近況報告ーー遂に相続税を納めました | 還暦を過ぎたトリトンのブログ

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団塊世代よりも年下で、
でも新人類より年上で…
昭和30年代生まれの価値観にこだはります

 皆様、大層ご無沙汰致しをります。

 昨年12月と今年1月に続けて父母を喪つたことはお話し申し上げましたね。

 相続税は死後10ヶ月以内と定められをりますゆへ、この10月末日が実家の土地家屋財産に対する納税の期限でございました。

 

 有能な若い女性税理士さんと、不動産会社を定年まで勤め上げた大学時代の友人のおかげで、巷間よく耳にする兄(二人兄弟です)との確執なども一切なく、遺産のお金も土地家屋もほぼ半分半分に分割することが出来ました。納税額もほぼぴつたり同額です。これもブログ読者の皆様のおかげ… は、余り関係ございませんが、昨日、無事、納税を済ませることができた事をご報告申し上げます。

 

 なにぶんにも、長年父が質屋を営んでをりましたゆへ、蔵がございましたため、父母ともに物を捨てる習慣があまりございませんでした。そのせいで、普通一般のお宅には置かぬやうな、昭和時代の古物が山ほどございました。それらを今年の2月頃から昨日まで、毎週日を決めて兄夫婦とそれがし夫婦で処分して参つたのです。

 

 布団や毛布、枕なども、民宿が経営できるほど沢山ございました。組み立てれば一部屋を占める木製卓球台、練炭火鉢も3つ有りました。電気、ガスストーブも10以上有りました。驚いたのは、母の尋常小学校時代の成績表や表彰状が、パリパリに変質してはゐるものの発見されました。無論、兄と私の通信簿、クレヨンに塗れたお絵描きノート、絵日記などもございました。面喰らつたのは、母のメモ書き風日記が出てきて、嫁二人(兄と私の妻)への褒め言葉のみならず悪口が書かれてゐたものも出てまいりました(汗)。今では皆で笑ひあつて読んでをります。

 

 質流れの品は父が廃業した際にほとんど処分してをりましたゆへ多くは有りませんが、以前お話し申し上げた毛皮やブランドバッグ、宝石に古銭・切手も若干残つてをりましたが売却しました。

 70年は経過するであらう仏壇は、僧侶に来ていただきお経をあげたのちに処分し、新たに自宅に購入することと致しました。

 

 今日、私独りでがらんとした2階、3階を見渡してをりますと、床の間にぽつんと日本人形が忘れられたやうに置いてあるのを見つけました。その目が余りに寂しさうに見ゑたのでございます。

 

 

 昨日まで、努めてドライに数々の想ひ出多き品々を処分して参りました。何百いやそれどころか千数百はあつたと思はれる、昭和初期からの記念写真類、父母それぞれがセピア色で写つたものや、多くの親族の結婚写真。私どもの誕生日や運動会の写真。一部を残して、置き場が無いゆへと理由を拵へそれらの殆どを冷ややかに廃棄処分して参りました。

 

 ところが、この人形を何気なく眺めてゐた私の目から、父母が亡くなつて以来いま初めて、滝のやうな涙が溢れて参りました。いつまでも止まりませんでした。顧みれば無理をして心を閉じ込めて参つたのでございませうね。父母から受けた恩に深く感謝致すと共に己の浅慮を詫び、改めて冥福を祈るのでございます。           合掌