中国で誘拐被害者が犯人を告訴も時効を理由に不起訴に | 周来友 オフィシャルブログ

周来友 オフィシャルブログ

中国出身のジャーナリスト、タレント。
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中国では数年前から誘拐事件専門の捜査部署が創設され、誘拐された子供を持つ両親や誘拐被害に遭った可能性のある人たちからDNAサンプルを提出してもらったり、専用サイトで誘拐事件の情報を公開するなどしてきました。


こうした中、過去に誘拐被害に遭った男性が、誘拐の実行犯を突き止め警察に通報したところ、公訴時効を理由に起訴を見送られていたことが分かりました。中国メディア・上遊新聞(6月5日)は26年前の1997年、河北省の農村で3人の誘拐犯が男児を誘拐し、9000元(約18万円)でこの男児を、別の家庭に売り渡していたことを報じています。



当時、誘拐の被害に遭った男性は誘拐される際、誘拐犯は実母の親戚を名乗り、金銭的な事情から両親が子供を育てられなくなったと告げていたと証言しています。その後、男児を引き取った育ての親は男児が成人した時に、過去の経緯を説明し男性は自身が誘拐の被害者だったことを知ったのです。


男性はその後、実の両親と誘拐組織を探すため自身のDNAサンプルを警察に提出し、誘拐組織のメンバーについても自身で捜索を続け関係者5名の人物特定に至ったのです。男性は誘拐組織の情報を警察に提供していましたが今年5月31日、現地検察は時効を理由に起訴しないことを男性に明らかにしたのです。


中国では誘拐の最高刑は死刑である一方、買った方は3年以下の懲役刑と大きな差があることが批判されてきました。今回の組織が他の誘拐事件にも関与している可能性もあるため、中国では法改正を求める声も寄せられています。