人類最大の敵、蚊の撲滅が目前に? | 周来友 オフィシャルブログ

周来友 オフィシャルブログ

中国出身のジャーナリスト、タレント。
公式ホームページ:http://zhoulaiyou.jp

人類の歴史において、人類を死に至らしめた生物には何があるでしょうか。おそらく、恐らく多くの方が思い浮かべるのは、クマやライオン、サメなどの肉食動物や毒蛇といった爬虫類などでしょう。

しかし、実はこれまで人間を最も死に至らしめてきた生物は“蚊”なのです。肉食動物による人間の死者数は年間、数十〜数千人と言われていますが、“蚊”が媒介する感染症による死者は年間で70万人以上。人間にとって、蚊は最も恐ろしい生物だと言えるでしょう。蚊はマラリア原虫と呼ばれる寄生虫を媒介し、医学が発展した今も多くの人間を死に至らしめているのです。



日本はマラリアの感染者が年間100人未満と極めて少ない一方、アフリカや東南アジア、南アジア、南米などでは今も多数の感染者が報告されており、日本の製薬会社を初め世界の研究機関がマラリアの撲滅に向けた研究を進めています。

そんな中、中国の研究機関が、マラリアの媒介役となっている蚊を一挙に撲滅する研究成果をイギリスの科学誌「Nature」に発表し、大きな話題となっています。

中国広東省にある中山大学の研究チームはこのほどNature誌に、マラリアやデング熱などを媒介するヒトスジシマカの撲滅に関わる研究が成功を収めたことを発表しました。中山大学は実験で、メスに放射線を当て生殖能力を低下させると同時に、オスにはボルバキア菌という菌に感染させ同じく繁殖能力を低下させる処置を行いました。数百万匹単位で行った実験でしたがその結果、6週間で94%もの蚊を撲滅させることに成功したのです。

《中山大学研究チームのメンバー》

熱帯気候の中国広東圏では、これまで多くの人がマラリアやデング熱で命を落としてきました。しかし、今回の実験の成果が実用化されれば、人類の悲願だった蚊の撲滅も夢ではなくなる可能性が出てきました。これまで人類を死に至らしめてきた蚊が、世界が消滅する日も近いのかもしれません。