起業から、経営者へ、そして・・・ -13ページ目

起業から、経営者へ、そして・・・

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大きな円卓を囲んで、謝氏が立って一同を見渡しながら話し始めた・・・


謝「皆さん、本日はお集まりいただいて、有難うございます。ここにお集まりいただいた方々は、今回の大洋百貨店での新プロジェクトに関わって、ご協力いただいている方々です。詳しくは後で、それぞれ名刺交換してください。それでは、先ず、自己紹介を簡単にしていただきます。」

そういって、円卓の順番で各々、簡単な自己紹介をした。

謝「それでは、新プロジェクトを祈願して・・・カンパイ!」

皆は、それぞれ隣同士でグラスを交わした。

食事は、卓に沢山並べられていたが、名刺交換が始まった・・・耕一はユキの通訳に助けられながら、それぞれ名刺交換をした。ただ、不思議に思ったのは、よく理解できない人々が半分くらい居た事であった。しかし、それは耕一もまた同じで、相手は耕一の事を不思議に思ったかもしれない。

食事が始まり、噂に聞く中国式の乾杯や、これまで見たことも無い中華料理のメニューを口にした。
『いったい、この空気でこのプロジェクトは進むのか?』疑念が消えなかった。

会食が終わり、一同はレストランを出た。三々五々と散るかと思いきや、謝と柴田に呼び止められた。

柴田「中澤さん、これからが中国の面白いところだから・・・一緒に着いて来て・・・」耕一は、促されるままに彼らとタクシーに乗った。

着いた場所は『カラオケ』であった。今さら、中国まで来て『カラオケ』?と思った。ところが、そこは日本のそれとは大きく違っていた・・・

日本人、6名で通された部屋は20畳ほどもあろうか、大きな部屋であった。豪華な応接セットと大画面のモニターが置かれ、贅沢な造りであった。そこへ、30過ぎの女性が入ってきて、何やら謝に耳元で囁いていた。すると5分ほど経って、ぞろぞろと女性が並んで入ってきた・・・

柴田「中澤さん、中国初めてだから、一番の選択権をあげよう。この中から気に入った女性を指名していいよ・・・」

耕一は、面食らった。『ナンなんだ?ここは?』・・・

耕一「女性を選択するって、よくここのシステムが分からないのですが・・・」

柴田「まず、ここで飲む際に横に座らせる女性を選ぶんです。その分のチップは、個別に払うんです。そして、気に入ったらお持ち帰りできます。価格は、交渉次第です。もしその気になったら、言って下さい。謝が代わりに交渉してあげますよ・・・」

耕一「そ、そうなんですか?!・・・私は後でいいので、先にどなたか選んでください・・・」

柴田「そう?後悔しない?・・・じゃ、そっちからどうぞ!・・・」

そこに居合わせた、他の数人は、選び始めた・・・最初の20人位で気に入ったのが居ないと、総入れ替えで、次の20人が入って来るのである・・・その繰り返しが、5回ほどして・・・・

謝「一応、本日のメンバーは一巡しました。これからは、最終決定として、選んでください!・・・」

そう、ここのシステムは、ホステスそのものを指名して買うのである。単に、飲む場だけのアテンドであれば、日本で言うキャバクラに近いが、持ち帰るとなると話は変わる。要は、置屋の場としてカラオケの個室が使われているのである。明らかに、売春・買春の現場である。耕一は、一応許可を取って、ビデオを回した。・・・小さなファインダー(液晶)に映るその様子は、一種独特のものが伝わってきた・・・

聞くところによると、彼女達は田舎から都会へ出稼ぎに来ているのが殆どであった。そして、昼間は普通に働き、夜はこうして働いているのである。中国では、ダブルワークが当たり前となっており、そうして経済発展が下支えされているのであった。よって、女性向けの商品のターゲットは、ある程度毎月の稼ぎがある事が前提となる。収入バランスから見て、アンバランスな高価で手が出ないはずの商品に、なぜか人気がある。例えば、携帯電話やスーパーブランドのアパレル品である。その経済原資は、こういった夜の世界があるからであろうか?

