トリトン、カラスに襲はれる | 還暦を過ぎたトリトンのブログ

還暦を過ぎたトリトンのブログ

団塊世代よりも年下で、
でも新人類より年上で…
昭和30年代生まれの価値観にこだはります

 唐突ではございますが、私とカラスの間には、長年に亘る確執がございます。

 

 まず一つは、古い読者の方々はよくご存じだと思ひます。5年前のブログにて、このやうな出来事をご報告申し上げましたね。

 

 ありていに申しますれば、私が大事な朝食をカラスに奪はれて、なお且つそれを自宅前にばら撒かれたといふ、忘れやうとて思ひ出せない… ん?いやさうではなく、忘れやうとて忘れられぬ、涙を禁じ得ないエピソードでございました。

 

 実は、私は幼少のみぎり、百貨店の屋上のペットショップに於いて、檻の中に居た仔カラスに指を噛まれ引きずり込まれさうになつた経験がございます。

 この出来事は、私が余りに小さくて可愛い盛りの出来事だつたので全く記憶にございません。ものごころがついた頃に親から「あんたはなー、こんなことがあつたんやでー」と、知りたくもないのに教ゑられたのです。

 

 皆様もご経験があると思ふのですが、お盆や正月に親類が集まると、親や兄から例へば「お前は赤ん坊の頃に風呂で溺れかけた」とか「幼稚園の時に野ツボに落ちた」とか、己の預かり知らぬ昔話をあげつらはれて、親戚の面前で冷やかされ、恥づかしい思ひをさせられる…  このやうな、理不尽な経験はございませんか?

 左様。私は、人々が集まるたびに親兄弟から昔話として、上記のカラスに噛まれた話をされて笑はれた挙句、遂には幼い従姉妹の子にまで「カラスに噛まれたトリトン君」と認識され侮られたものでございました。実に赦しがたい、人権蹂躙にほかなりません。

 

 それはさておき、これは今朝の出来事です。

 私は夜勤明け以外の週3日、早朝5時頃に起きて30分ほど自宅近くの遊歩道を歩く習慣がございます。それは丁度5時半頃のこと。いつものコースを歩いてをりますと、前方から大きな2羽のカラスが飛んで来て、頭上5メートルほどの木の枝に止まつたのです。不気味でございました。

 遊歩道は幅3メートルほどの狭い道ゆへ、その木の下を通らぬわけにゆかず、私は糞をかけられぬやうにそのカラスどもを見上げながら進んでゆきました。無事にその場を通り過ぎると、すぐ脇の道端に小さな(と言つても20センチほど)仔カラスがヨタヨタと歩いてゐるのが見えました。私がそれに気づくや否や、背後からまず1羽の親らしきカラスが、私の後頭部に体当たりを喰らはせてきたのです。「まずい」と思ふが早いか、続けざまに母か仲間か、もう1羽のカラスが同様に私の禿頭を両羽根で叩くやうに襲つて参つたのです。

 まるでヒッチコックの「鳥」さながらでございます。強い恐怖を感じましたが、逃げると追ひかけて来るのではと考ゑたので同じ歩調で歩き去ることに致しました。

 思ふに私が仔カラスを拐ひにきたと思つたのでせう。親が子を思ふ気持ちは理解できぬではありませんが、私は無実です

 

 親カラスもそれ以上は追つて参りませんでしたが、流石の私も動揺致しました。いつもは数人のマラソン人と出逢ふ遊歩道ですが、今朝に限り誰とすれ違ふこともなく、人に注意喚起する機会なく無事帰宅したのでございます。いつか報復をと考ゑてをります。

 

 私の半生のうちで度重なる迫害を受けてよくよく考ゑれば、やはり私は前世にてカラスとは何らかの因縁が在つたのではありますまいか。その方面の霊視をなさる識者の方のコメントもお待ち申し上げをります。