昨夜、出血した。

 血の気がひき、冷や汗が全身を覆った。

 すぐに横になり、安静に。朝には止まっていたが、朝一で病院に駆け込む。

 現在、たぶん妊娠6週の終わりくらいなのだが、超音波で調べてもらうと、胎児の心拍が確認できないという。

 またか。案外、冷静な自分がいた。

 医師が、「これは重要なことなので、複数の目で診る必要がある」というので、紹介状を書いてもらって、隣駅の総合病院へ行くことになった。

 待っている間、手術はいつになるんだろう、とか、まただめだった、とか、やっぱり高齢だからかな、とか、日曜日のライブいけるかな、とか、ぐるぐるぐるぐる考えた。

 病院の待合室には、2歳くらいの女の子がいて、小さいのにきちんとおとなしく待っていた。ちらっと、私を見る。私もちらっと、見る。ピンク色の服を来て、ピンク色の靴をぶらぶらさせて、ほっぺがやわらかそうだった。子供のにおいがした。

 名前を呼ばれて、診察。

 福々しい丸顔の、しかし眼光のするどい医師だった。

 「心臓、動いてるね」

 モニターに映る、胎児の真ん中が、動いていた。

 心拍。

 ほとんど諦めかけていたことを、赤ちゃんに申し訳なく思った。

 意気地がない自分が情けない。

 絶対に産むという覚悟。

 いくつこんな関門を越えなくてはならないのだろう。

 母になるというのは、途方もないことだ。