耕一は、結局女性を指名しなかった。シケた日本人として見られたであろう。そして耕一は、ここ上海で自分は、住めないであろうと確信した・・・・(続)


耕一は、ユキとその後、新世界、バッタ屋(偽物街)、南京四路のオフィス街・・・と歩き回った。


新世界の飲食店では、上海の中では一番物価が高く、コーヒーやビールは日本とほぼ同じ価格で店先で出されていた。
南京四路のオフィス街から暫く、商店が立ち並ぶ街頭を歩いた。1件の若者向けセレクトショップに入った。
名の通ったブランド品のジーンズ等が並んでいた。耕一は、テスト的にユキに自分が欲しいと思う組み合わせの服を選ぶように指示した。

ユキ「ナカザワさん、これどう?私、細いからサイズが合うのがなかなか無くて、・・・・」

耕一「そうだね・・・ちょっと待ってて・・・」
そういいながら、自らユキに合いそうな服を選び始めた。なぜなら、明らかに彼女の選択では、
日本人の眼から見ると『ダサイ』のであった。これは、日本で本多や小田の普段のセンスを見たり、
佐嶋から聞き覚えた現在の日本での流行りを聞いていたからだ。

耕一「これと、これを組み合わせて、比べてみて・・・」そういって2着ほどシャツとジーンズを手渡した。ユキは、微笑みながら試着室に入った。

ユキ「ナカザワさん、どう?どっちがかっこよく見える?・・・」

耕一「そうだね・・・あえて選ぶならこれとこれの組み合わせかな?・・・」

ユキ「そう?・・・」

耕一「もし、気に入ったならプレゼントするよ!」

ユキ「!!!ホンと!!!うれし~!!!」

そういいながら、試着室から出てきた。耕一は、店の商品の質・保管状態・ディスプレイの方法・店員の対応、そして価格、包装に至るまで、細かくチェックしていた。

その店を出ると、ユキは上機嫌であった、それまで以上に耕一に気を遣い、何でも指示に従ってくれた。そして、耕一はもう一つユキに芝居を頼んだのである。それは、写真館に入るためであった。
中国・台湾では、冠婚葬祭だけではなく、家族・血縁の写真を大変大事にしている文化がある。

その一例として、結婚式における写真の扱いは、尋常ではない。芸能人並に撮影ロケに丸一日を費やし、選んだ写真を、写真集のように、製本し必要部数だけ、親しい身内に配るのである。それは、日本ではあまり一般的ではないサービスである。
この写真館に2人で入り、どんなサービスかを知りたかった。ユキと耕一は来月結婚するという前提で2件ほど店を回ったのである。

入った瞬間、耕一は驚いた。土曜日の午後とはいえ、店内のフロアーに100人以上の人が居たのである。その殆どが、若いカップルでその接客をそれぞれ店員がしている。

ユキと耕一も接客席に促され、店員から説明を受けた。中国語で分からないので、ユキがその話を殆ど受け、通訳してくれた。その概要は、まず、「撮影日程を決め→撮影用の衣装決め→撮影場所の決定→女性のメイクアップ・ヘアメイク決め→ブック構成の決定(=写真枚数)→ブック表紙の決定→見積もり価格試算」である。

これで、12カット・3回衣装変・ブック表紙(中程度)・10部程度で、何と日本円で10万円前後であった。
1冊¥10,000円前後で出来るのである。
このサービスは、日本企業で上場しているタナベウェディングも中国でそのビジネスを展開していた。加えて、タナベは、上海市内に数多くCafeも展開していた。

