大将の動きに魅せられる「みこころや」 | じきの食歴

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世の中には、美味しいいもので溢れている。
そんな美味なる料理やお酒の記録を食の歴史として記しておこう

大森駅の近くにある和食のお店「みこころや」。
元々予約の取れないお店だったのだが、ミシュランにてビブルグルマンに選出されてしまい、さらに予約を取りにくくなってしまった。
そんなお店のたまに在籍してる看板娘(?)経由で友達が貸切予約を取ってくれたので、久しぶりに伺ってみた。
今回は、初のカウンター席。
大将の料理する所を存分に鑑賞させていただいたのだが、動きがキビキビとしていて所作も美しく、ついつい見惚れてしまう。
カウンター5席にテーブル8席のお店だが、店主一人で調理を全てこなしている。
今回は、4500円のコースで、全8品だった。
最初に出てきたのは、鱧と鱧の卵を鱧ダシのジュレで包んだもの。
蒸し暑い夏の夜にぴったりな前菜。
その後、鱧しんじょうと生麩の椀物が出て、刺身。
鯛の昆布〆、メジマグロ、イシガレイ、フッコ。旬な魚だが、ふっこを使っていたりとそれほど値の張らないものをうまく出している。
餡かけの料理が出て、九条ネギがたっぷりと乗せられた鰆の焼き魚。
そして、天ぷらが出て来た。新生姜と小海老と三つ葉のかき揚げに、サツマイモの天ぷら。
紅ショウガの天ぷらは大阪で有名だが、普通の生姜だと辛すぎて天ぷらにできない。
では、辛味の少ない新生姜ならどうだろうと考えて作ってみたそうだ。
これが、ほどよい辛味で口の中がさっぱりして旨い。
6000円のコースだと、このあとに2品付くらしいが、今回のコースだと、ここで〆のご飯が出てくる。
今回は、鳥とシメジの炊き込みご飯。
最近の和食屋だと、ちょっと甘すぎる炊き込みご飯が多いのだが、ここの炊き込みご飯はなんだかホッとする味付け。
そして最後は、桃のムースだったのだが、これがまた凄く旨かった。

何度か訪問させてもらって思ったのが、ここの大将は、和食の基本を押さえつつも、何か新しいものを取り込んだり、組み合わせを変えたりと、常に試行錯誤しながら料理をしているのだろう。
それを、この値段の料理の中で反映させるというのは、簡単なことではない。
単なる価格帯の安い和食屋というだけならこれほどの人気にはならないだろうが、こういった変化や、大将の所作や熱意にほだされて、通いつづける人達が居るのだろう。
そういう自分も、また伺いたいなと、そう思った。

 

 

みこころや割烹・小料理 / 大森駅大森海岸駅
夜総合点★★★★ 4.0