12月25日、月曜日。

登園した子どもたちから、プレゼントの報告が届くクリスマスの朝。


オレは放射線科の前にいた。

ここの先生は毎週月曜と金曜に大学病院から出張で診察に来ている派遣ドクターとのことで、もちろん今日が初対面。

羽生善治似の温厚そうな青年医師から、放射線治療のスケジュールや今後予測される副作用等について説明を受ける。


治療は5日間×6週の計30回で、基本的にメスの入った全部位が対象とのこと。

頭頸部への照射は、他の部位の照射とは比較にならないほど体へのダメージが大きいそうで、口内炎、嚥下の痛み、皮膚の焼け、全身の倦怠感等の副作用は避けられないようだ。
後半は食事が進まなくなり、点滴を受けながらの入院治療になる可能性が高く、働きながらの治療は困難だろうと言われる。

羽生先生曰く、
「風邪の治療ではなく、ガンの治療ですからね」
とのこと。

「再発を防ぐためにかなり強めの線量でいく」
とも言われ、決意が固まる。

望むところだ。思う存分やってくれ。



放射線科の診察を終え、青年K医師のもとへ。

縫合部は化膿もなく経過良好とのことで、退院後も貼り続けていたテープを剥がしてもよいと言われる。
体が元気で治癒力が高いので、もう開いてしまうことはないそうだ。

そういえば術後の回診の際にも、「強い体だったからこの手術が出来た」というような事を言われた。
褒められて嬉しいのだが、それなら何故そんな強い体がガンなどという病気になってしまったのだろう。

実は母方がガン家系で、母、母の父、母の姉、母の兄がガンで亡くなっているので、何かそういう遺伝子的な起因があるのかと尋ねてみたところ、

「関係ないとも言い切れないが、関係あるとも言えない」
と、かわされてしまった。

まあ喫煙者でもあったので、自業自得と思った方が気が楽だ。


今日の診察で嬉しかったのは、入浴の許可が出たこと。

シャワーで汗は流せても、お湯に浸かるようなリラックス効果は望めない。
毎日湯船を横目に見ながら「入りたいなぁ」と思っていたので、帰宅したらすぐに準備をしよう。


夜、娘にクリスマスプレゼントの希望はないかと聞いたところ、スキーウェアが欲しいと言われる。
年明けに大山で1泊のスキー研修があるので、ニューウェアで行きたいそうだ。

子どもたちが小さな頃は、1人あたりの予算と品物選びに毎年頭を悩ませていたことを思い出す。

おねだりされるのももう最終段階だと思うと、嬉しい反面、親としての醍醐味が失われていくようで寂しさも感じる。