ユキと耕一は、さも婚約者同士のふりをして、翌週に再来店する予約を入れた。

その後、ユキと耕一は予め柴田と決めていたレストランに約束の時間に向かったのであった。古典的な、その中国レストランは、庭園が広がり、かなり高級感のあるつくりであった。元々、その建物は周囲のフランス領事館街で、旧家を買い取りレストランに仕立ててあるものであった。通された、部屋にはずらりと10人ほど着座していた・・・『いったい、どうなっているんだ?』と思いつつ、耕一は、席に着いた・・・(続)


耕一は、体調不良を圧して、上海の市街地に出かけた。


ユキ「ナカザワさん、どこに住んでいるの?」

耕一「東京だよ。ユキは、どこの出身?」

ユキ「いいな~。一度、東京に行ってみたい。私は、5年前から家族と上海市内に住んでます。」

耕一「そうか・・・上海って何でもあるの?」

ユキ「そうねー、何でもあるけど海外から入ってきたものは、高いよ。」

耕一「ところで、どこに向かっているの?」

ユキ「まずは、『楊園』っていう公園・・・ここは、美味しいものがあるから・・・」

耕一「何が美味しいの?」

ユキ「小龍包・・・良かったかな?・・・」

耕一「いや、何でも食べてみたいから問題ないよ。特にユキちゃんが食べたいものに興味あるし・・・」

まるで、初めてのデートのようである。他愛も無い会話をしながら、上海の20代女性の心情を、耕一は探っていた。

楊園に着き、園内を歩くとわんさか中国人の店先の売り子が寄ってきて、声を掛けて来るのであった。耕一は、おののいた。と言うのも、腕を掴んで強引にどこかに連れて行こうとするのである・・・ユキが居なくては、上海市内が回れないことを痛感した・・・(続)


耕一が、上海に向かったのは、初夏の6月後半のことであった・・・


渡中するには、ビザが必要で、その手続きを謝氏に任せた。

同行したのは、柴田氏と謝氏であったが、現地でアパレル業界のメディアを主宰する、近藤氏とそのスタッフと合流する事になっていた。

耕一は、出発前から日々の不摂生が祟って、至極体調が悪かった。持病の左腰痛と、激しい下痢に苦しんでいた・・・

出発当日、成田で待ち合わせし、上海に向かった。反日感情も時折マスコミに騒がれ、前年の冬にはSARS騒ぎもあった。それまで、何度も渡米していた耕一は、空港の物々しさに少々驚いたが、何事も無く上海空港に降り立った。

最初に襲ってきたのは、息苦しいほどの蒸し暑さであった。湿度が80%以上が常で、今回の出張の多難さを予言していたかもしれない・・・
到着したのは、金曜日の夜だったので、チェックイン後、直ぐに謝氏の案内で超過料理のレストランに連れられて行った。

翌日、耕一と柴田・謝の3名は最初にあるホテルのロビーに向かった。ここで、ある人間と待ち合わせと言う事だった。面会したのは、22歳のあどけない女性(ユキ)だった。彼女は中国国籍であったが、かなり日本語を話せた。聞くと、通常は上海にある日系企業に勤めていた。そして、なぜ彼女がここに居るのか?・・・
日本語のガイド・通訳として柴田氏が予め呼んだのだと言う。耕一は、複雑な心境であった。これまで、通訳を連れて歩くと言う事は経験がない。しかし、中国では、至極当たり前と言われ、彼女の日当も含め経費は耕一が持つ事となった。

柴田「中澤さん、早速で悪いけど今日と明日は、ユキちゃんと上海市内を歩き回ってくれますか?今日はこれから謝と私は、月曜日のミーティングの為にある人物と打合せしなくてはならないので・・・よろしく!ユキは、こういうのに慣れてるから、何でも指示してくれていいから・・・」

謝「そうそう、彼女は上海市内ならどこでも知ってるから、大丈夫ですよ・・・」

耕一「そうですか・・・では、早速仕事としての調査に入ります。」

耕一は、予めビデオカメラと一眼レフカメラを携え、万全の準備であるはずだった・・・体調が悪い事を除けば・・・

しかしながら、何の予備知識も計画も持ち合わせていなかったので、とりあえずユキにインタビューする形から始めた。そして、上海市内で回るべき場所を決めていった。


しかしながら、耕一は体調の異変に苦しみ続ける結果となった・・・・(続)


