もはや理由はわからないけどただただ泣けました。
 
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小学生、中学生の頃から宇野選手と共に戦ったり、共に歩んできた身としては、どれほどの覚悟で頑張ってきたのかを知っていますが、少し環境が変わるだけで、これからも頑張っていくのだろうから、僕からの「お疲れさま」は言わないでおこうと思います。

 どうかこれから先に、幸せをたくさん思い描けて、たくさん叶(かな)いますように。

 『宇野昌磨』の理想のスケートを、ずっと楽しんでいきます。

 普通の、年齢が3つ違いなだけの男性同士で、たわいもない会話をしましょう。そしてまたスケーターとして、リンクで、笑いながら本気出せる、熱くなれる、2人にしかできない時間を過ごせる機会がくることも、どちらも本当に楽しみに待ってます。

 「ゆづくん」として「昌磨」と世界で競技してこれたことが、本当に幸運なことで、楽しかったです。本当にありがとうございます。

 これからも“また”楽しみがたくさんありますように。

羽生結弦

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ほんとにほんとになんというか、この言葉が聞けて嬉しかった。

羽生氏の価値観と視点から2年前の昌磨のコメントを読み返し、再確認したような感覚。それぞれ価値観が違うことは理解した上で認めあう切れない絆というか、心からの抱擁がそこにあるのが見えるよな。

これは「礼儀」だとか「挨拶」だとかの言葉で軽く扱えるコメントじゃないよな。


昌磨の引退については、そうか、もうそんな時になったか、と、親戚の子の成長にびっくりするような感覚だった。思ったより早かったけども、たぶん彼の中の潮流みたいなものがそうさせたんだろうな、っていうのが伝わってきて清々しい。

これは昔から言ってることだけど、私は弓道をやっている上での感覚的なところで、昌磨の演技に共感することがけっこう多い。

彼の演技は、手先から出る糸で図形が描かれているような、禅僧の描く水墨画のようなイメージがあって、音楽をやや抽象化して骨組みを明確に、枝葉は描ききらないでおくようなところに趣味の良さを感じるんですよね。

私は自分とは違う驚異的な感性を持つ羽生氏の演技にいつも驚かされるし、最新の演目を常に見たいと思ってるけども、昌磨の演技にはいつもその感性に共感する。特に近年のショートやショーナンバーはますます趣味の良さが際立ってるし、ジャンルは違えど、羽生氏と高橋大輔さんを合わせた三人、間違いなく日本男子の三大スケーターだよね。

いつか三大テノール的な公演があったら素晴らしいなと思ってるんだけど、まあそれはその先の夢だとしても、こうして皆が競技を去った今、いがみあうそれぞれのファンのお気持ちに関わらず、また心置きなく彼らの芸術を語れたらいいなあと思います。