七草の候。


息子家族や妹ら総勢11人で過ごした年末年始の喧騒もひと段落し、寂しいようなホッとしたようなこの頃。


当面の農作業が無くなった父はオレのiPadを占領し、朝からゲームに興じている。

お気に入りは、AIを搭載した「みんなの囲碁」という囲碁アプリ。COM対戦でも毎回差し手が違うため、飽きることがないそうだ。

ゲーム依存症という病気が社会問題化して久しいが、12月に入ってから、父は連日10時間以上も画面と向かい合っている。
これを依存症と言わずして何が依存症なのだろう。

80を過ぎた老人に今さら「やりすぎ注意」なんて言うつもりはないが、古典落語の「碁泥」しかり、碁というゲームはかくも中毒性が高いということ。

ただし「そんなに面白いのなら、オレも覚えてみようかな」などとは、間違っても父の前で口走らないよう。
碁打ち仲間が次々と他界してリアル対戦相手に渇望している様子なので、病気休暇が父のための囲碁休暇になりかねない。

ちなみにオレは30代でゲームは卒業。
最後にクリアしたのは小島秀夫監督の「METAL GEAR SOLID2 SONS OF LIBERTY」なので、もう25年も前の話。
このゲームをしたいがために、PS2本体まで購入した。


さて、時を戻して暮れの12月23日。
この日は維持療法2度目の抗がん剤投与に加え、前週に受けたペットCTの結果も併せて伝えられるため、若干の緊張感を持って診察室の扉をくぐった。

果たして結果は、新たな転移や再発の所見なし。
見栄っ張りなので緊張や動揺を表に出さないよう振る舞ってはいるが、人知れずこっそりと息を吐く。

懸念していた糖尿病も、「ステロイドを入れた時だけの限定的な症状」ということで決着がつき安堵。
腎臓の数値は相変わらず低空飛行を維持しているが、とりあえず今は様子見ということで年内最後の診察を終えた。

退室時、扉口で青年T医師に、
「彼女と楽しいクリスマスを」
と声をかけると、隣にいた看護師が間髪入れずに、
「いません」
だって。


前置きが長くなったが、この日受けた抗がん剤でも副作用らしい副作用は出なかったので、年明けからの復職が決まり、本日半年ぶりの出勤を果たす。

久しぶりに会う保育園の同僚たちは、大袈裟に歓喜する訳でなく、特に同情的ということもなく、「おかえり」と実に自然な態度で迎え入れてくれた。
大変だったのはむしろ保護者さんの方で、オレの手を握りしめて涙ぐまれる方や、「よかった、よかった」とひたすら連呼される方など悲喜交々(こもごも)。

オレは神経を取った影響で思うように動かせない顔面を精一杯歪め、「ありがとうございます」「またよろしくお願いします」と何度も何度も頭を下げた。
こういうのを「冥利に尽きる」というのだろうか。感情が込み上げて、泣いてしまうかと思った。


夜、年末にNintendo Switch2を買った三男が、不要になった初代Switchを譲ってくれる。

たいして興味もなかったが、自分のものだと思うと何だか妙に嬉しい。
早速アイコンを自分の似顔絵にカスタムしたり、新しいアカウントを作成したりしながら、ひとしきりいじり倒す。


ちょうど来週の火曜日に3回目の投薬があるので、点滴中のお楽しみに持って行こう。
新しいソフトも買っておかなくては。

オレはどんなにハマってもおそらく父のような遊び方はしないと思うが、コレクションを充実させるためにソフトを次々買ってしまう恐れは多分にあるので自制が必要。
年末に本棚の整理をしたら、遊んでいないゲームや聴いていないCD、観ていないDVDが山のように出てきた。


全く関係ない話だが、三男はひどいガニ股なので雪の日の追跡は容易だ。