それから耕一は、日本国内におけるアパレル・雑貨等々の市場調査を開始した・・・


耕一は、独自の感覚でその調査に臨んだ。

まずは、「ブランド」というものの実態を把握しようとした。そのためには、女性の力がいる。そこで、本多と小田に、実際に彼女たちの興味のある情報及び、その実態を調べて、まとめるよう指示した。

彼女たちは、渋谷・原宿・銀座・新宿・お台場等々のエリアを回って、実際に商品を購入したり、サービスを受けてみた。サービスというのは、お台場にある写真スタジオだが、ここは芸能人張りにヘアメイクや、化粧のサービス、貸衣装などもあり、身近にタレント感覚を味わえるサービスをしている。ここで、彼女たちは、それぞれ思い思いの写真を撮ってみた。

これは、韓国・中国では、非常にポピュラーなものとなっているらしく、逆に日本はまだまだ認知されていないサービスでもあった。
一方では、女性用の下着や化粧品は、スーパーブランド(ワールドワイドブランド)と並んで日本製は非常に人気が高かった。特に、下着は欧米製より日本製は人気があった。

化粧品は、資生堂・コーセー・SK-II・その他のブランド品は、非常に人気が高く、やはり遺伝子的に近いアジア系の肌やスタイルは、日本製は歓迎されている。

一方で、北京大学での反日デモや、大小の反日感情がマスコミで騒がれていた。後で分かったことだが、何割かは、マスコミによる誇大広告の裏仕掛けがあったようでもある。


続いて、耕一は日本人女性20代後半~30代半ばにかけて、不特定アンケートも実施した。これらのアンケートを集計しデータをまとめた。
以外にも、日本ブランドの強さが目立った。特に三愛グループのブランドは、女性に非常に支持されていた。

これらの調査データをまとめつつ、柴田らとの打合せを重ねていった。

並行して、佐嶋のこれまでの経験を生かして、本件に関わる必要な業務及び契約書関係を積み上げて準備を進めた。


そして、ある時柴田より上海へ行く事を伝えられ、耕一は初めてアジア側の国境を越えることとなった・・・(続)


謝氏は、達者な日本語で勢いよく話し始めた・・・


謝氏の話は、中国訛りではあったが、大きな声で捲くし立てる様に響いた。

謝「今の中国、特に沿岸・都市部の経済状況の活気には、目を見張るものがあるんですよ。特に、上海は凄いんですよ・・・・」と現在の中国の発展の要因を、2008年の北京オリンピック、2010年の上海万博と、説明し始めた。

本題である、大手百貨店の話は、こうであった。
元々、中国国内で最大手の百貨店である『太平洋百貨店』は国内に40000坪以上の売り場面積を誇る店舗が、20箇所以上存在していた。その年の2月まで総裁を務めていた王(ワン)氏が、この『太平洋百貨店』を10数人の幹部を引き連れ、退任した。その後、台湾系の投資家により新たに『大洋百貨店』を立ち上げ、既に北京・大連・蘇洲・・・4店舗ほど『太平洋百貨店』と同等の規模で、ビジネス展開を図っていた。そこで、競争相手ある『太平洋百貨店』に大きく水をあけるために、新店舗出展する上海において、超目玉として『日本ブランド』を大きく取り上げる構想であった。・・・

謝「そこで、今回私が王総裁に直接話す機会があって、今日、皆さんにお会いする事になりました。具体的には、上海の新店舗の2階フロアー全てを、日本企業・ブランドの店舗で埋める『リーシング」(店舗誘致・契約締結)と『ゾーニング』(内装・設備の造作)の2つを早急に進めるのが課題となります。よって、これらを進めつつまとめるプロデューサー的人材が必要なんです。どうでしょうか?皆さん、力を貸してもらえますか?」

