今更ながら〈もしかしてハッピーエンディング〉について。
「もしかして」でいいのか? ひょっとすると? メイビー? 多分? 어쩌면?
어쨌든…
韓国で観たのは2018年12月、ソンウ×ヘインペアでただ1度きり。ジェイムズはやっぱり〈マリー・キュリー〉のヤン・スンリさんだった。配信の〈ファン・レター〉にも出てましたね。
禁断の舞台写真。今年より少しだけ近未来チック。
その時はなんと6日間という、私としては長期滞在だったのは、帰りの飛行機の日付けを間違えて買ってしまったからという…。
とにかく本来は5日間のはずだった渡韓で観たミュージカルは、
エリザベート2回
ストーリーオブマイライフ2回
ジキハイ1回
ファントム1回
その合間を縫って、もしハピ1回
という7作品。
(この時のメモがちょっと面白かったので後日お見せしたいかもしれない。)
今注目すべきポイントは、大作を駆け足で渡り歩いていたので、もしハピの印象が薄い!という事実。
なので、今回の配信でようやくじっくり堪能できたと言えましょう。
軽量で"ちまちま"した、私のオリバーのイメージからすると型破りだったヒジュンオリバー。まさしく心優しい大型犬のようでした。驚くと発する「キャン!」の声もわんちゃんみたい。
この作品の核心の一つが最後の「記憶」にあるわけですが、オリバーが覚えているのは基本形なわけですね?それさえも良く分かっていなかった。
問題はクレアの記憶。
ヘインクレアの方は、記憶があることをはっきり示していたと感じました。
再びドアを叩くクレアと、迷うオリバー。
返事が無いので戻りかけたクレアに聞こえてきたのは部屋に招き入れるオリバーの声。
オリバーらしからぬ反応を訝しむようなクレアの反応。
「オリバーはそんな性格じゃないのに、なぜ?」と疑問に思っている表情。
無表情を装いながらオリバーの反応をいちいち観察しているように、私には見えたのです。
クレアが全て覚えていると仮定した場合、彼女を知る前とは明らかに違う反応を示すオリバーを見て、彼は記憶を手放していないとクレアは察したのではないでしょうか。
そんなことを思いながら見ていると、クレアが一言発します。
“괜찮을까요?”
「大丈夫かしら?」
もしくは「うまく行くかしら?」
“어쩌면요. “
「もしかしたらね」
もしくは「ひょっとすると」「多分ね」
オリバーの返事に胸を打たれます。
お互い相手の記憶を確認しあってはいないけど、表面的には充電のことを話しているかに見せかけて、2人のこれからのことを言ってるんじゃない?
見ているこちらの心の中で、切なさや、暖かさや、悲しさや、嬉しさや、いとしさが万華鏡のようにキラキラと混ざり合って、言葉で何と表現したらいいのか分からない気持ちになりました。
ヘインちゃんは2017年に〈あなたが眠っている間に〉でデビューして〈もしハピ〉は2度目。
最初に観た時も上手いし可愛いクレアだと思いましたが、今回ヒジュン君とのペアでは、小柄なのにしっかり者のお姉さんクレアで先輩の余裕さえ感じました。
私の好きな〈君のための文字〉にも出演していました。観てみたかった気もする。
大劇場ものでは〈笑う男〉のデアを演じています。クレアで好印象を持ってましたが、さすがに超大作の大劇場を満たすには少し器が小さかったかなとの印象。やはり小劇場と大劇場は違うんですね。
ソンウオリバーは私の原型なので、心地よく観ました。
お礼を言われると、自動的に「チョンマネヨ」と答えてしまう機能でクレアに遊ばれてしまった時、「やめろよ!」と怒っているのに「チョンマネヨ♡」と応えてしまうシーンが大好きです。
終盤はこの「チョンマネヨ」に泣かされますけど。
ジェアクレアは明るくて可愛いけど、まだロボットの演技が板に付いていないように見えて、演技ディテールを研究する余地がもう少しあるんではないかと思いました。
5型に比べたら6型として絶対的に機能が上な雰囲気があまり感じられない部分もあり。
新人で初演の彼女と、もはやベテランのソンウさんとのペアではなかなか難しい要求かもしれない。
ジェアクレアの「記憶」に関しては、割と屈託なく明るくて、覚えてないのかもって思った。もしかしたら彼女の表現したいことが私には分かりにくいのかも。
ちょっと追いかけているヒジュン君の新作でもあり、名作でもあるこの作品を、配信ではありましたが観ることができて本当に感謝です。