだって変わってしまったのですよね。その頃と比べると。
確かに間違いは犯したけど、身勝手に見えたジェイが最後にはとても哀れでした。
(14)のシーンが最後で良かったんじゃないかと思ったりする。
若干構成が分かりにくいし、一度見ただけで2人の心情を理解できる人は超能力者じゃないかと思うような展開で、作品として再検討すべき点は多いと思いますが、不思議な魅力は否定できないし私は大好きな作品です!