一同は、その勢いに一瞬間が空いた・・・

耕一「話の概要は理解しましたが、『日本ブランド』の選定や大元のプラン策定の作業をするには、まず今の日本の市場調査も必要ですよね?」

柴田「その通り。それは、中澤さんにお願いできますか?・・・ところで佐嶋さん、自己紹介を兼ねてこれまでのキャリアなんかを紹介してもらえませんか?」

佐嶋「はい、私はこの7年くらい商業施設や不動産関係における店舗開発を中心のコンサルティング的仕事をしてきました。先ほど言われた、リーシングやゾーニングの実務はもちろん、個別に店舗の収支計画書などもあわせて作るような仕事をしてきました。さし当たって、直近ではお台場の商業施設の中にある『お台場一丁目商店街』は私が全てプロデュースしました。・・・」

謝「おお、それは凄い!・・・」

柴田「おう、すばらしい実績ですね・・・まさに探していたプロだ!・・・」

2人は、勝手に盛り上がっていた・・・まだ、この時点ではこの仕事を手がけrかどうか、白紙の状態であったにもかかわらず・・・この2人はかなり強引に、話を進めようとしていた・・・・そう、この時に気づくべきだったかもしれなかった・・・彼らの理不尽さを・・・

なんとなく、会議室での打合せは盛り上がりをみせ、とにかく初対面と言う事で、この場は終わった・・・

本多「ねえ、どうするの?関わるの?・・・」

耕一「う~ん、僕も良く分からない仕事だからな・・・あなたは?」

本多「私自身は、やりたい気持ちも歩けど時間とお金にちょっと余裕がないわ・・・厳しいのが事実・・・」

耕一「じゃあ、僕のところで請けて、手伝ってくれるといいのはどうだろう?少なからず、女性ブランドの市場調査は、僕ではいきなり出来ないし・・・」

本多「いいわよ。経費出してくれるのなら、やってみたいわ・・・」

耕一「よし分かった。なら、とりあえず様子を見ながら、手がけてみようか・・・」

2人は、珍しく早く一緒にオフィスを出て、耕一の家の近くの行きつけの鮨屋に向かった・・・(続)


耕一は、佐嶋と柴田の面会をアレンジした・・・


柴田は、意気揚々で耕一の所に2人でやってきた。もう一人は、細身で小柄な人物であった。

柴田「やあ、中澤さん。流石ですね。早速、人材を紹介してくれるとは・・・」

耕一「柴田さん、わざわざお運びいただいて恐縮です。そちらは?・・・」

柴田「ああ、紹介します。こちらは、日本で12年在住している中国人の謝氏です。彼が今回の上海案件のキーマンなんです。」

謝「はじめまして。今日は、ほんとにありがとう。感謝します。」

耕一「こちらこそ、そしてこちらが本日紹介する佐嶋さんです。」

佐嶋「はじめまして・・・」

柴田「それでは、早速、本題に入りましょうか?謝さんから、プレゼンさせてもらっていいですか?」

耕一「ちょっと、もう一人同席してもいいですか?・・・・ここのレンタルオフィスの社長なんですが・・・」

柴田「ああ、是非とも・・・」

耕一「本多さん、入ってくれる?」・・・壁の向こうから『ハイ』と返答があった。

本多「どうも、はじめまして。本多です。」

柴田「こりゃまた、驚いたな。きれいな方で・・・」

謝「ほんと、きれいな方ですね。それで、社長もされてるんですか・・・凄いですね。」

本多は、自慢の営業スマイルを振りまいた。そう、元レースクイーンの顔である。

耕一「それでは、謝さんお願いできますか?」

謝「はいはい・・・」謝は、早速話を始めた・・・

耕一、佐嶋、本多の3人は注意深く彼の話に聞き入った・・・(続)


