ショパンの調べを聴きながらアンプレスを苦いコーヒーでいただく「珈琲ショパン」 | じきの食歴

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世の中には、美味しいいもので溢れている。
そんな美味なる料理やお酒の記録を食の歴史として記しておこう

大至にて限定ラーメンの「曲者つけ麺」をいただいた後、キッチン南海にてカツカレーを飲んで喉を潤したら、おやつの時間になったので、こちらへ足を運んでみた。

 

「かんたやぶそば」の前にある1933年(昭和8年)創業の喫茶店「珈琲ショパン」。
元は、すぐ近くにてオープンしてたのだが、再開発によって1986年に現在の場所へと移転している。
アルコール類を置いていない純喫茶で、当初からの内装も流用した店内は、昭和をさかのぼり大正をも感じさせるもの。
店内には、店名にもなっているショパンの曲がほどよいGBMとして流されており、ゆったりとした時間の流れる空間となっている。
そんなこちらの店には、名物が2つある。
一つは、深くローストされたブレンドコーヒーで、メニューには「通常の珈琲より濃いめです」と書かれている。
その濃いさというかローストの深さは、スターバックスのそれ以上。
エスプレッソと言っても過言ではないぐらいの濃厚さなのだが、これがクセになる。
そして、もう1つが「アンプレス」。
バターをたっぷり塗った食パンにあんこを挟んで、直火のホットサンドメーカーで焼いたもので、先日、マツコの知らない世界にて、あんバターの世界の回でも紹介されていた。
トーストの端までバターがしっかりと塗りこまれており、マツコさんも「コレ!」と絶賛していた。
ちなみに、同時にたくさんつくれないからなのか、メニューには「アンプレス、ホットサンドのご注文は、一グループについき御一個でお願い致します。」と書かれており、グループで入店したご婦人方が残念がっていた。

今回は、この2つを注文し、読みかけの小説を取り出す。
ほどなくして、コーヒーが出てくる。
苦みが強く、少量ずつ香りと余韻を楽しむようにいただく。
本を読みながら、コーヒーを楽しんでいるとさらに5分ぐらいして、アンプレスが登場した。
しっかりした焼き色で、とても香ばしいトーストの香りとバターの魅惑的な香りがただよっている。
一切れつまみあげ、歯をあてる。
カリリとした表面を過ぎ去ったら、トーストの中からバターがじゅわりと染み出す。
その後、あんこに到達する。
あんこも熱々で、ハフハフしながらほおばる。
甘すぎないあんこと、バターの微かな塩味、そこにトーストの風味が、絶妙なバランスで口の中を満たしていく。
その余韻が残るなか、少し冷えた、あの苦みのあるコーヒーを流し込む。
苦みが甘味を流し去り、そこには深い余韻が残る。
いっきに食べきるのではなく、本を読んだり会話しながら、ゆっくりといただくと、アンプレスの温度変化による味わいの違いも楽しめる。
それでも、わずか4切れなので、ほどなく食べきってしまう。
その後は、冷えたコーヒーをちびちびと啜りながら、本のつづきを読む。
切りが良いところまで読み進めたら、カップの底に残ったコーヒーを飲み切って会計をして外にでる。
ブレンド550円に、アンプレス550円。
わずか1100円で、満たされた上質な時間を過ごすことができた。

 

ショパン喫茶店 / 淡路町駅新御茶ノ水駅小川町駅
昼総合点★★★★ 4.5