10日ぶりの受診日。
4月30日に受けたMRIの結果を聞きに行く。結論から言うと、最悪ではないけれど願いどおりの内容でもなかった。
よかったのは、患部から再発の兆候は見られないと言われたこと。
放射線治療を始める前に、大学病院の羽生ドクターからも「再発させないために強い線量を当てていく」と聞いていたので、流石にこのタイミングで再発されては困ると思っていた。
とりあえず最低ラインは守られた訳だ。
一方よくなかったのは、首のリンパ節に怪しい影があると言われたこと。
診察後に緊急で超音波画像を撮ってもらったのだが、正確な判断は1週間後に受ける予定のPET/CTを待つしかないとのことで、結論を先送りにされたまま本日の受診は終了。
夜には和歌山県から長男夫婦が帰ってくる予定なので、いい報告が出来ればと思っていたが、さらっとは話せなくなってしまった。
時刻は午後2時。
気にならないと言えば嘘になるが、結果の分からないことを気に病んでもしょうがないので、切り替えて遅めの昼食に行く。
味覚が8割方戻ったおかげで、お店選びの選択肢が増えたのはありがたい。
ただ口の開きの悪さや唾液の出にくさなど、味覚以外にも食事の足を引っ張る要因が残っているため、食べやすさを優先して、丸亀製麺でうどんを食することにした。
TOKIOとコラボしたトマたまカレーうどんのポスターを横目に見ながら店内に入り、迷うことなくかけうどんを注文。
他の味が混ざると味が分からなくなってしまうので、並んでいるおむすびや天ぷらはスルーして、トッピングは無料のネギのみ。
まるで貧乏学生のようなオーダーで申し訳ないと思いながら、レンゲですくったスープを口に含んだ。
家で食べるうどんとは別物の味がする。
最近、東マルの「うどんスープの素」からの脱却を図り、薄口醤油や白出汁を調合しては失敗を繰り返しているせいか、ことのほか美味しく感じた。
未だに食べている途中で味が迷子になってしまうものもある中で、和風出汁はそういった症状とは一切無縁。
お出汁の国に生まれた幸運を噛み締める。
それともただ食べ慣れているだけで、フランスに生まれていたらコンソメスープすすって「セボン!」とか叫んでいるのだろうか。
夜、たまたま目にしたTV番組で、いっこく堂さんの腹話術を観た。
今までは声が遅れて聞こえる“衛星中継”や“2体同時操作”などのギミックに目を奪われていたが、普通の会話でも全く口唇が動かない発声法に感嘆。畏敬の念に打たれる。
手術の影響で発音しにくくなった語句があることを嘆いていたが、訓練次第でまた、相手に違和感を与えない程度に話せるのかも知れない。加えて腹話術まで出来るようになれば、保育士としての引き出しも増えそうだ。
そう思って、口を出来るだけ動かさないよう注意しながら喋ってみたところ、案外いけることに気がついた。
いや、いけるというかむしろ自然。
どうやら口がしっかり開きも閉じもしないことから、術後のオレの喋り方自体がすでに腹話術風になっていたようなのだ。
驚嘆、困惑、様々な感情が交錯する。
芸として見せるならともかく、普通に会話している相手の口が動かないってどうなんだ?
もしかして発音以上の違和感を相手に与えてしまっているのでは?
家人は見慣れている可能性が高いので、息子たちが帰ってきたら何も前置きせずに話しかけてみよう。
面白がってくれたらそれでもいいや。