耕一は、15時5分前に、三軒茶屋の駅に着いて、本多を待っていた・・・


2人は、初めて佐嶋のオフィスに訪問した。

佐嶋「どうも、いらっしゃい。今日は、社長がいるから挨拶だけでも・・・」

本多「あら、そう。」

佐嶋「こちらへ・・・・」2人は、会議室に通された。

佐嶋「横田社長、こちらが今回の横浜の件で、検討しているところの本多さんと中澤さんです。」

横田「はじめまして。この度は、ご足労頂いて、有難うございます。」

本多「こちらこそ、佐嶋さんにこの度お声掛けいただいて・・・こちらの中澤が、当社内での検討を担当しております。」

耕一は、促されるままに、先の横浜の案件に付いて試算及び基本的プランを説明した。

佐嶋「分かりました。我々と組もうとしているデベロッパーに持ち込みます。」

横田「すいません。ちょっと、所要で出かけなければなりません。ここで中座させていただきます。この後、佐嶋と話を進めてください。」と言い残して、会議室を出て行った。

佐嶋「すいません。うちは、会社らしい会社ではないんで・・・社長は、悪い人じゃないんですが・・・」

耕一「ちょっと、話は逸れますが、実は先の説明させてもらった内容に、追加プランがあるんです。」

佐嶋「ええ?それって、どんな内容ですか?」

耕一「実は、私の別ルートであるところから面白い話が来ているんです・・・」
耕一は、柴田からの話を大まかに説明した。そして・・・

耕一「この話と今回の佐嶋さんからの話が繋げられないか?っと考えました。そしたら、横浜市と上海市は姉妹都市提携しているんですね。それに今年は横浜港200周年として、色々活発じゃないですか?」

佐嶋「ああ、そうか・・・それは面白いですね・・・色々な事が考えられる。とりあえず、この横浜のレンタルオフィスを起点に上海及び中国とのパイプが作れれば面白い事になりますね。」

耕一「そうです。我々も事業者としては身の丈が小さいですが、このような仕事は小回りが肝心かと・・・そして、これを押さえれば今後の展開はもっと広がるでしょうね・・・」

