「幻燈会」から「映画会」へ | 還暦を過ぎたトリトンのブログ

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団塊世代よりも年下で、
でも新人類より年上で…
昭和30年代生まれの価値観にこだはります

 皆さま、よきGWを過ごされたでせうか。

 パソコンが仕事場に在りますため、更新が今日になつてしまひました。お詫び申しあげます。

 

 さて、私が幼児期を過ごしました尼崎立花地区では、夏休みになりますと「幻燈会」といふものが子供会の主催で開かれました。早い話が映画会です。町内の一角で車が通らない安全な空き地に、縦2m×横3mほどの大きさのスクリーンを張り出し、やつと暗くなる夜の8時頃から映画を上映するのであります。

 何しろ50数年前の話ですからモノクロで、「月光仮面」や「快傑ハリマオ」が大人気。数十人の子供らが体育坐りをして目を煌めかせて、かじりつくやうに観るのでありました。

 翌日になりますと、そこら中の男児が頭にターバンを巻いて、父親のサングラスや黒縁眼鏡をかけてハリマオごつこに興ずるさまが散見されたものであります。

 

 さて、それから数年後には「幻燈」なる言葉も死語となります。そして小学校でも年に一度か二度「映画会」が教育の一環として催されるやうになりました。

 

 以前にも申し上げたことがございますが、私は神戸市東灘区の或る小学校へ越境で通ふ身でありました。私の記憶によれば、小学校時代の「映画会」で観た映画は、「三匹の犬(?)」「妖星ゴラス」「黒い牡牛」「フランダースの犬(実写版)」、あと題名は失念しましたが、貧しい家で父親と二人暮らしのケンちやんといふ少年が運動会の駈けつこで一等賞を獲るまでの苦労話を描いた作品もありました。 

 

 お解り頂けますやうに、教育的配慮が凝らされた至つて健康的で、家族的で、よいこのみなさん向けのものばかりでありますが、ただ一度だけ、「これは先生(男性教員)が見たくて選んだのではないか…」といふ作品が上映されたことがありました。

 

 はい、それは何を隠さう「恐竜百万年」であります。

 

 私どもの年代より若干上の男性なら誰もが知る世界的セクシーシンボル、ご存じラクエル・ウェルチの出世作品がこの「恐竜百万年」です。

 

 

 原始時代に生きる恐竜と、人間の生活を描いてゐる…といふ点では、なるほど確かに一応教育的ではあるのです。ストーリーは、山で育ち狩猟をして生きる主人公の男性トマクが、部族内の争いに敗れて山を追はれ、疲労と飢へで倒れたところを文明の発達した海辺部族に救はれるのですが、その海辺の部族の女性が皆なぜか美しく毛皮の水着姿なのですねー。無論、ひときわ美しいロアナ(ウェルチ女史)もその海辺に住んでをられるわけです。 人間と恐竜との闘ひ、部族同士の争ひの中、まあ結局は地震が起きて僅かな人間だけが生き残る…といふ、原始時代映画にありがちなラストを迎へます。

 

 想像致しますに、先生からすれば「子供らは恐竜を見て、大人はラクエル・ウェルチを見る」といふのが本音でせうか。もはや、教育的配慮は何処へやらですね。

 

 恥づかしながら、私もこの映画すなわちラクエル・ウェルチ女史にぞつこんハマりました。ガキのくせにマセてたのですね。

 彼女はベトナム戦争当時、米兵の間でピンナップガールとして段トツの人気を誇りました。丁度、朝鮮戦争の時代にマリリン・モンローがさうであつたやうに、米国のセックスシンボルとして一世を風靡したのです。

 

 上の写真は「恐竜百万年」を観た私が阪急三番街で買つたポスターですが、20年ほど前、映画「ショーシャンクの空に」でもこの写真は有名になりました。妻殺しの冤罪を着せられショーシャンク刑務所に入つたアンディが、年月をかけて悪徳所長の信頼を得る一方で、監房に穴を空けて脱獄するのです。

 その穴を隠すのに使用したのが、何を隠さう、ん? いや少々ややこしいですが、要するにこれと同じポスターを使用して壁面を隠したのであります。映画ファンの方なら覚ゑてをられることでせう。

 

 ラクエル・ウェルチ女史、1940年生まれですから、今年77歳になられる訳ですが、何のなんの現在見てもその美しさは輝くばかりです。ちなみに下の写真は70歳を迎へられた頃のものです。アンチエンジング此処に極まれりですね。