3月26日以来の病院受診日。

今日はネガティヴ先生の診察とMRI検査のみなので、メンタル的なプレッシャーは少ない。

ただこの1ヶ月の間、健康な時と同じような過ごし方をしていた為、病院へ行くという行為自体に抵抗を感じてしまう。
ガン患者という現実から目を背けようとしているのだ。

受診の間隔が開くと、いつもそう。

1月に初めて放射線科を訪れた際、ドアの前で二の足を踏んでしまった時のことを思い出して笑ってしまった。



スイッチを切り替え、口腔外科へ行く。

前回の受診でポジティブ発言多めのネガティヴ先生は、今日も何故か上機嫌。
もう、診察室に入った瞬間の表情からして違う。

口腔内の衛生管理を褒められたり、大型連休の予定を尋ねられたりしながら、始終和やかなムードで診察を終えた。

もしかして、今までは単に人見知りをされていただけなのだろうか。

調子にのって、
「(味覚改善薬の)亜鉛を飲むと、いろんなところが元気になりますね」
と話題を振ると、その効能について丁寧に説明までして下さった。

まさか途中で「下ネタでした」なんて言い出すこともできず、結構長めのお話に耳を傾ける。
「意味ありげに言ったつもりなのに、何で伝わらなかったのだろうか」「それともはぐらかされているのか」などと考えて、亜鉛の講義はさっぱり頭に入ってこなかったけれど。

ようやく打ち解けてきたところなので名残惜しい気持ちも無くはないが、経過良好かつケアも問題ないとのことで、口腔外科の受診は今回で終了となった。


お世話になったI先生と歯科衛生士の皆さんへ深々と頭を下げて、同じ2Fの画像センターへ移動。


検査室へ到着し、入り口の小窓で受付票を提出すると、
「どうぞお入り下さい」
と、扉を開けて中へ案内される。

予約時間より1時間も早く着いたのに、待ち時間ゼロ。
予約時間とは一体?


着替えの後に簡単な問診を受けたのだが、ここでもオレの病気のことは全く共有されていなくて少々驚き。
病名から手術の日付、その後の治療の経過など、全てオレが説明することとなった。

横の連携の雑さに慣れてきてはいるものの、初診患者のような扱いに若干の疑念が生じる。

オレはまだ自分で説明できるからいいけれど、それが難しい人はどうするのだろう。
MRIを撮るにあたってさほど重要な情報ではないのかも知れないが、それならこの問診の意味は何なのだ。


オレはMRIのトンネル内でも、この疑問の落としどころを探して思考を巡らせた。

まるでビル工事のような打撃音が断続的に響いているが、耳元のヘッドフォンから流れてくるのは、癒やしのジブリ映画オルゴールメドレー。
「翼をください」をBGMに激しい戦闘を繰り広げる劇場版エヴァンゲリオンのワンシーンを思い出す。


結局40分間の撮影中に答えは見つからず、MRIのスタッフに質問するタイミングも逃して本日の受診は全て終了。

総合受付で会計の計算待ちをしていると、いつもの院内放送が流れてきた。


「当院では地域医療機関と情報を共有し、お近くの医院、診療所で継続して治療が行えるよう連携を進めております」
とのこと。



へぇ、そうなんだ。
ちっとも知らなかった。