佐嶋「さし当たって、私はどうすればいいですか?」

耕一「ご興味があると言うのであれば、早々に柴田氏に面会しましょうか?」

佐嶋「はい。」

耕一は、その場で柴田に連絡し、翌日に会う段取りを進めた。
本多と耕一の2人は、その場を終わり銀座に戻った。

本多「上手く、佐嶋さんを乗せたわね?」

耕一「何も、ビッグマウスを言ったわけじゃないよ。ただ、現時点での事実のみだけど・・・」

本多「でも、展開的には滑りの良くない話が、急に面白く感じたわ・・・」

耕一「そりゃ、どうも・・・ところで、話変わるけど今月のそちらの資金繰りは大丈夫ですか?・・・」

本多「・・・・ん~、ちょっと足りないのよね・・・」

耕一「どの程度?」

本多「いや、私の給料の範囲で賄えるから・・・・」

耕一「そうか・・・まあ、大金で無いなら僕が、あなた個人の一部はカバーできるよ・・・」

本多「そう言って貰えるのは、うれしいけど・・・借金はしたくないし・・・」

耕一「いや、貸付は起こさないから・・・一部経費で処理可能であれば、僕の方で処理するから・・・」

本多「ありがとう・・・」

いつの間にか、密接な関係が出来上がっていた。ただ、他人であるべき部分は守ろうと、お互いの暗黙の了解はあった。


それから3日後、朝から耕一の携帯が鳴った・・・


耕一「おはようございます。中澤ですが・・・」

柴田「おはようございます。朝早くから、申し訳ないね。先日の話だけど、どうなったかな?・・・」

耕一「・・・はァ、何とか適材な人間が居るには居るのですが、まだ話が出来ていないのですが・・・」

柴田「そうか!じゃ、とにかく会わしてくれるかな?直接会って、話がしたい。今日は駄目かな?」

耕一「とにかく、連絡入れてみます。折り返し、連絡します・・・」

そう言って、電話を切った。耕一は、色々頭を廻しながら『どう説明して、話を持っていこうか?』などと思いつつ、銀座のオフィスに入った。

本多「おはよう・・・」

耕一「やあ、おはよう・・・」

本多「どうしたの、何か考え事?」

耕一「んっ?・・・うん、ちょっと相談なんだけど・・・」

本多「なに?・・・それよりお腹すいたわ。朝ごはん食べながらでどう?・・・」

2人は、近くのマクドナルドに入った。

耕一「相談なんだけど、例の柴田氏の中国の話なんだが、この間会った、佐嶋氏に相談してもいいかな?」

本多「そうねえ、そうくると思ったけど・・・どうかしら?・・・ただ、私たちの側から紹介するとなると『業務委託契約』で人材派遣のように、実入りがないと面白くないわね・・・」

耕一「そりゃそうだが、今の段階で何とも言えないと思う。ただ、それに加えてあるアイデアがあるんだけど・・・」

本多「なに?アイデアって・・・?」

耕一「先に、佐嶋氏が持ちかけてきている横浜の案件があるでしょ?実は、横浜市と上海市は、姉妹都市として国際的にPRしているんだわ。要は、この2つの案件は繋げられるのではないかと思って・・・」

本多「えっ?そんな大きな話にするの?・・・」

耕一「どうせ、雲を掴むような話なら、いっそ大きく絵を描いてみたいと思わないか?・・・」

本多「それは、そうだけど・・・具体的にどうするの?・・・私には、よく分からないわ。それに、私は何も出来ることが無いきがするの・・・」

耕一「そんなことは、今ここで考えてもしょうがないよ。要は、どうせなら大きく動く!・・・そうすれ、あなたの会社のベースが広がると思わないか?」

本多「そうね・・・悪くない話ね・・・」

耕一「ここで、人材派遣の収入を議論するより、関わった人間が全て享受できる何かを生み出すほうがいいと思って・・・」

本多「そういうところ、ホンと、あ・な・たの性格よね・・・分かったわ。丁度この間の試算の件で佐嶋さんと今日の午後会うの。彼のオフィスに行くけど、一緒に行ってくれる?」

耕一「もちろん。何時に先方?」

本多「15時よ」

耕一「分かった、じゃこれらか僕は出かけるから、最寄の駅で待ち合わせしよう。後で、携帯にメール入れてくれる?」

本多「了解!」

耕一は、HJPへ向かった・・・・(続)


耕一は、柴田の帰った後、本多を呼んだ・・・


耕一は、本多に柴田との話の内容を伝えた。

本多「何だか、よくわからない話ね・・・柴田さんとは付き合いが長いの???」

耕一「そうだね。柴田氏とは例のUP-RISEで紹介されたメンバーなんだけど・・・」

本多「そう、でもあの集まりも良くわからないわ。おじさんばかりだし、何をどうしたいのか、見えないわね・・・ところで、さっきの話だけど・・・私にどうしろと?」

耕一「いや、無理にとは言わないが、人材を探すのを手伝ってくれないかと・・・」

本多「どんな人材?人数は?・・・」矢継ぎ早に本多は、耕一に質問した。

女性とは不思議である。よく、頭ではなく子宮で考えると言うが、恐らくは何かしら受け入れられないことや、抵抗感を感じる事となると、本能的に防衛するか?攻撃するか?なのかも知れない・・・本多も同じ様子だった。要は、受け入れなれない話だったのかもしれない・・・

耕一「いや、いきなり言われてもこれから、必要とされる人材の洗い出しをするんだけど・・・この話、興味ない???」

本多「あるには、あるけど、なんとなくきな臭い気がするの・・・だって、中国ビジネスって成功する人少ないのを良く聞くし、もし、良いほうに転べば、逸れはそれで、結果的にいいかもしれない気もするわ・・・」

耕一「それなら、とりあえず協力を頼むわ・・・」

それから、耕一はインターネットで該当する案件が無いか?調べは始めた・・・(続)