タクシー運転手さんのご苦労〈1〉 | 古稀を過ぎたトリトンのブログ

古稀を過ぎたトリトンのブログ

団塊世代よりも年下で、
でも新人類より年上で…
昭和30年代生まれの価値観にこだはります

 

 過日、阪神淡路大震災を過ぎました頃より稼業の「写植業界」がほぼ消滅し、不慣れなパソコンによる製版にシフトする傍ら、自宅近くに在る運送会社へアルバイトに通ふやうになつたことは申し上げましたね。

 恰度その頃に長男が生まれたことが弾みとなり、努力の末、本業の方も大変忙しくなりました。と申しましても資本金も少なく、従つて人様を雇ふ甲斐性も無いので、単身で稼ぐには限界がございました。

 その十数年後、息子が大学受験を志す頃になりますと、朝の運送アルバイト、昼の自営業だけでは生活が苦しくなつて参つたのでございます。

 折しも、知人が阪神間でタクシー会社を開業するので、夜間の宿直員をする気は無いか、との打診を受けました私は、二つ返事で諒解したのです。

 

 タクシー運転手といふお仕事は、夜間が稼ぎ時です。まあ昼間の病院では需要もありますし、主要駅頭にもタクシーが屯ろ致しをりますが、大口(長距離)の乗客は昼間は殆どございません。

 重い荷物でも持つてゐない限り、また交通の著しく不便な地域に住んでゐない限り、昼間は電車もバスも動いてございますので、庶民にとつて高額なタクシーを利用する必要性は滅多にございません。精々、一台に数人が乗るやうな結婚式、葬式の場合くらひでせうか。

 

 すると、私ども庶民がタクシーを利用するのは如何なる場合でせう?

 はい、さうです。まず…

 ① 電車やバスが動いてゐない時間

 ② 遠くて徒歩では帰れない距離

 この条件が満たされるシチュエーションといふことになりさうです。

 

 となりますと、これはだう考へても、会社帰りに同僚、友人らと呑み会に行き、酔つ払つて、うつかり最終電車に間に合はなかつた… といふ場合になるのではないでせうか。中には、仕事が忙しくて残業し、終電に遅れた…といふ奇特な方も居られるとは存じますが、ごく僅少かと思はれます。

 私個人的には、JR尼崎から3駅の伊丹駅で降りるべきところを終点三田駅まで眠り過ごし、帰りの電車が無いため泣く泣くタクシーで1万円を支払つて帰つた…など、思ひ起こせば自己嫌悪に陥る経験が多々ございます。

 

 

 このやうな言ひ方は大変一面的で、失礼千万に違ひありませんが、タクシー客の大部分は深く後悔してゐることでせう。更に悪い言ひ方を許して頂けるならば、タクシーは客の不運で飯を食つてゐると言へるやもしれません。(ごめんなさい)

 さりとて、最終電車を下車してタクシーが1台も停まつてゐなければ、その酔客はもつと不幸なことになる訳ですから、タクシーは人助けをしてゐる…これもまた揺るぎない真実でございます。

 

 さて、今日を第一回とし、これから私が見聞したタクシー運転手さんのご苦労話や、失敗談などをお話ししてゆかむと存じますが、連続ではなく思ひ出してはご紹介する「随想」の形をとらせて頂くつもりです。

 

ペタしてね