社長退任・・・その2 | 起業から、経営者へ、そして・・・

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ある種の体調の異変を感じ始めていた。それは、1日24時間の中で睡眠を摂った感覚がまるでなくなっていた。いつも眠いのだが、思考回路は常に興奮した状態であった。これに比例して、顔面のまゆやまぶたが、長時間にわたり痙攣をしていた。寝ているときもそうであった。いわゆる、顔面神経痛である。

この状況の中で、通常の対話と並行して物事の判断を下すことがかなり困難になってきた。これまでの経緯で猜疑心を持つ事とは別に、思考回路が明らかにおかしいと自分でも感じ始めていた。特に、五感に関わる機能である皮膚感覚・味覚までもが全く感覚のない状態にまでなっていた。

それは、何を飲んでも食べても、味がないのである。また、寒いとか暑い感覚もない。明らかに、心身ともに異常をきたし始めていた。



しかしながら、日々の状況は全くと言っていいほど好転する気配はなく、出口のない洞窟を突き進むだけの感覚だった。親会社であるネクサスとのコミニケーニケーションもギクシャクし始めた。

社内のスタッフとのミーティングにおいても、耕一の発言の意味がその場で伝わらない事もあった。その様子を見かねた下田が「中澤さん、休みの日って最近何してますか?」と問いかけてきた。耕一は「いや、別に何も・・・」

下田は思い切って耕一に進言した。「中澤さん、たまには休んでください。物理的にではなく、24時間くらい仕事を離れる事は出来ませんか?」耕一は、このとき初めて気づいた。「俺、最近何かおかしいかな?」下田は、頷いた。



耕一は、ハッとわれに帰った気がした。そして、その日はそのままオフィスを離れたのであった。夕刻の4時過ぎである。夕焼けが見えた気がした。それから、ただなんとなく、歩いていた。いつの間にか、海岸が見える場所にいた。

「どうするべきか・・・要は、資金があればいい・・・」と呟き、耕一の頭の中は直接、最短で現金が獲得できる方法を考え始めた。



翌日、翌々日も・・・



先の広島での山崎氏との会話から一転、ネクサスからの株式譲渡に関する件に関して耕一は、取得する旨を山木常務に伝えた。果たして、耕一は自己資金の目途が立ったのであろうか・・・