南京事件に言及した女性教師が解雇処分 | 周来友 オフィシャルブログ

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中国出身のジャーナリスト、タレント。
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中国南京市では今月13日、市内にある「南京大虐殺記念館」で追悼式典が開かれました。1937年12月、南京市では旧日本軍によって多くの市民が殺害されました。しかし、殺害された人数などについて、日本と中国の間には大きな乖離もあり、現在もその詳細は分かっていないのが現状です。現在、アメリカとの対立が深刻となっている中国は日本との関係改善を模索しており、この数年は習近平国家主席を始め、指導部メンバーの追悼式典への出席は見送られてきました。

こうした中、中国上海市の学校では「南京事件」について発言した女性教師が解雇処分となっていたことが分かりました。



中国メディアによると今月14日、上海震旦職業学院の映画学部の女性教諭が授業中に南京事件について言及し、「30万人が殺害されたというデータには証拠がない。30万人というのは民間で言い伝えられている人数であるだけである。大切なことは戦争がなぜ起きたのかについて考えることで、特定の民族に対し永遠に恨み続けることではない」と、発言したのです。



女性教師のこの発言は中国のネット上などで拡散され、学校にも多くの抗議の声が寄せられていました。中国国営メディア・人民日報は16日に公式SNSを更新し今回の教師の発言について、「南京大虐殺で30万人以上の同胞が殺害された証拠は十分に揃っている。教師になる資格はない。苦難の歴史を忘れ、他国の悪行の事実を否定している」と痛烈に批判する声明を発表しています。また、南京大虐殺記念館も声明を発表し、記念館に30万人以上の同胞が殺害された証拠が揃っていると反応しています。



戦争に関する発言で職を追われることとなっただけではなく、非国民のレッテルを張られてしまった女性教師。そして歴史に関しても自由な議論が許されない中国。日本と中国で歴史の共同研究などが行われ、両国で共通認識を持てる時代が来るのはまだまだ先のことになりそうです。