伊丹の新名所「キツネイロ」 | 還暦を過ぎたトリトンのブログ

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団塊世代よりも年下で、
でも新人類より年上で…
昭和30年代生まれの価値観にこだはります

 

 私が大学卒業後、最初に就職したのは神戸に本社が有る和洋菓子の製造販売会社でした。

 その会社でよく売れていた和菓子は三種類の饅頭で、栗(白餡と栗の欠片)、桃山(卵の黄身餡)、大和田(小豆のつぶ餡)の三種。進物用には、それらを詰め合はせるものが人気でした。

 大和田といふ饅頭は、他社では三笠饅頭、或はどら焼き…などと呼ばれてをります。円形のカステラを二枚合はせ、間に小豆の粒餡を挟み込む形状です。楽器の銅鑼(どら)に形が似てゐることから「どら焼き」の名が付いたやうで、漫画ドラえもんの好物としても広く知られてをりますね。

 

 この「どら焼き」ほど、和菓子で著しい進化を遂げた菓子は無いのでは、と私は思ひます。他に思ひつくのは、本高砂屋さんが開発致しました「きんつばアンフィーユ」といふ優れものもございますが、これはもはや「きんつば」の域を越へ、餡を用いひた洋菓子なりと、私は判断致すものです。

 

 

 さて、既にTVのグルメ番組や各種メディアで度々紹介されてをりますが、昨年十一月末、私が住む伊丹市(JR宝塚線伊丹駅)にどら焼き専門店「キツネイロ」が開店致しました。

 何ぶんにも、その店から徒歩5、6分の近所に住まひする身でさへ、おいそれと手に入れることが困難なくらひ日々長い行列が出来るものですので、甘いもの好きな(酒はそれ以上に好きですが…)私どもも半ば諦めてをりましたのでございます。つひ先週までは…。

 

 先週末、朝9時頃に、勤め先で同僚の美女が、隣の川西市よりバイクをぶつ飛ばして、このキツネイロを訪ねて参りました。当店の開店時刻は10時。ラインにて現場写真を送つてくれましたが、未だ行列は30人程度ですので運が良かつたやうです。早い人は8時頃から並ぶさうです。

 それでも開店寸前には90人の列が出来てをりました。どら焼きは客一人に対し12個までといふ制限があり、開店前に店員の女性が一人ひとり個数を尋ねてゆきます。営業時間は10時から18時、売り切れ次第閉店といふことですが、事実上正午には閉店になるさうですから、たつたの2時間で在庫終了といふ繁盛ぶりです。

 お店の話では、閉店後から翌日販売分のどら焼きの製造を始めるさうです。翌日に開店すると、それが2時間で売り切れるといふ次第です。さて今後人を雇つて量産に踏み切るのか、それが品質を落とさずに可能か否か、その辺りが注目されますね。

 

【新情報】昨日4月2日には店頭にチラシが貼り出され、取り敢へず今後は朝9時に整理券を配布し、10時~13時にお渡しするといふ方針が打ち出されました。お客様お一人の個数制限も併せ、ご参考までに写真掲載致しをきます。

 

 今回、麗しのバイク美女が私にお裾分けくださつたのは、以下の2種類のどら焼きです。

 ひとつは「ほうじ茶 バターあんと小豆あんを 黒糖生地で」。

 

 もうひとつは「桜寒と 小豆あんを もちもち桜生地で」、これは今の桜の季節限定商品です。

 この後者のどら焼きには感動致しました。桜寒といふのは桜エキスを用いた寒天です。皮の生地は文字どほり餅のやうな舌触りで、食すれば口の中に春の薫りが広がります。

 

 

 大きさは、いずれも直径10㎝弱。我が家では、この2個のどら焼きをそれぞれ四つに切り、家族4人で試食致しました。物足りなさは拭へませんでしたが、日本人の手による繊細な和菓子の進化を実感するひとときでございました。

  

 

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