人気ウィスキー「響」を巡り中国でトンデモ裁判 | 周来友 オフィシャルブログ

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中国出身のジャーナリスト、タレント。
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中国で人気が高まる日本のウィスキー。ウィーチャット(中国版LINE)や小紅書(中国版インスタグラム)では、多くの中国系転売業者が高価買取の宣伝広告を発信するなど、中国でのウィスキー需要はますます高まりを見せています。


こうした中、日本のウィスキーを巡り中国では裁判も起こっていることが報じられています。香港メディア・東網(3月22日)は、中国江蘇省無錫市(むしゃく)では、昨年市内のレストランで日本産ウィスキー「響」を購入した男性が、生産地の記載が「東京」だったことから、レストランを相手に裁判を起こしていたと報じています。



裁判の背景には、福島第一原発から海に放出された「処理水」を巡る問題があったのです。中国政府は昨年、福島第一原発から海洋放出した処理水について、「核汚染水」であると非難し東京を含め日本の千葉県や埼玉県、福島県などを「核放射能地域」に指定。この地域からの食品輸入について安全検査の厳格化を発表していました。


男性は中国政府が指定する放射能地域で製造されたウィスキーを販売したことは国の安全政策に反する行為だとして、このレストランを相手取り、2万元(約40万円)の賠償を求める裁判を起こしたのです。その結果、無錫市の裁判所は男性側の訴えを認め、訴え通りの賠償金の支払い判決を下したのです。


どのような科学的根拠により「放射能地域」という指定をしたのか、誰も説明できないまま裁判でもこれを認める判決が下されてしまいました。今後、中国では同様の裁判が頻発することも予想されます。結果的に中国国内に混乱をもたらすことになるのではないでしょうか。