緊張高まるウクライナ情勢 中国国内からはロシアに対する痛烈な批判 | 周来友 オフィシャルブログ

周来友 オフィシャルブログ

中国出身のジャーナリスト、タレント。
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ウクライナ情勢を巡っては、すでに東部でウクライナ軍と親ロシア派の武装勢力による戦闘行為が確認され、死亡者も出ています。ロシアのプーチン大統領は、親ロシア派が支配する「ドネツク人民共和国」と「ルガンスク人民共和国」を国家承認する方針で中国国内でも連日大きく報じられています。

ロシアと同盟関係にある中国は、平和的解決を呼び掛けながらも、今後ロシア支援の立場を表明すると見られています。その一方、中国のネットユーザーからはロシアに対し厳しいコメントも多く寄せられています。中国のウェイボ(中国版Twitter)では、「こうした方法で他国を侵略するロシアは恥を知れ」「ロシアのやり方は20世紀初頭から何も変わっていない。まず該当地域の分裂を促し、政略的に自国の領土として飲み込んでいく」「中国もかつて国境を巡りロシアと戦闘を行い多くの犠牲が出た。ロシアのやり方を熟知している中国が仲介すべきだ」などのコメントが寄せられています。




意外にもネット上ではロシアに対する痛烈な批判が多く寄せられています。実は中国もかつてロシアの拡張主義による国境紛争が発生し戦闘行為が行われていた歴史があり、中国国内では同じ社会主義国家でありながら、ロシアの動きを厳しい目で見ている人々が多くいるのです。1969年3月から約6ヶ月もの間、中ロ国境にあった「ダマンスキー島(珍宝島)」の領有を巡り対立し、中ロ軍による戦闘行為が発生したのです。当時、中国は1967年に核実験に成功しており、核保有国同士の戦闘となったのです。




結果的にその後も他地域を含めた、中ロの国境を巡る対立は続き、全面的な解決となったのは2004年のことだったのです。社会主義国同士であり同志の関係である中国とロシアが最近まで国境を巡り対立していたこうした歴史から、中国でもロシアの存在を脅威と感じる人が少なくないのです。




中国のSNSに多く寄せられるロシアに対する否定的なコメントは、今もネット管理当局による削除対象とはなっておらずこのことからも、中国政府が今回のロシアのやり方を厳しい目で見ていることが伺えます。