日本で一番サスティナブルなレストランを目指す「パスタ マガーリ」 | じきの食歴

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世の中には、美味しいいもので溢れている。
そんな美味なる料理やお酒の記録を食の歴史として記しておこう

ラブリアンツァの奥野シェフの手掛ける新店が2022年4月28日、つくばエクスプレス「万博記念公園」駅から徒歩3分の場所にオープンした。
今回、オープン直後で奥野シェフ在店日である4月30日に早速訪問させていただいた。
初めて降りた駅前には、1985年開催のつくば科学万博を記念して岡本太郎氏がデザインしたモニュメント「未来を視る」が設置されている。
その横を抜けて少し歩くと、見晴らしの良い開けた場所に出る。
そこにある、平屋で2面が大きなガラス張りとなっいる建物が新店の「パスタマガーリ」だ。
店名は、LAのハリウッドにやはり今年オープンした「MAGARI」と同じブランド名となっており、店内にはハリウッドで撮影した写真が飾られていた。
店内は、8~10人座れる1枚板の大テーブルに、4人テーブルが5つがゆったりと配置されている。
とても開放的で明るい店内。

こちらのお店は、再生可能エネルギーシステム構築を手掛ける株式会社NOVALとの共同経営で、同社の敷地内にあるテスラ社の急速チャージステーションに併設されており、電気自動車がチャージ完了するまで、美味しい料理を食べながら待ってもらえるようになっている。
こういった会社との共同経営ということもあり、徹底的にサステイナブルにこだわり「日本で一番サスティナブルなレストランを作ろう」という構想の元、
・ソーラーパネルと蓄電技術によって100%の自家発電のオール電化キッチン
・フードマイレージに徹底的にこだわる。つくば市近郊を中心に茨城県の食材をできるだけ使う
・ヘルシーで安全安心の料理
・スタッフはローカル採用をして、ブリアンツァで研修
といった取り組みを行っているとのこと。
ちなみに共同オーナーであるNOVAL社の代表である平文俊全さんは、今回お誘いした参加者とは中高と同級生とのことだった。
そちらの話によると、奥野シェフとは出会って1年で「持続可能性」をテーマにこの店を作り上げたとのこと。
相変わらず、奥野シェフのフットワークは軽い。

今回は奥野シェフ在店につき、グランドメニューには無い5000円のスペシャルコースを頼んだのだが、つくばまで遠征したということと、料理がどれも美味しいということもあり色々とリクエストで追加までさせていただくという、食いしん坊わがままコースとなった。

今回いただいた料理は、下記のもの。

・ゼッポラ
ブリアンツァ定番の前菜

・低糖質オリジナルパン
これが、以前にも増して旨くなっていた!

・水牛モッツァレラのカプレーゼと柑橘のインサラータ盛り合わせ
カプレーゼは、生ハム、トマト、モッツアレラチーズ。インサラータは、フルーツとハーブのサラダ。
こちらも地のものを多用しているとのこと。トマトも甘くほど良い酸味。モッツアレラは、ブリアンツァでも使っているものだろうか。これまた旨い。

・イカのフリットのボッテルガ(カラスミ)がけ
この料理は、初めていただいた。衣にもしっかりと味がついており、イカの旨味とカラスミの塩味の架け橋となっている。

・バジルペーストと帆立のパッパルデッレ
バジルのジェノベーゼを平麺の生パスタにて。このバジルペーストの出来が良く、お土産に瓶詰にして持ち帰りたいぐらいだった。

・パンツァネッラ
低糖質パンが美味しかったので、パンツァネッラにするといいかもと言ったら、実際にそれをアドリブで作って出してくれた。想像通りというか、それ以上に旨かった。

・季節菜とサルシッチャのトンナレッリ
自家製ソーセージと野菜の太麺生パスタ。生麺だからこそ、ソーセージから出る旨味と脂をしっかりと吸い込み、小麦の旨さを引き立てる。

・茨城産豚のロースト
こちらも地のものを用いたもの。おそらく、初めていただいた豚だが、処理が良いのか脂の旨味がクリアだ。それに、地の野菜類が添えられており、地のもの同志の組み合わせの妙を味わえた。

・まかないパスタ
まだ食べれます?の質問に、当然のように全員Yesの返答。賄い用の乾麺を使ってトマトソースのパスタを即興で作ってくれたもの。この味付けだと、乾麺だなぁと思わせる味のバランスがまた素晴らしい。

そして、デザート。

・パンナコッタ
・デザート3種盛り
本来は単品でしか出さない所、8人での参加とということもあり、全部食べたいという我儘に対応していただけた。
トルタカプレーゼ、ティラミス、ズッカ(かぼちゃのプリン)の3種類。
どれか1つを選べと言われても選べないぐらい、どれもレベルの高いものだった。

・コーヒー

今回、料理をいただきながら店内を見てて思ったのが、奥野シェフが料理をほぼまかせっきりで、サーブをしたり、長い時間客の間を行き来して色々と話をしていたということ。
当面はスタッフも無理なく仕事ができるようにランチのみの営業というのもあるのだろうが、ブリアンツァでの短期研修が、上手く機能したからだろう。
あるいは、この開放的な店内の空気感に、奥野シェフものんびりとできてたからなのだろうか。
ちなみに店名のMAGARIとは、イタリア語で「たぶん」とか「そうなればいいな」という意味。
最初は違う思いを込めた店名だったのだろうが、このつくばという場所にて、構想していた「日本で一番サスティナブルなレストラン」になれば良いなと、今ではそういう願いも含まれるようになっているのではないだろうか。

 

 

パスタ マガーリパスタ / 万博記念公園駅
昼総合点★★★★★ 5.0