月に1度の金曜休み。

以前は指折り数えて心待ちにしていたが、最近は月に1度の病院の日と化しているので、楽しみという感覚は失くなってしまった。
むしろ、「あゝ、あと3日で病院かぁ...」とかそんな感じ。


本日は診察前に超音波画像を撮るとのことで、総合受付から、3階の画像センターへ直行する。


ここは小日向文世似の呟き先生が棲むゾーンだ。

エレベーターを降り、鬼の棲家へ辿り着くと、超音波室は満員御礼。普段は明かりすら点いていない、第2、第3検査室前の長椅子まで埋まっており、心の中で「いいぞ、いいぞ!」と叫ぶ。

と言うのも、この先生は、
「はい...オッケー。こちらも...、よし」
などと、検査中聞こえるような聞こえないような声でモゴモゴと呟くため、何となく苦手な印象を持っているのだ。
呟くだけならいいのだが、異変が見つかった途端急に黙りこくってしまうので、恐怖の対象となっている。

この病気が分かった時点で、何を言われても受け止める覚悟ではいるが、沈黙に対しても覚悟が必要だったとは。


さて、予約時間から1時間遅れで名前を呼ばれたのは、真ん中の第2検査室。目論み通り呟き先生の第1検査室を回避することに成功し、したり顔で中に入ると、待っていたのは初対面の女医さんだった。
ところが喜んだのも束の間、この女医さんはスキャナーの動かし方が独特で、押し当てる圧力も何故か強烈。同じ箇所をこれでもかというくらいグリグリされて、呟き先生とは別の恐怖を感じた。

さすが鬼の棲家だけあって、一筋縄ではいかない曲者たちが揃っている。
これなら第1検査室で沈黙責めを受けている方がまだマシだったかも。

この女医さんはグリグリ先生と呼ぶことにする。


痛みも苦痛もないはずの超音波検査でものすごく消耗して、逃げるように青年K医師の元へ。


懸念されていたリンパ節のしこりは、前回の検査時と比較して大きさに変化がなく、形もガンの特徴が出ていないとのことで大丈夫そうだった。

「この先も一喜一憂が続くと思いますが、がんばりましょう」
と言われたので、
「できれば一喜一喜でお願いします」
と答えると、横の看護師さんがクスっと小さく笑ってくれた。

診察後、K医師に超音波室で味わった恐怖の出来事を訴えると、
「丁寧に見て欲しかったので、そういう指示を出していました」
とのこと。


もう慣れっこなんだけど、事前にK医師か女医さんどちらかからひと言あれば、あんなに疲弊しなくても済んだのになぁ。

何だか「友だちに意地悪された」と先生に告げ口したら、実は自分の勘違いだったと後で知らされた時のようなバツの悪さを感じてしまった。



午後、娘を迎えに高校へ行く。

明日は進学を検討中の製菓学校へ娘と一緒にお出かけの予定なので、悪い結果が出なくて本当に良かったと思った。

プライベートでも仕事でもそうなのだが、少し先の予定が入ると無事に約束を果たせるかどうか不安になってしまう。


もう、一つひとつがそうなのだ。




オープンキャンパスに行ってきました。