アメリカで中絶違憲判決 中国の中絶干渉がどこまで対象となるか | 周来友 オフィシャルブログ

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中国出身のジャーナリスト、タレント。
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アメリカ連邦最高裁判所は今月24日、これまで合憲としてきた女性の人工妊娠中絶の権利について、違憲であるとの判断を下したことから中国でも大きく報じられています。





中国国営メディア・環球時報(6月24日)も、アメリカ最高裁の今回の判決を大きく報じ、「今回の判決は50年に及び存在してきた意義ある先例が覆され後退した。生殖自主権への挑戦とも言える」と厳しく非難する記事を配信し、さらに中国のネットユーザーからも同様の意見が数多く寄せられています。

アメリカの人工中絶を違憲とする判決に厳しい態度を示す中国ですが、中国政府自身も人工中絶に対し独自の見解を示してきました。中国国務院の外郭団体である中国計画生育協会は今年2月に、協会として推し進めていく重要事項として、「未婚者女性の人工中絶に国家が介入していく」ことを表明したのです。

中国では2021年、900万人が堕胎されていたと報じられています。一人っ子政策を撤廃し、三人っ子政策を促進してきた中国ですが、教育費用高騰の不安から中絶を選択せざる得ない世帯が多く存在してきました。

中国政府は今回の未婚女性の妊娠について、正しい性教育を通し、思いがけない妊娠を減少させていくとしていますが、ネット上からは今後人口減少政策の一環として、政府が中絶禁止に向けて動き出すのではないかとの指摘も寄せられてきました。中国では少子高齢化対策として、子育て世帯へ、離婚への行政介入や育休産休の拡張、格安住宅の供給、教育費軽減に向けた学習塾禁止など、様々な施策を発表してきました。中国政府が主張する未婚世代の中絶干渉がどこまでどのように行われるのか注目が集まります。