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強い魂の叫びをもって敷島に応えた典子。
自分の生き様によって、敷島をどのように救うのだろうか?
この記事はネタバレ考察となる。
ずっと語り続けた典子
翌日目覚めた敷島の顔はスッキリしていた。
昨夜は、
自分の抱える苦悩を吐き出した上、力強いの典子の懐に受け止めてもらえた。
人には決して理解できない、と考えていた自分の“呪い”も
真剣に向き合ってくれる存在がいること。
戦いは自分だけではないこと。
何があろうと前を向いて行けることに気づかされた。
「それは夢!
浩さんが作った幻だよ!」
懺悔の気持ちが完全に理解されたわけではないものの、
典子の励ましにより少なくとも、そこから“目を背けて”
“今に向いて”もう一度生きて良いことに気付かされた。
ゴジラの脅威やトラウマは無くならないが、
向き合い方を教えてもらった。
炊事場で、典子と明子の声が聞こえる。
何気ない日常が、
敷島の心を温かく包む。やさしい陽のように。
新しい日常が始まりかけていた。
…のだが、
ラジオの臨時ニュースによって、それはあっけなく終わった。
典子は銀座の仕事帰りであった。
噂に聞いたゴジラは、あまりに絶望的な破壊をもたらす神だった。
かろうじて危機を脱した典子には、もう生気が宿っていなかった。
逃げ惑う人々の中を、思考の停止した典子が彷徨う。
そこを奇跡的に敷島が見つける。
「立て!…死んではダメだ!」
よく、メンタルの不調を抱える人にとって一番良いマインドは、
自分のことではなく、他の人のことを気にかけるよう心がけることだと聞く。
敷島は、これまでは自分が必要とした生きることへの強い励ましを、
他の人に向けることができるようになっていた。
それでも…
残念ながら典子の命はゴジラに奪われてしまった。
よりにもよって、自分の目の前で、
自分の方が守られ、生かされる形で。
敷島は…
不甲斐なさと、
悔しさと、
怨みと、
怒りと、
悲しみが入り混じった感情で
絶叫した!
典子はもういない。
雨…。
葬儀…。
明子の泣き声…。
整備兵たちの写真…。
「俺がバカな夢見たせいだ…」
敷島はそう呟いた。
でもどれだけの人が気づいただろうか?
写真を見る彼の反応は、以前のそれとは異なっていた。
写真を見て怯える敷島はもういなかった。
自分に呆れつつも、
現実と向き合う強さをもつ表情をしていた。
典子の生き様は彼に受け継がれていた。
「生き残った人間はきちんと生きていくべきです!」
「私の両親は火に焼かれながら生きろと言いました!」
「どんなことがあっても死んでは行けない!」
「死んだらダメです!!」
もう悲観的になって逃げる敷島はいなかった。
命を惜しまず自分の戦いに向き合っていた。
典子は死んでも敷島に語り続けた。
ゴジラの討伐を終えたー
辛い過去を抱えつつも、敷島の表情は晴れやかだった。
闇市で出会った典子は、
泥臭くても今できる精一杯を生きる大切さに気づかせてくれた。
家に転がり込んできた典子は、
守るべきものの為に生きる意味を教えてくれた。
強く受け止めてくれた典子は、
どんな過去があろうと前を向くことを教えてくれた。
典子は敷島をどれほど“救った”ことだろう。
澄子の手を通して一本の電報が届くー
典子は…
生きていた!
これまで気丈であった敷島も流石に、動揺を隠しきれなかった。
病室に駆け込み、ベッドの上の典子を見つける。
戦いを誰よりも理解し、
寄り添ってくれた典子。
その典子は、やはり“典子”だった。
「浩さんの戦争は…
終わりましたか?」
典子は敷島をどのように救ったか〜 完
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