まず、単純なところから。
ビジネス上の訪問なのになぜミナが合流したのか
ロンドンとルーマニアはめちゃくちゃ遠い。ジョナサンの分は出張費が出るだろうから「ミナ、1人分の旅費を出せば2人でヨーロッパ旅行できちゃうよ。近頃会えなかったから、君も来たらどうだい?」てな感じ…かどうかは分からないが。
空気を読まずに余計なことを言うのが得意なジョナサンが、仕事が終わったら婚約者と合流するんです〜とかドラキュラに話し(電話ってもうあった?手紙?電報はあったかな)、獲物が増えると思ったドラキュラが、遠慮せずにお二人で城に泊まれば良いですよ、とかなんとか誘ったのかもしれん。
ん〜、いずれにせよ苦しい設定だ。
今突然思ったのだが、ジョナサンがなぜロンドンに移るのか、寂しがる人が多いんじゃないかと、ロンドン行きを止めるような余計なことをしつこく言ったのは、実際に会ったドラキュラが不気味すぎてロンドンに来て欲しくなかったからだったのかな。
ミナと2人きりになった時、城についた瞬間から嫌な気分だと話していたし。
すると空気が読めない単なるおしゃべり男では無かった可能性もあるのか。馬鹿にして悪かったね、ジョナサン。
ドラキュラの加齢と若返り
ドラキュラはジュリアを襲ったりしているので、全く人間の血を飲んでいない訳ではないのに、なぜあんなに老いた姿だったのか。ジョナサンから吸血したのは彼が死なない程度の少量だったはずなのに、爽やかに若返った。
あのままだと、すぐにまた年寄りに戻ってしまうのかも。乗った船の乗組員達を全員襲ったらしいので、ロンドンに着く頃には若さはつらつが定着したのかもしれない。
ジョナサンは城からどうやって脱出したのか
ドラキュラがロンドン行きを焦っていたので、ちゅぱっと吸われたあと放置されたのだろうか。自力で脱出?心配した村人に助けられたとか?ドラキュラと城を恐れる村人が城に近づくかどうかは疑問だが。
それにしても、ドラキュラとスレイブたちに寄ってたかって血を吸われたのに、ジョナサンはなぜ正気を保ち体力が落ちた程度で済んでいるのか。ミナの婚約者というポジション故に息の根を止められても不思議ではないのに。と言うわけで、次の疑問は…
血を吸われた後の反応が色々あるのはなぜか
ジョナサンは血を吸われそうな時は正気を失って自ら十字架を投げ捨てていたのに、体力が落ちた程度の後遺症しか残っていない。ルーシーの反応とは大違い。
スレイブ達の場合。ジュリアの例で考えると、大量に吸われて死亡した後に吸血鬼として蘇ったという理解で良い?もちろん死亡以前にドラキュラの血も飲んでいるはずだ。長期間ドラキュラと一緒にいるほど精神的にも人間性を失っていくらしい。
レンフィールドが生きているのを見ると大量には吸われていないのだろう。けれどもドラキュラに心酔しているのはなぜか。本人の不死に対する強い憧れのため?
そもそも、吸われた側はドラキュラの血を飲めば不滅の命を得られると本能的に分かるのだろうか?それを知っているかはともかく、飲みたくなるのかもしれない。「ミナの誘惑」のシーンでドラキュラに血を吸われたミナはすぐさまドラキュラにかぶりついて行ったから。
しかし、ジョナサンには吸われると吸いたくなるという仮定も当てはまっていない。
ルーシーはスレイブ達と違う存在なのか?「永遠の命」にこんな歌詞があるので、多少上位の存在のような気もする。
나를 닮은 너는 나의 첫 창조물
私に似ているお前は 私の最初の創造物
함께 런던을 삼킨 뒤 굴복시킬 거야
一緒にロンドンを飲み込み そして屈服させるのだ
スレイブは文字通りには"奴隷"だが、ルーシーは仲間?ドラキュラはロンドンで遠慮なく仲間を増やして地域全体を自分の支配下に置く計画だったのか。
それとも時間が経てばルーシーもスレイブ達のように成り下がっていくはずだったのか。
そして最後にミナ。吸血されてからのルーシーは直後から夢見心地でドラキュラを強く求めるようになるのに、ミナはそうならなかった。自分からドラキュラを呼び寄せて血を飲みあったくせに、その後も理性が闘っている。(結局は教授達を裏切るけれども。)
レンフィールドとジョナサンが違うように、ルーシーとミナも人間性が異なるからだろうか。そう言えば冒頭でドラキュラが苦笑混じりに、レンフィールドが迷惑をかけるどころか、かえって非常に協力的だったと語っていたっけ。個人差はありそうだ。
ミナの悩み
とりあえず、ジョナサンという婚約者がいるので、三角関係に悩むのは仕方あるまい。(ルーシーは悩まなかったけど)
もう一つの根源的な悩みは、闇の存在となること。別の生き物に変質してしまう怖れ。(これまたルーシーは怖れなかったけど)
こちらの作品「ドラキュラ」は登場人物を苦しめるストーリーと感じたのは、ミナに闇の存在になるかどうかの選択を迫ったからだ。
あっち(チェコ版)の「ドラキュラ」は特に同じ存在でなければならないコンセプトは無かったように思う。
凄く血が飲みたくなっちゃう彼と、人間の彼女のままストーリーが続きそうだった気がする。悪者のバン・ヘルシングがぶち壊さなかったなら。
400年前もそうやって暮らしていたんだし。(ドラキュラは吸血の欲望を父親から受け継いだものの、血を飲まずに生きていた。)
悲劇もあったが、それは2人の意思でどうにかできる類のものではなく、なす術もなく押し流されていく感じ。
2人が自分の意思で重要な選択したのはそれぞれ1回づつ。400年前に瀕死状態でドラキュラの血を飲むのを拒んで死んでしまった時が妻側の1回。
400年後、バン・ヘルシングの攻撃で瀕死状態のドラキュラに、妻の生まれ変わりのエロイーズが自分の血を飲ませて助けようとするも、それを拒んで消滅するのがドラキュラ側の1回。
勝手に感じたことだが、朝日を浴びて消滅するドラキュラがいつか人間として蘇って、再び生まれ変わった妻と出会って今度こそ人間として幸せになれるに違いないと希望を持てる終わり方だったのが良い。
反面、こちらの終わり方はどっぷり悲劇。それもアリなのだが。
ジョナサンには泣いてもらうしかないけど、ミナは別に人間のままドラキュラと夫婦に戻って暮らすことにして、ミナが歳をとって死にそうになったら、彼女の手に握らせたナイフでドラキュラが一緒に死ねば良いのでは?ドラキュラが今慌てて死ななくても。
まあ、それじゃあ、お話として気が抜けてしまいますけどね。
この後はOSTを順番に訳しながら以前のエクスカリバーシリーズを再編成しようかなと思っています。