げに恐ろしきは妻の怨み | 還暦を過ぎたトリトンのブログ

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団塊世代よりも年下で、
でも新人類より年上で…
昭和30年代生まれの価値観にこだはります

 

 上のご夫婦は、察するところ私と同じ市内か其の近辺にお住まひのやうです。日常の何気ない出来事をそこはかとなく書き綴つてをられるのですが、お二方のやりとりが微笑ましい限りで「もう勝手にやつとれや」と呆れる一方で、人生の伴侶は斯く在りたいものよと胸が暖かくなるのでございます。

 

 さて私の親友の知人に、凄まじい家庭生活を営む人が居りますゆへ、「他山の石」としてご紹介申し上げます。仮名Sさん夫婦としてをきませう。

 お二人は共に教師。Sさんの方は再婚でございます。奥様は教育者としての義務感と責任感を併せ持つしつかり者です。Sさんには年老いたご両親が居りますが、奥様は毎日、学校の勤めが終はると、甲斐甲斐しく家事と介護にもつとめる、良くできた主婦でいらつしやいました。

 Sさんの性格は優しい代はりに優柔不断、頼まれ事を断れない弱い部分がある人です。高校にて熱心に勉学を教へるのですが、一人の女子高生の色香に我を忘れ、彼女の卒業前後に関係を結んでしまふのです。また真面目で堅い奥様に飽き足らず、或る日、酒の勢ひで入つた風俗店で豊満で解放的なフードルさんにのぼせて通ひつめることも多々ございます。要するに女好きなのですね。

 

 ある日、夕食後になつて「東京から友人が訪ねてきた」と家を出るSさんに、奥様の疑惑がむくむくと湧いて参りました。

 深夜、寝静まつたSさんの携帯電話を手にした奥様は、暗唱番号も割り出して、すべてのLINEやメールのやりとりを目撃。翌日、興信所に調査を依頼します。無防備そのもののSさんの行状を調べ上げるのは、ほんの3日で充分だつたさうです。

 

 「これまで夫に尽くした私は何だつたの?」

 そもそも人として女性として、倫理感と責任感に溢れた性格の奥様の怒りは、並大抵のものではございませんでした。と同時に、自分がまさにひとりで築き上げた「家庭」は絶対に壊させない。ご近所から見たS家は、今も幸福そのものに見ゑます。二人の子どもは大学まで卒業させ、近く結婚式も控へてゐるさうです。

 ところが外から見ゑることのない家庭生活は、いまやSさんにとつて日々修羅場そのものださうです。

 事あるごとに「お前は何十年捨て犬みたひに外でさかりがついたメスばかり追いかけて、何を一人前ぬかすか!」などと口を極めて罵られるSさんが「別れてくれ」と用意する離婚届は、そのたびに目の前で破り捨てられます。食事の準備はSさんの仕事ですが、少しでも気に入らない味がすれば「お前の料理は猫の餌にもならん」。アルコールを飲まない奥様から、たまにご褒美として500ccのビールが与へられるさうですが、ほつとして飲んでゐると「何を一人で飲んでるの?分けてやらうと思はないの!」と叱られ、それならばとグラスに注いで奥様に渡すと「何十年一緒に住んでて、私が酒飲まないことも知らんのか!」と注がれたビールを顔にぶつかけられるとか。たまに、しばかれることもあるやうです。

 

 長年夫婦をやつて参りますと、誰しも探せば二つや三つ、妻に隠し事…と申しますより、敢へて知らせぬ方が良い事実が有るやうな無いやうな(汗)。しかしそれにしても凄い家庭があるものです。もはや殺人が起こるのでは…と、Sさんの身が案じられますが、今のところさういふ気配は無いやうです。何か起きれば、またご報告申し上げることも辞さぬ所存です。

 (このドラマはノンフィクションです。登場人物など事実内容と大いに関係あります)