中国の小学校で教育改革 | 周来友 オフィシャルブログ

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中国出身のジャーナリスト、タレント。
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教育改革の一環として、日本で2020年度から英語の学習範囲が大幅に拡大されることになりました。今後、更にグローバル社会となる時代に備え、「読む・聞く・書く・話す」という4点に照準を合わせ、英語力を強化しようという試みです。

実は中国の小中学校でも教育改革の一環で、これまでの科目に加え3つの科目が必修科目として導入されることとなりました。この新規導入科目を見てみると、今の中国の現実が非常によく分かります。

まず一つ目が、「総合実践」という科目で、人間力の強化を目指すものです。中国ではこれまで、小学生に大量の宿題を課しており、そのことが原因で人間としての道徳観や身体能力、判断力などが欠如していると指摘されてきました。このため、子供たちの心と身体が健やかに育つよう、日本でいうところの道徳・体育といった授業が導入されることになったのです。

《中国ではあまりの宿題の多さに小学生の自殺も急増している。写真の小学生は宿題苦から集団自殺したときのもの》

二つ目が「編程」という科目です。この授業ではプログラミングなどこれからの中国を支える最新テクノロジーの基礎を学びます。この授業を必修科目とする背景には、ドローンや5G通信、AI技術など、中国が世界の覇権を握りつつあるテクノロジー分野を小学生から学ばせることによって、将来の人材も育てていこうという狙いがあります。

三つ目は「書法」という科目です。日本では書道の授業に相当するものです。中国では小学生の頃からスマホやパソコンを使いこなし、我々の時代のころとは大きく異なる生活を送っています。その一方で危惧されているのが、“字を書けない子供”の急増です。中国ではスマホやパソコンに囲まれた生活を送る中、文字を書けなくなっている子供が少なくありません。政府は中国の伝統文化でもある書道や、文字を書くという基本的な文化的行為を喪失してしまうことがないよう、書道の授業を設けたのです。

最新テクノロジーを学ばせる一方で、精神面や体力面、文化など多方面での人間力の強化が行われていくことになる今回の教育改革。ただでさえ科目数が多い中、今回の科目数増加で小学生の負担がさらに増えることにならなければよいのですが・・・。