中国が本当にすべき事は | 周来友 オフィシャルブログ

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中国出身のジャーナリスト、タレント。
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中国とアメリカの貿易戦争や、ファーウェイ事件を巡る中米関係の悪化については、中国のみならず世界中の話題として日々議論が繰り広げられています。世界の覇権大国はすでに中国なのか、まだアメリカなのか、世界のリーダーは中国が相応しいなど様々な議論がされています。

実際のところ、冷静に中国とアメリカの差を比べると、やはり中国は人民の生活面など多くの部分でアメリカとは相当な差があることは明白です。しかしながら、中国メディアや中国国内の学者などは、「アメリカはすでに衰退しており、中国が世界の中心となった」と主張ばかりしており、全く無責任な言論だと言わざる得ません。

アメリカは19世紀後半にはすでに世界一の経済大国として、また工業や科学分野での最先進国として存在していました。さらに第二次世界大戦後、アメリカは国際秩序をつくり経済分野と共に、世界のリーダーとして君臨してきました。アメリカが2度の世界大戦に勝利しソ連との冷戦にも勝利したのは偶然などではなく、圧倒的に先を行く科学技術、軍事力、経済力、そして憲法によって確立された法治国家であるからこそだったのです。

中国人の精神の根底には中華民族として、かつて中国が世界の中心であった時代の自負があり、アメリカとの現実的な大きな差から目を背け、中国はアメリカを超えた世界一の大国であると中国メディアさえも信じているのです。

今の中国市民の生活の現実は先進国とは言い難い実態があります。中国の首都・北京の郊外では週6日、1日10時間以上も工場で働く少年少女が大勢います。また農民工と呼ばれる地方出身の出稼ぎ労働者は、学校にも通えず病院にも行くことが出来ないなど、中国の教育制度や医療制度などには深刻な欠陥があると言わざる得ません。

今中国が目指すべきことは決して、アメリカと争い世界の覇権を握ることではなく、14億人全員が教育を受けられるようにすること、病院に行けるようにすること、老後の保障が受けられるようにすることなのです。中国は今何をすべきなのか、中国人自身も冷静に考えていくべきなのです。