大人の郷土玩具(鹿児島篇)〈1〉 | 還暦を過ぎたトリトンのブログ

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昭和30年代生まれの価値観にこだはります

 

 郷土玩具と言へば、赤べこ、鳩笛、鯛車、キツネ面…  など、地方でお土産店の店頭を賑はす、長閑(のどか)な商品類を思ひ出されることでせう。

 

 今回の表題は「大人の(郷土)玩具」とぶち上げましたが、別に「大人のオモチャ」を紹介しやうといふつもりではございません。過ぐる4月のブログに「アンナちゃんと共に生きた青春」を脱稿いたしました辺りから、だうせあのトリトンならばそのやうな話題を持ち出さむとしてゐるのだらうと疑はれる向きもあるでせう。でも今回は本当に大人しか使へない玩具のお話をさせていただきます。

 

 

 この写真に在ります「箸戦球」は、鹿児島県曽於市大隅町の雑貨店にて買ひ求めた品でございます。製造者は「大隅算盤・謹製」と書かれてゐます。箱の中には、長さ10㎝、太さ1㎝角の木片が6本入つてをります。木片の材質は高級で、柞(イス)と言ひ、算盤や高級な箸に使はれる樹木です。硬くて艶が良く、おそらくは使い込むに従ひ、ますます枯淡の味が出る品ではあるまいかと存じます。

 

 「箸戦球」と書いて「なんこだま」と読むことに奇異な感じを受けますが、この玩具の使ひ道を知れば「なるほど」と納得することになりませう。

 

 遊戯は、2人が相対して行はれます。遊戯と申すより「対戦」と云ふ方が雰囲気に合ひます。6本の木片を、その2人が3本ずつ持ちます。対戦者はそれを掌の中に何本持つても宜しうございます。1本~3本、或いは0でも良いのです。双方お互ひが数を決めますと、「ジャンケン」と同じやうに、同時に前に「ホイ」と差し出すのでございます。

 あとは対戦者のいづれからでも構ひませんゆへ、その場に出てゐる木片の合計数を当て合ふのです。

 

 つまり、かういふ感じです。

 自分は2本持つてゐる。あとは仕草や表情から探り、相手の持つ数を、それに加へる。例へば相手が1本なるやと判断すれば、早い者勝ちで「3」と声を掛けます。相手は、その「3」から判断して「こいつは2本持つてゐるな」と判断すれば、そこに自分の数を足して「5」とか「2」とか、相手と異なる数字を言ふのです。

 双方が数を言ひ終へますと、せーので掌を公開します。数を当てた方が勝ち、両方が外した場合は引き分けです。

 くどくどと説明申し上げましたが、話は簡単。0~6までの数当てクイズといふ訳です。命名の「なんこだま」は即ち「何個?玉」に由来するのでせう。

 

 此処で、読者の方々は思はれるでせう。それぢや何のことはない、大人でも子供でも出来る簡単なゲームではないか… と。

           (次回に続く)

 

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