つづき
4 一時保護所の体制
体制は、自治体によって、違いや差があると思います。
私が所属していたところは、1つの児童相談所に、1つの一時保護所でした。
保育士等の資格を持っている人も多かったですが、全員ではありませんでした。
学校教諭はおらず、学習はプリント学習が中心でした。
職員に、専門の研修等は無く、入所児童にどのように接したら良いか、どの点を行動観察してその子の処遇に活かしたら良いか、わからないままの職員も多かったです。
24時間、交代勤務です。
年末年始含め、入所児童が0人になることは見たことありませんでした。
夜間の電話等も、一時保護所職員が対応していました。
養護施設・乳児院に、一時保護委託することもあります。
ただ、非行・虐待等で、より行動観察が必要な子は、まずは児童相談所の一時保護所で保護することが、私の所属していたところでは多かったです。
5 一時保護している児童を担当に持つCWの仕事・気持ち
例えば、「母に叩かれて家にいたくない」という中学生を保護するとします。
その子に一時保護所の説明をする、その子を一時保護所に連れてくる、保護者に保護した旨説明する、通知文を発行する、児童・保護者・学校・市町村等と面接を重ね家庭状況等把握していく、担当心理・一時保護の行動観察・医師意見等と、すり合わせを行なっていく、児童・保護者の意向を踏まえながら方針(家庭引き取り、里親委託、施設入所、その他支援方法)を検討する。
とても簡単に書いただけでも、このような仕事内容になります。
保護者が「子どもを帰して」と泣いたり怒ったりすることもあります。
背景に子どもの登校しぶりや障害等あり、保護者が困っている場合もあります。
子どもが「施設に行きたい」と言い、保護者が反対し、話が平行線を辿ることもあります。
児童相談所の一存で処遇は決められません。
以前からお伝えしているとおり、日本は、想像以上に、親権が強いです。
状況によりますが、基本、施設入所には保護者の同意(明確に反対していない状態)が必要です。
子どもの気持ちも大事にしながら決定していく必要があります。
処遇決定には、本当に苦労します。
一時保護は、その家庭、その児童の、大切な岐路に立ち会うことも多いです。
家族の生活がガラッと変わること、その子の転校が伴うことも、多々あります。
あらゆる支援を考えていく必要があります。
ただ、一時保護所は、1〜4の状態なので、一時保護所の職員に、子達のために、処遇の決定を急かされることも多く、気持ちも焦ります。
でも、私達も子達のために、きちんと処遇を決定したいと思いますし、焦ってもどうにもならないときもあります。
加えて、地域・警察から、どんどん次の一時保護児童の情報が入ります。
兼ねてからお伝えしているとおり、CWの人数が全く足りていないため、1人のCWで、複数人の児童を担当します。
もっとそれぞれの子や保護者に向き合いたいのに、あまりにも時間が限られるため、十分にできなかったことが、とても申し訳ないです。
ただ、今、振り返っても、一時保護の子達は、とても印象に残っています。
一緒に笑って、悩んで、辛い気持ちを分かち合って、時には涙しながら、その子が納得できる道を考えます。
紆余曲折があって、一時保護が終わった後、次のステップに送り出します。
そのとき、担当の子からもらった言葉、不安気だけど決意を持った表情は、一生忘れません。
6 一時保護に関する改善点
自治体にもよるでしょうが、私が所属していた児童相談所の一時保護所を想定しながら、いくつか挙げたいと思います。
①複数の場所を作る
様々な複雑な理由のある児童を、同じ場所で処遇することに、職員も非常に苦慮しています。
一概に、非行児童の棟、虐待児童の棟、などといった、分け方ではないかもしれません。
非行の子が、生育歴を確認していく内に、虐待を受けた経験があるというのは、よくあることだからです。
ただ、そのときの状態像、他児との関係などを考え、複数の棟の中から、場所を検討する等、できないでしょうか。
② 職員人数を増やす
やはり一時保護所にも人数が必要です。
もっと丁寧に、子ども1人1人に関わる必要があります。
③職員の資格・研修制度
私の所属していた児童相談所では、研修はありませんでした。知識やスキルが問われる仕事だと思うのですが、必須資格もありません。
あまりにも、制度が遅れています。
職員自身が苦労していることはもちろん、何より子どもをしっかり支援する必要があります。
④学習体制の見直し
現在の体制だと、義務教育中の児童も、十分な教育を受けられない期間があることが、ずっと気がかりです。
集団での授業を受けることも難しい子ども達が多いですが、個別指導等、やり方はあるはずなので、やはり、学校のカリキュラムを取り入れてほしいです。学校教諭に来ていただければ、ありがたいです。
⑤ハード面を充実させる
私の所属先は、建物が古かったです。
子どもが壊した策を直す予算が無く、職員が修理していました。
福祉全般、児童相談所の全ての部署に通じますが、予算が全く足りていません。
せめて子ども達が使用するところは、もう少し綺麗にしてもらえないのでしょうか。
⑥児童相談所の一時保護所以外の方法の充実
ちょっと話がずれますが、そもそも、なぜ、児童ばかりが、行動の制限を受けなければならないのでしょう。
虐待であれば、加害者の厳罰化や早急な逮捕等、できないのでしょうか。
父母関係の問題をはらんでいることも多く、子どもだけでなく、母子もしくは父子で逃げる場所(母子寮等)や制度を充実させられないのでしょうか。
親子分離は子どもにとって、さらなる負担です。
子どもを守る方法は、児童相談所の一時保護だけではありません。
さいごに
子ども達の自由が過度に制限されるルールは変える必要があります。
しかし、ただそのルール、児童相談所、職員を批判し、ルールを無くせばいいという話ではありません。
その背景にある一時保護所の状況、体制、職員の苦慮等。問題点を改善し、子ども達の自由が過度に制限されるルールが不必要になる状態を作る必要があります。
付け加えておきたいのは、実は、行動制限が多い一時保護所のはずなのに、「ここが今までで1番いい」という子が、沢山いるという事実です。今までどれほど傷ついてきたのか、どれほど構ってもらえなかったのか、どれほど自分の居場所を求めてきたのか・・・。
一時保護所は、子ども達が、傷つきながら辿り着く場所です。
早急な改善が必要です。