2018年に公演されたミュージカル〈ベルナルダ・アルバ〉は一つの事件だった。これまで国内ではあまり知られていなかったにもかかわらず、開幕の知らせが伝わるや否や話題を集め、3週間のチケットが全席売り切れとなった。最大の理由は、ほかならぬ女性俳優だけ10人が出演するということだった。それまで公演界における暗黙の興行公式は「男性主演」だ。男性2人劇、3人劇は多かったが、女性俳優だけが出演する作品はほぼ無かった。だからこそ、女性俳優が10人も登場する作品の登場は異例だったのだ。〈ベルナルダ・アルバ〉が立てた売り切れ記録は、新しい女性の物語を待っていた観客の渇きを可視化させた事件だった。
スペインの劇作家フェデリコ・ガルシア・ロルカの戯曲『ベルナルダ·アルバの家』を原作とする。1930年代スペイン、アンダルシア地方のある農家、夫が亡くなり家の権力者として君臨することになったベルナルダ・アルバは、8年の喪中に5人の娘たちに極度に節制された生活を強要する。しかし、自由を欲した娘たちはそれぞれのやり方で抵抗し、亀裂が始まる。マイケル・ジョン・ラキウサが脚色したミュージカル〈ベルナルダ・アルバ〉は、多少馴染みのない実験的な音楽とスペイン伝統舞踊フラミンコで、人々の葛藤とエネルギーを表現した。
2018年、ウラン文化財団で韓国初演された〈ベルナルダ・アルバ〉は、キャスティングだけでなくその作品性も好評を博し、翌年韓国ミュージカルアワードで4部門を受賞した。そのうち主演賞を受賞した俳優チョン・ヨンジュの受賞感想は公演界内外で大きな話題を集めた。「女優という言葉は好きではありません。ただ俳優です。(中略)女優を10人集めるのは難しくありませんでした。 女優10人が出演する公演をするのが容易ではなかったんです。」