投資金には、何かしらの性格を持つ場合が多い。創業者の自己資金であれば、それは純粋に色はないし、どんな使い方をしても責任の所在ははっきりしている。
先に述べた第三者としての好ましい投資家は、純粋にその事業を支援してくれることとなるが、いきなりそんな都合のよい投資家を探し当てることは難しい。通常、なにかしらの紹介者がいたりする。この際に一番注意すべきは、紹介者である。これらの人種は、どこからか情報を集め、動物的嗅覚と鋭いギャンブル感のあるハンターのような人間がいる。それは、何かしらの紹介手数料を目当てにしている。
耕一も、さまざまな人間を紹介された。純粋であるがゆえに、言葉をそのまま理解して信用するところがあった。ある金融機関がらみで、高柳という個人のコンサルタントと知り合う機会があった。彼の情報量・ネットワークの広さには耕一も魅力を感じた。後々何が起こるかも予想すらできなかった・・・
高柳の紹介で、投資家として3者の人間を紹介された。
一人目は、鮎川氏である。彼は、某大手の自動車会社の創業者の直血であった。二人目は、大手印刷会社社長の野村氏である。最後にHSBC証券の丸田氏である。
鮎川氏とは、赤坂のアークヒルズのオフィスで面会することとなった。高柳と一緒にその部屋に入ると、もう一人坂口氏がそこにいた。坂口は、大手ファンドを預かる人物だと紹介された。耕一が一通りいつものように会社説明をすると、鮎川氏から別室へ通された。「これが、今力を入れている事業です。これからは、媒体を制するのと同時にインフラも取り込んでいく計画です。」それは、イギリスのスタジオをメインとし全世界にインターネットを使った24時間リアルタイム放送局であった。すでに、HSBCは100億円を投資していた。鮎川氏は「この事業と、中澤さんが提供するものとが融合できるのであれば、投資は惜しみませんよ。」といわれた。耕一は「わかりました。再度具体的にご提案できるように、2週間ほど時間ください。当社のデモも含めて、ご提案します。」との言葉を残し、その場は終わった。
次に、野村社長と面会した。この印刷会社は、日本でも指折りの証券印刷の実績を持つ会社であった。しかし、野村社長は娘婿で、実際の商売には直接手を下すタイプではなった。ここに、大きな落とし穴があった・・・しかし、気づいたときにはすでに遅かったが・・・